バラナシで路上すると

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7月21日 月曜日
【インド】 バラナシ






よく雨が降る。

雨季なのか知らないが、最近色んな旅人からモンスーンという言葉を聞いた。

学校でそんな言葉を教えてもらったな。
よくわからないけど、雨が降りそうな言葉だ。

今まさにモンスーンがやってくる時期らしく、バラナシはほとんど毎日、雨が降る。





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雨が降るとすぐに停電をする。

ただでさえ晴れていてもブツブツと停電するのに、雨がザバー!!っと降ると一発で電気は止まる。

なので夜になると路地裏の迷路は完全にホラー映画のような不気味な闇に包まれる。

そんな真っ暗な中を恐る恐る歩いていると、いきなり路地に牛が現れたりするもんだから思わず声を上げてしまう。

なのでブログの更新もままならないし、面倒くさくてメールのチェックもあまり出来ていない。

まぁこの黄泉の町にはインターネットなんて似合わないけど。










この日の朝もまた土砂降り雨が路地裏を隅から隅まで濡らしていた。

石畳みの小道を水が流れていく。


イヤッホオオオイ!!!
お前を洗ってやるぜ!!

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ひ、ひどい………いい大人が………






雨が降ると外に出るのが億劫になるのはその地面。

バラナシはゴミの町だ。
腐った生ゴミ、揚げ物の油、そしてそこらじゅうに落ちている馬糞、もちろん野良犬のウンコも、人間の立ちションも。

ありとあらゆる汚物が雨でとかされて流れているわけだ。

潔癖な人間なら1ミリも外に出たくない。




嫌だああああ………


こんな中で歌いたくなよー………




そう、今日からバラナシの路上にチャレンジしてみたい。

このヒンドゥー教の聖地で、インド中から巡礼者が集まっている町で、歌を歌ったらどうなるか。


いや、デリーではスーパーウェルカムでめちゃくちゃ稼げた。

同じインド人だし、きっと受け入れられるはず。


しかし……怖い………



ここはデリーとは少し雰囲気が違う。
ビールもほとんど売ってないし、肉を食べる人も少ない。
宗教に対する信仰心がとても強く、町全体が聖地としてのオーラを放っている。


そんな中で歌っていいものか。

馬糞投げつけられんかな………



まぁやってみらんことには何もわからん。
馬糞覚悟で歌ってみるか。

嘘、やっぱり馬糞は覚悟しない。投げつけられたらマジ切れて鼻ヒゲむしる。


雨が弱くなってきたのを見計らって宿を出た。













オールド久美子には今そんなにお客さんがいないんだけど、1人めちゃフレンドリーで笑顔が爽やかな大地君という男の子がいる。

ちょっと路上見てみたいですというので、一緒に大通りまでやってきた。

photo:03




今日もたくさんのオレンジ色の巡礼者がボルパーン!!ボルパーン!!と神の名前を叫びながら行き交っている。

彼らは小さなボトルにガンジス川の水を汲み、それを寺院へと運び神に祈りを捧げるという行為をひたすら繰り返しているんだそうだ。

本当に町がオレンジに染まるほどの巡礼者の数。

そこにバイクがクラクションを鳴らして突進して、超うるさくてマジでムカつくバカ!!
クラクション壊れろ!!









これだけ無秩序だと、どこでやっても良さそうな雰囲気なんだけど、気になるのは物乞い。

photo:16



まぁすごい数の物乞いたちが道路にズラリと列になって座っており、人々は彼らの列のはじめから端っこまで歩きながら1ルピーコインを1枚ずつ渡している。

もはや物乞いにもルールがあり、それなりの秩序があるように見える。

お金を彼らに落とすまでがガンジス川巡礼の義務のようだ。

そんな物乞いたちが路上を支配している中、外国人の俺がやっていいのかな。

いや、もちろんやるけどね。


一応ガンジスの岸辺はやめておこう。
広場にはなっていて静かで演奏にはもってこいだけど、さすがにガートは祈りの場だからな。








というわけで、周りを気にしながらスペースを探し、たくさんの人が行き交う通りの脇に場所を決めた。

photo:04



ギターを取り出してる時点ですでに人が集まりだし、チューニングをするころには通りにものすごい人だかり。

通行人はもちろん、周りの店の店員、客引きたちがわらわらと集まり、一瞬でインド人たちの人垣ができあがった。

みんなこのアジア人の動きに注目して何を始めるのかキラキラした目で見つめている。




よ、よーし……い、今から歌いますからね………

カレー投げないでくださいね………





いきますよー、





せーの!!










