マレーシア最初の路上はズタボロ

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6月5日 木曜日
【マレーシア】 クアラルンプール






4階のドミトリーに上るとイクゾー君がいた。

夜行バスでシンガポールからやってきて今朝ついたとのこと。

俺と一緒にマレーシアに来ず、1人シンガポールに残ってしこしことお金を作っていたイクゾー君。


タイでゴーゴーバーに行ってこの世の春を謳歌するんです!と楽しそうに言っていたので、それなりに稼いできただろうな。




「イクゾー君、シンガポールどうだった?」


「あ、いつも通りチャイナタウンの歩道橋で歌って稼いでました。やっぱりシンガポールは最高ですね。」


「だよね。俺もシンガポール戻りたいわ。それで結局いくらになった?貯金。」


「えーっと、6千円くらいです。」



「…………………」



「いやー、最後に2000ドルになる予定だったんですけどね、想定外でした。」


「い、行っちゃったんだ、あそこ………」


「もうシンガポールには戻りません。次の目的地はあそこです。」


「ど、どこかな………」



「マカオです。」







そうですか。








というわけで小林イクゾーとやってきたのは、クアラルンプールのショッピングエリア、ブギビンタン。


フリーバスなんて素晴らしい循環バスに乗って街の中心部へと向かって行くと、さっきまでのゴミゴミとした後進国の雰囲気から一気に様変わりし、シンガポールのようなラグジュアリーなビルが光る通りに出てきた。

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ルイヴィトンやロレックスのショップがズラリと並び、歩いてる人たちの服装も清潔で高価そうな雰囲気になった。

なるほど、これがこの国のフルパワーの贅沢エリアってわけか。

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しかし、シンガポールでは街の全てがこのスーパーリッチクオリティで出来上がっていたけれど、マレーシアではせいぜい数百メートルが限界みたいで、少し歩けばもうそこは古いビルが狭苦しく並ぶ暗い道へと変わる。

いたるところが工事中で歩道が狭められ、道の端にはゴミが溜まり、何よりも目立つのは物乞いの多さ。

全身がケロイドになった爺さんや、片手片足のないおじさん、子供を抱えて座り込むムスリムの女の人、

今までも世界中で色んな物乞いを見てきたけど、アジアの物乞いの姿には目を覆わずにはいられない凄惨さがある。

それがわずか5メートルおきとかで並んでおり、目の前を通りすぎるたびに心が冷たくなるのを感じてしまう。



わざと手を切り落としたり、目を潰したり、子供を売り飛ばしてその幼児を物乞いたちに日替わり派遣で配って稼ぐ会社とか、そんな悲惨な話はいくらでも聞いてきた。

これから回るアジアやインドの、もっと深部を覗けば、きっと人間を信じられなくなるような所業が繰り広げられてるんだろうな。

貧しさだけでそんな闇が産み出されるものなのかな。

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そんな、人間の光と影がこれでもかってほど浮き彫りになっているブギビンタンのメインストリートを歩き、やってきたのはブギビンタン駅の連絡通路の上。

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ここがイクゾー君の路上ポイントみたい。

絶えず人が通り、声も響くし、いい場所見つけたな。

ここでやってますというイクゾー君と別れ、俺も自分の場所を探して歩いた。

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一応どこででもやれそうな雰囲気ではあるが、とにかく車の量が多く、古い型のバスが通るとものすごいエンジン音で自分の声も聞こえないくらいの騒音。

さらにそこらじゅうで工事をしておりやかましいこのこの上ないし、良さそうな通りがあってもすでに物乞いたちが陣取っており入り込む余地はない。

通りの真ん中に大きな交差点があり、そこの信号待ちのスペースに銅像やギター弾きのパフォーマーがよくいるとのことだけど、生ギターではきつい。


なかなかいい場所が見つけられなくてどこでやろうかなぁと歩き回り、ようやくそれなりに良さそうな通路を見つけた。

人通りはまぁまぁ。うるさいけど、もうどこでやってもこんなもんだろ。


遅くなったけど、これがマレーシア初の路上。
この稼ぎでマレーシアの滞在が決まる。

なにひとつドキドキさせてくれないこのマレーシアだけど、ちゃんと稼げて、友達が出来れば、あと数日いてももいい。

今のところマレーシア人から感じられるのは人に対する冷たい無関心でしかないけど、本当はどんな顔を見せてくれるかな。






しかし、そんな淡い期待は一瞬にして消え去った。


5曲歌って5リンギット。160円。




誰1人足を止めない。

こちらに視線をやることもない。

道を聞いて無視された時のように、誰も俺に興味を示さない。


声をかけてくれて会話になり、Facebookを交換する。

いつもどこの国でも簡単に発生するこのやり取り。

それがこのマレーシアでは果てしなく難しいことのように思えてくる。





ちくしょう、なんでだ。
俺の歌がまだまだなのはわかるけど、こんなに空気のように通り過ぎていくなんて。
珍しがって写真を撮ってきさえしない。



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焦りながら場所を変え、中心部から少し離れた比較的静かな場所にやってきてギターを鳴らした。







