まだまだこんなもんじゃない

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8月29日 金曜日
【台湾】 台中






ゆうべ台中に着いたのは夜中の2時。

台北からわずか2時間でこの国の中部の町に着いた。

台湾は九州ほどの大きさだというが、九州ってこんなに小さかったっけ?という距離だ。


前の国が巨大な中国だったというのもあるが、台湾はとにかく道が綺麗で、高速道路などの交通網が充実しており移動がスムーズだ。チベットの山奥みたいなデコボコ道なんてもちろんない。


そして何より驚いたのがバスのクオリティ。

全席革張りで贅沢な1列シート、モニターが各席についており電動のリクライニング、さらに客室乗務員がお菓子と水とブランケットを配ってくれ、至れり尽くせりだったあのトルコのバスを抜いて間違いなく世界1位の豪華さだった。

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アロハっていうバス会社。

こんなバスに障害者カードを使って割引きで乗せてもらえたんだからノリさんに感謝しないとな。














夜中に台中に到着したので、ひと気のない町の中をさまよってそこらへんで見つけた公園の中で野宿することに。

静まり返っただだっ広い公園の中は綺麗に整備されており、木造のスロープをカコンカコン音を立てながら2人で歩く。

熱帯夜の台湾の夜はまとわりつくような熱気で、汗が流れ落ち、こんな中で野宿なんてなかなか過酷だ。

多少ノリさんに対して申し訳なくなるが、ここは俺の旅を体験したくて来てくださってるんだから遠慮は逆に失礼だ。


ノリさんも覚悟を決めて来てくれているので、途中道がジャリ道になり車椅子が進めなくなるが、俺に弱音を吐きたくないのかノリさんは杖を使って無理やり立ち上がり、痺れて動かない左足をかばいながら根性でジャリ道を歩いてくる。

俺の重いキャリーバッグもジャリにタイヤをとられてしまうので持ち上げで歩かないといけないんだが、ノリさんの大変さに比べたら甘ったれたことは言えない。



かくして死闘の末に野宿場所を見つけて荷物を投げ出してベンチに寝転がった。

2人とも汗だくでハァハァと息をつく。


不思議なコンビだな。
一体なんのためにこんなきついことをしているのか。
誰と戦っているのか。

楽な道を選ぶことは悪ではない。

しかし辛い方の道の先には必ず大きな何かが待っているのは俺もノリさんもよくわかっている。













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朝、茹で上がるような暑さで目を覚ました。
寝ていたベンチ広場には屋根がないので、太陽が直で俺たちを炙りだし、とてもじゃないけど寝坊なんてできない。

しかもノリさんは野宿道具を何も持っていない。
地面に直接寝てるので背中は痛いだろうし、蚊帳がないのでおそらく一晩中蚊に睡眠を妨害されていたはず。

気にしてなくていいよ!!とノリさんは笑うけど、さすがにいつもの元気はない。
かなり疲れているはず。ただでさえ車椅子の運転はハードな重労働。

やっぱり俺のやり方に付き合わせることへの罪悪感が………



いやいや、ここは心を鬼にしないと。
ノリさんは今回の台湾旅を、来年から始める世界一周の予行演習と位置付けている。

はっきり言って台湾は旅レベルで言ったら初級も初級、超楽勝レベルだ。
道は綺麗だし、バリアフリーは整ってるし、どこにでもエレベーターがあるし、牛は歩いてないし、強盗もいないし、ぼったくってこないし、街全体にフリーWi-Fiが飛んでるし、警察は賄賂を求めないし、バスは超豪華だし、台湾人は日本人をリスペクトしてくれるし、英語も伝わりやすい。

これほど周りやすい国もそうそうない。

バスキングに対しても寛容だし。

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ノリさんは少しバイクがたくさん走っている様子を見て、ぐちゃぐちゃだ!と言っているし、俺からしたらピカピカすぎる2段ベッドのドミトリーに対してカオスすぎる……と驚いている。

バッグパック旅なんて経験してことのない一般的な日本人。

ほぼ初めての外国なので日本と違う部分が大きく目につく気持ちはよくわかる。
俺もこの旅で初めて海外の地を踏んだし、それくらいのゼロ加減こそ旅の始まりにはちょうどいいと思う。