警察登場。

消えろ消えろー!!と犬を追い払うように人ごみを蹴散らすお巡りさん。


そ、そうですよね。
ただでさえ混雑してる通りでこんな人だかりが出来たら交通の邪魔でしかないですよね。

わかります。ごめんなさい。


人だかりすごすぎ………

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ソッコーでもう少し広めの場所を探してソッコーで演奏開始。

2秒でめちゃめちゃ人だかりができる。

おーし、稼ぐそこのやろう!!

photo:08



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うん、まったくお金入れてくれない。

ていうか拍手もない。

曲を終えて、シュクリアー!!ありがとう!!と言っても、超真顔でガン見してるだけ。



……えっとじゃあ、次の曲いきます。



とまた歌う。


photo:10



さっきまでの雨が嘘みたいな晴れで、太陽が頭を茹で上げる勢いで照りつけている中で必死に声を張り上げる。

ギターを弾きながら動きも加えて、パフォーマンスとして派手にやってみる。

しかしインド人、超真顔。

え?なに?こんなにめちゃくちゃ集まってるんだから、何か少しくらい反応してくれてもいいんじゃないですか………?


雑踏で音がかき消されながらも根性で叫び散らかすが、人だかりが出来て写真を撮ってくるだけで、お金はまったく入らない。


するといきなり後ろのお店の店員が、ハイハイー!!終わり終わりー!!と割って入ってきて強制終了。

人だかり出来すぎて商売にならないですね。ごめんなさい。





うおお……デリーではあんなにガンガンお金入って、みんな笑顔でキープドゥーインとか英語で言ってくれたりしていたのに、どういうことだ………

確かにバラナシの人たちはデリーで仕事をしてる人たちみたいに裕福じゃない。

それにしても拍手とかなんらかのレスポンスがあっていいのに………


何やってんだこいつ?みたいな感じ。
路上パフォーマンスにお金を入れるっていう文化がない。
バラナシの信者たちにとって、路上でお金を落とすという行為は、自分たちよりも貧しい可哀想な人たちに向けたものでしかないのかもしれない。












もう一回だけやってみようと、物乞いも警察もいない場所で、周りのお店の人にも気を使って演奏してみた。

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やっぱり人だかりと写真撮影のみで、お金は入らない。

暑すぎてぶっ倒れそうになりながらも根性で歌っていたが、また3曲目でセキュリティの人からストップがかかってしまった。



終わり。
バラナシ路上ダメ。

photo:13




結局まともに歌えたの5曲。

あがりは40ルピー。70円。



うん、まぁ……バラナシはそうだよな。


ここは物事に動じないインドの中でも頂点の町だ。

俺程度じゃビクともしないか。

ここではただひたすらにガンジス川のようにゆるやかな時間を過ごすべきかな。














宿に戻ってギターだけ持って下の階段に座った。

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ここのガートはメインガートみたいに巡礼者たちが大挙する場所ではなく、地元の人たちが数人体を洗いにくるくらいの静かな川辺だ。

