ビスビー最後の夜のライブ

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9月2日 月曜日


胸が重い………

目を覚ますと猫が体の上で丸まって寝ていた。

ここはビスビー、モニカの家。

歯を磨こうと起きると、高校生の娘のサディアがおはようと笑った。
サディアの友達も何人か来ており、ハーイと挨拶しつつ、ゲームに夢中になってる。


突然やってきたこんな不思議なアジア人を、まったく構わないで普通に過ごしているのがすごい。

サデイアの友達のジョンが作ってくれた朝ごはんをみんなで囲む。
目玉焼きとベーコンの炒め。
パンにマーガリンとチーズを乗せてかぶりつく。
フィンランドからそうだけど、こっちのチーズはアニメに出てくるような円筒形の大きなもの。
専用のカッターで削ぎ、パンに載せるのだ。

パンがうまい。
ベーコンの塩辛さが食欲をあおる。
photo:01




紅茶を飲みながら、みんなでパソコンゲームをした。
みんなオンラインのアクションゲームに夢中で、マイクでインターネットの向こうの誰かと話をしながら敵を殺しまくっている。

俺もやり方を教えてもらってマウスをクリックしまくる。
血が飛び散る残酷さはさすが外国のゲームだ。
photo:02





おだやかな時間。
足の上に乗って来る猫をなでながら、ネットをする。
みんなは真面目に宿題をしている。

日本でも夏休みが終わって普通の日常に戻り、秋に向かっているころだろうな。
子供達は体育祭と文化祭の準備かな。
懐かしいな。
居残りで装飾や出し物の製作をして、日が短くなってきてるので帰るころには真っ暗になってる。肌寒い帰り道で好きな女の子に告白なんかしたりして。
幼い恋の淡い思い出は、遠い外国でも同じように作られている。






5時になり、モニカに送ってもらい、メインストリートのレストラン「タベルナ」にやってきた。

まだライブをやるような気配はない。
モニカはまたあとで迎えに来るからと帰って行った。

ギターを持って、1人お店の中に入って行きカウンターでビールを注文。
ビール54クラウン!!
高え!!
スーパーの500mlが13クラウンとかだからせいぜい35クラウンくらいだと思ってあんまりお金持って来なかったんだよな。

ライブがあるって聞いたんだけど、とたずねると、19時からよ、だって。

時間間違えたー(´Д` )


てかこんなことならスーパーで13クラウンのビール買って時間まで待っとけばよかった(´Д` )(´Д` )


もったいないことしたな、とオープンテラスであおったビールはやっぱり最高にうまかった。



19時が近づくと少しずつギターや楽器を持った人たちが集まってきた。
みんなおじさんおばさんたち。
この島の地元ミュージシャンたただろうな。


「Hi!!!」


声のしたほうを見ると、路上で俺を誘ってくれたあのおばさん、リンダがギターを抱えて立っていた。

抱き合って再会を喜んだ。

彼は日本から来た歌い手なのよと、リンダがみんなに紹介してくれ、みんなにこやかに迎えてくれる。
あー、この雰囲気なら大丈夫そうだ。

「緊張しなくていいんだよ。好きに演奏すればいいから。みんながフォローするから大丈夫。」

そう言ってみんな肩を叩いてくれた。
photo:03







どんな感じでライブが始まるのかなと思ったら、ステージでアンプにつないで、とかそんなのではなく、店内のテーブルにみんなで座ってお客さんと混じって自由に演奏するというラフなものだった。

みんなが楽器を構えると、おもむろに大きな体のおじさんがギターを鳴らし始めた。

テンポのいいカントリーソング。
それに合わせてみんなが弾き始める。
バイオリン、フルート、ジャンベ、ベース、それにガットギター。
みんな熟練の上手さ!
photo:04




合唱が店内に響き渡る。
お客さんたちの手拍子、踊ってる人もいる。
なんて素敵なライブだ。
俺も合わせてギターを弾いた。
photo:05






「よし、フミもいってみようか。みなさん!!日本のシンガーが歌います!!」

歓声が上がる。


「イエーイ!!スキヤキ、please!!」


リクエストに応え、上を向いて歩こうを弾き始める。
バイオリンが伸びやかに加わり、ベースが支えてくれる。
クリスチャンのフルートの郷愁を誘う音色。
俺の歌にリンダがコーラスを乗せてくれる。

窓の外、暗く浮かぶ城壁が見える。
ゴットランドの夜に美しい音楽がこだまする。

みんなのフォローがとても気持ちいい。
日本にいると、様々な音楽が入り乱れ、歌い手たちは飽和状態となった中で新たな表現方法を見つけようと模索し、前衛的な方面に向かいがちだ。
俺ももちろんその激しい流れに乗った1人。

しかし、このおだやかでみんなが一体となる和の音楽こそが本来の音楽の姿なのかなと思った。
もちろん個性的で独創的なものも立派な音楽だけどね。

俺らしさとは一体なんなのか、俺は何を表現すればいいのか、そんなことは考えず、ただこの美しいハーモニーに包まれていたかった。




歌い終わると、大喝采に包まれた。



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