これから日本では考えられない状況にたくさん直面するし、途方くれることも無限にあるはず。

蚊に悩まされて眠れない夜を何度もすごして蚊帳のありがたみを体感するし、ベンチの硬さを知ってこそ野宿マットの偉大さに気づくことができる。

きっとこれからノリさんはノリさんの、俺や他の旅人には到底たどり着くことのできない旅のスタイルを確立していくはず。

今回はその第一歩。
どれほどキツイ経験をするかっていうのも目的のひとつになってると思う。

階段があっても荷物はよほどでない限り持ってあげない。
多少の坂でも俺は普通のスピードで歩く。

遠慮はしない。それが礼儀。












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台中の町はそれなりに都会だった。

もっと地方都市のひなびた町並みなのかなぁと思っていたが、高いビルやマンションが立ち並んで無数のショップが通りを埋め尽くす様子は、台湾が首都だけに経済が集中した偏った国ではないということを示している。

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そんな街の中、ノリさんと2人で汗をぼたぼた流しながら歩き回り、路上場所を探す。
いつも通り台湾では日中は人が出歩かず閑散としている。

どこだ……どこに人が集まる場所がある………

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ようやくたどり着いた台中駅にはたくさんの人が歩いてはいたが、まぁ驚くことに駅周辺にはすごい数の路上ミュージシャンたち。

まだ朝っぱらだというのに、すでに5組以上のバスカーがライブを繰り広げていた。

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ダウン症の女の子のピアノ弾き語り、縦笛をマイクで拾ってスピーカーから流して演奏してるおばちゃん、ギターの弾き語りのおじさん。


一時期のゆずが流行った頃の駅前みたいだ。
猫も杓子も路上演奏。



地上はライセンスがいるみたいだったので地下通路でやることして降りてみると、いい感じの長いトンネルがあった。

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ここはノリさんに譲って俺は路上のショッピングストリートを探すことにした。










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知らない町にたどり着き、その町で歌ってお金を稼ぎ、友達を作ってそして出ていく。

世界中に色んな町があった。

たくさんの人が暮らしていて、彼らには彼らの日常があり、こびりついた生活の匂いをかいだ。


パン屋さんのショーウィンドウの向こうに見えた女の子の微笑み。

子供の柔らかい腕。



消えかけたアスファルトの白線はどこに続いていたんだろう。

できるならまた、優しい人たちと肩を抱き合って笑いたい。

知らない人生と交わる喜びを探し求めていたい。

知らない町の景色に郷愁を覚えるその不思議な感情の理由を探し求めていたい。

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町は静まり返っていて結局歌えそうな場所を見つけることはできず駅の地下通路に戻った。

いい調子で歌っているノリさん。

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体が大きいノリさんの声は野太くて高音もしっかり出てすごく迫力がある。
歌唱力は問題ないので、もっと見せ方を磨いて行けばどこでも稼ぐことができるだろうな。

1000台湾ドルほど稼いだノリさんと交代して今度は俺が地下通路でスタート。

よーし、俺はなんとか2000台湾ドルはいってやるぞー!!ノリさんに負けてられんぞー!!


と思ったらいきなり地元のおっさんがやってきて同じ通路の向こう側でおもむろに笛を吹き始めた。

地下通路は音が響くのでパフォーマー同士はかなり離れないといけないのに、すぐ向こうで始めてくれちゃったので音がぐちゃぐちゃに混ざり合って地下通路に不協和音が響き渡る。


おいおい、おっさんやってくれるじゃねぇか。

思いっきり喧嘩売ってくれてますね、こんなに近くで始めやがって。

どっか行きやがれ、とかなり声を張って笛の音をかき消そうと頑張るが、おっさんも頑張って負けじと笛を強く吹く。

もはや騒音状態となり誰もお金なんて落とさない。


文句言おうかと思ったけど、ここがこのおじさんの定位置、定時なのかもと思ったらまぁおとなしく引き下がるかとギターを置いた。
あがりは雀の涙。





「ちょっとフミ君!!あれなに!?なめてるよ!!」


散歩に行っていたノリさんが戻ってきて笛おじさんに怒っているがもうしょうがない。


地下通路にはいつの間にかギター弾き語りの高校生や他の笛の爺ちゃん、地上にもさらに多くの路上ミュージシャンがわき出しており、さながらミュージックフェスの様相を呈していた。