建物はもちろん世界遺産。
古びた絵画の中のような風景。

photo:15



その階段の途中に座ってガンジスを眺めながらギターを弾いた。

煙を吐き、ぬるくなった水を飲む。

風が気持ち良くてまどろみながらメロディと言葉を探した。



遠くに見える川の対岸を馬が走っていた。

馬の軽やかな姿がとても幻想的だった。

近所の子供たちが集まってきて、俺の横に座ってずっと一緒に川を眺めていた。

photo:17







「あ、金丸さんー、路上どうでしたー?」


大地君が戻ってきた。

時計を見たらいつの間にか2時間以上ここでギターを弾いていた。

大地君は俺の路上をしばらく見てから、近くの大学に遊びに行っていたみたいだった。

好奇心旺盛な若い大地君はいつもニコニコしていて、すぐに誰とでも会話をするのでこの辺りではすっかり顔なじみになっていた。



「金丸さん、美味しいラッシー屋さんがあるんですけど知ってます?」


美味しいラッシー?別にどこで飲んでも大した変わりはないやろ?と聞くと、どうやらちょいと特別なラッシーとのこと。

まぁ今日の路上でバラナシがゆっくりするところだということが分かったことだし、このガンジスのまどろみにどこまでも沈んでみるのも悪くないなと思えた。






大通りに出て、そこらへんのオッさんに聞いてみると、すぐに近くのラッシー屋さんに連れていってくれた。

いたってどこにでもある普通のお店で、注文をするとすぐに出てきた。

店内の長椅子に座って地元のおじさんたちとお喋りしながらそのラッシーを飲む。
何の変哲もないラッシーの味。

これのどこが特別なラッシーなんだろな。
ちなみに値段は100ルピーだったかな。170円。
地元の人なら50ルピーくらいらしい。









ケンゴ君がこの前ニューデリーの日本食レストランでご飯を食べてる時に面白い日本人と会ったと言っていた。

なにやら旅人オーラ丸出しの30歳くらいの男で、オーストラリア人の彼女といたそう。

路上で自作のネックレスなどのアクセサリーを売りながら旅をしているというその旅人はすでに海外を10年旅してると言っていたそうだ。


友達と2人で行っていたケンゴ君。
その旅人からいろいろと話を聞かされたらしい。



「どうして日本に帰るの?」



ケンゴ君たちがもう少しで日本に帰りますと言ったら、その旅人は質問してきたという。

日本が好きだからです、とケンゴ君たちが答えると、オーストラリアの彼女と参ったねみたいな顔で笑って、どうしてあんな下らない国に帰るんだよ、日本が好きって言ってるけど本当に日本のこと知ってる?と得意げな顔で都市伝説的なことを語ってきたそう。


日本のメディアは真実を隠蔽をする、アメリカの手先でそのうち破綻するだのなんだのと、まぁありきたりなことを述べてこられ、ケンゴ君はつまらなくてそっぽ向いてたらしい。

俺は日本になんて帰らなくてもアクセサリーを売って海外で食っていけるし、税金も払わなくていいからね、もっとシンプルに生きること考えなきゃ。
といった具合。


「観光地なんて行って楽しい?しょせん人間が作ったものだよ?」


「じゃあどういうとこに行くんですか?」


とケンゴ君が聞いたところ、インドは北に行かないとダメだね、と言ったそう。

インドは北。ありきたりなヒッピーが言う言葉。

そして最終的には結局マリファナの話。
日本があんなに素晴らしいものを禁止にしてるのはアメリカと製薬会社がうんたらかんたらって、マリファナ肯定派の人がオウムみたいに語る話をしだして、インド北部のマリファナは最高なんだぜーと、健全な日本の若者に俺すげぇだろ?っていう旅人風を嵐のごとく吹かしてくれたらしい。






別にいいよ、マリファナ吸ったって。

日本を批判する気持ちも分からんでもないよ。
日本食レストランでご飯食べながらね。

観光地に行く人をバカにしてアウトローを気取るのもいいよ。
人間が作ったものじゃん、って人間が作ったものだからこそ素晴らしいんだけどね。





海外で長いこと生活していると、社会の仕組みに囚われている人を見て俺は自由だ、俺は特別だ、と錯覚してしまう。
特に外国というものに免疫のない日本人だったらなおさらその気持ちは強くなる。

その気持ちはわかる。でもそうなったらダサいってのも自覚しないといけない。旅1年あたりの錯覚だよ。


地球のほとんどの人間が生まれた土地で暮らし、その土地で死んでいくのには必ず理由がある。

家族というものはなによりも大切なものだし、先祖代々受け継がれてきた記憶というのはDNAに刻まれている。

その故郷を守り、敬い、そこに抱かれて生きていく人間の心には見えない鎖がある。

言葉では表現しにくいけど、きっと人間は故郷で生きるのが1番しっくりくることだと思う。



税金払わないで海外で放浪し続けるのもいいけど、それは海外で暮らすってことにはならないよな。

その国のルールに従って、払うもの払って土地に根ざして生活して、その上での喜びや苦労を知ってこそ暮らすということになる。

観光ビザで行ったり来たりしてるだけではその国を理解する最低のハードルも超えることはできない。


そのケンゴ君が会った旅人のレベルで言うなら、俺も歌っていれば旅を続けられる。いつまででも。
いろんなことから逃げながら。

でもそっちの道はハナから選ぶ気はない。



俺ももうすぐ日本に帰る。
どうして?って聞かれたら堂々と答える。
日本が好きだからって。







メインガートの広場の階段に座ってプージャーの儀式を眺める。

怪しいインド音楽と鐘の音が響き、光と踊りが直接思考になだれ込んでくる。

気づいたら思考が断続的になっており、感覚が研ぎ澄まされてすべてを鮮明に捉えていた。


うわ、すげえこれ………


さっきのラッシーの効果か。
体が重くて、思考だけがゆっくりと沈殿してはまた舞い上がる。

目の前で繰り広げられるサイケデリックな儀式が強烈な波となってゆらめく。


無数のインド人たちが手を合わせて祈っている。
俺もそれに合わせて手拍子をする。


熱気と狂気が混ざり合い、蒸気となって空に昇っていく。

その光景は焼けた鉄の赤のようでもあり、夜風にはためくサリーのようでもあった。


ああ、美しいな。

生と死がこんなに入り乱れてる。

石畳はスポンジみたいで、祈りと絶望が染み込んでいる。

そのなまあたたかさが俺を眠らせる。

遠い果てに連れていってくれる。



photo:18



しばらくしてインド人の渦に巻き込まれた。

でも目だけはしっかり見開いていた。

スポンジにめりこんでいたお尻を上げて、宿に帰った。







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