こりゃ激戦もいいとこだ。
台湾では本当に路上ライブがメジャーな文化だ。
そして通行人はそんな風景を見飽きているので、激戦区の中に混じってもなかなか足を止めてはくれない。

人通りはあるんだけど稼げる気がしない。

んー、台湾、こんなはずではなかったんだが…………













俺もノリさんも疲れ切ってはいたが、このままでは終われないので台湾名物の夜市を攻めることに。

ノリさんの話では台湾では日中に暑すぎて人が出歩かない分、夜市はとんでもなくたくさんの人が出てきて活気に満ち溢れるんだそうだ。

歌えるかどうかはわからないがとにかく行ってみることにした。

そしてまさか台湾の夜市ってのがこれほどのものとは。







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駅前がこの台中のメインエリアだと思っていたのが馬鹿だった。

なんとか大学の周辺一帯が凄まじい大混雑になっており、こここそがこの町のショッピングエリアだった。

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その様子は夜市というか日本でいう飲み屋街みたいな盛り場になっており、一帯の通りという通りがネオンで埋め尽くされて喧騒と雑踏で大賑わい。

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屋台がズラリと隙間なく並び様々な食べ物を売っており、テナントのお店も商品を路面に並べて華やかに色づいている。
中には20時を過ぎた今から店を開けているところもある。

キャバクラらしき日本語のお店も多いし、たこ焼き屋さんには行列ができているし、色んなものに日式!という表示がある。

日本のもの、というだけで人気があるんだろうな。

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ノリさんの話では夜中の3時くらいまでこの調子で人で溢れているんだそうだ。

台湾の人は夜型人間が多い。
そりゃ日中は誰も人がいないわけだ。

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人も屋台も多すぎて歌えるスペースがまったくないんだけど、なんとか強引にバイク置き場の前で路上敢行。

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反応はぼちぼちだけど声をからして歌った。

なんとかそれなりに稼いで1850台湾ドル、5300円。











俺もノリさんもゆうべあんまり寝ていないのに1日動き回って体はボロボロ。

台湾名物のキンキンに冷えたミルクティーが火照った体を冷ましてくれる。

台湾にはお茶や紅茶、ミルクティー、コーヒー、フルーツシェイクなどを売るジューススタンドが町のあちこちに無数に存在し、いつでもクオリティの高いジュースを100円そこそこの値段で買うことができる。

暑すぎる台湾では冷えた飲み物は生命線みたいなもんだ。
甘いミルクティーが疲れた体にしみる。





エネルギーを補給してからバスターミナルに戻ってきた。

今夜はまた移動。次はここから3時間南に下った台南という町だ。

ノリさんが今までの台湾滞在中で1番路上の稼ぎが良かった町らしく、田舎の素朴さがあってとても落ち着くところなんだという。

行き先はどこでもいい。
もうどんなところでもいいと思える。



「ノリさん、明日はどっか宿入りましょうか。さすがに疲れたしシャワー浴びたくないですか?」


「あ、じゃあいい宿あるから予約しとくよ。そこなら洗濯も無料だし。」



ノリさんが台南にいた時に泊まっていた宿があるらしく、とてもいい雰囲気らしい。

ただ値段は高いみたいだけど、台湾では安いほうなんだそうだ。

まぁ1泊くらいいいだろう。









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120台湾ドル、350円ほどで台中から台南へのバスに乗り込む。

今回はホウシンというバス会社に乗ったんだけど、相変わらずゴージャスで貴族の屋敷みたいな内装。

しかしノリさんにとっては昨日の最高級のアロハバスが基準となっているので、この3列シートのバスが狭っ苦しく感じるみたいだ。



「いやー、ひどいバスだね。客室乗務員いないのかよ。」


「ちょ、ノリさん!!言っときますけどこんなバスどこ行っても乗れないですからね!!これ贅沢すぎますから。」


「え、そうなの?うーん、やっぱり最底辺のバスを知ってる人は強いねぇ。」



そんな話をしながらバスは台南に向かって走りだす。


今夜も野宿。

きしむ体。蚊の襲撃。行き場のない夜。



でもまだまだ。


まだまだこれから。



ノリさん、最底辺はまだまだこんなもんじゃないですからね!









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