30分後、なんと0リンギット。


ま、マジか……



いくら東南アジアだからといってもこれはあんまりだ。
いくら歌っても誰1人足を止めない。

ガックリと肩を落としてギターを置いた。




こりゃヘコむな………








イクゾー君のところに様子を見に行ってみると、歩道橋の上で頑張って声をあげていた。

下をバスやバイクが走るとギターの音がかきけされるが、それでも声を振り絞っていた。


「どう?」


「………ヤバイっす……今4リンギットです………」



120円。
この良さそうな場所でもこれかよ。



「本当は結構稼げるんです。100リンギットも普通に超えたりするんですけど、今日おかしいっす………僕もうやめます………」


「ちょっとギター貸して。」



なんだかモヤモヤがたまらなくて、吐き出したくて歩道橋にこれでもかってくらい声を響かせた。

ロケーションがいいのでポツポツと立ち止まる人々。
でもなんだか手応えがない。

30分ちょっと歌って20リンギット入った。600円ちょい。
てことは1時間やれば千円は超える。



でももう気持ちは決まった。

明日この国を出よう。

この街は少しもエネルギーをくれない。全然面白くない。








「イクゾー君、ちょっとツインタワー行っていい?」


「ん?まだ観光してなかったんですか?」


「いや、トロールがなくなってさ。」


「えええ!!?マジですか!??それ大事件じゃないですか!!探しましょう!!」



ずっとブログを読んでくれてるイクゾー君なので、俺にとってトロールがどれほど大事なものかよくわかってくれている。

そう簡単に諦められない。
大事な大事な相棒………





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ツインタワーへ行き、インフォメーションカウンター、警備のおじさん、周りのカフェやショップの店員さん、そして清掃員のおばちゃん、手当たり次第に聞いて回った。

英語がわからない人がほとんどなので、紙にマレーシア語でことの内容を書いてもらい、その紙と写真を見せながら聞いて回った。


しかしみんな反応は冷たい。

写真とメモ紙を見せてこの人形を探してると言っているのに、まったく関係なくどこに行きたいですか?何を探してますか?こちらの商品は素晴らしいですよ?と、まるで録音したカセットテープみたいに決まったことしか言わない人たち。

人間味が感じられないよ、マレーシア………

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ツインタワーの中も、地下通路のフードコートも、誰に聞いても首を横に振るだけだった。

最後の頼みの綱だったチャイナタウンの屋台でノーと言われた時は椅子にへたりこんでしまった。



トロールが消えてから3日経った。

もう見つからない。

ゴミとして捨てられたか、誰かの家に連れて帰られたか、どこかの商店のレジの横に置かれているか、ツインタワーの屋上のオフィスのデスクにいるか、誰か他のバッグパッカーに拾われて新しい旅を始めたか。




こんなにも激しい喪失感があるとは。
まるで恋人を失ったみたいだ。
新しい相棒なんてもう見つけられない。トロールにかわるものなんてない。

ノルウェーで手に入れてから本当にこの旅のほとんどを一緒に過ごしてきた。
どんな過酷な状況もあいつと乗り越えてきたのに………

これから本当に1人になるのかと思うと、色んなところに行くモチベーションを見つけられなくなるんじゃないかと不安になる。

俺も見たい、そしてトロールにも見せてやりたい、という思いがあったから、心を強く保てたのに………








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イクゾー君と一緒に屋台でご飯を食べる。

歩き回って全身ビショビショになった体にビールが悪魔的に美味しい。

ああ、ちくしょう。ちくしょう…………





そこに1人の女の子がやってきた。

このマレーシアでお会いする約束をしていた最後の方、マキちゃん。

綺麗で清潔感があって、女の子女の子した雰囲気に少し戸惑う。

こんなボロボロの街の中で、ボロボロになっちまってる俺。

金丸さんだー!って言ってくれるブログの読者さんたちは、スリリングでギリギリの旅をしてる金丸文武を見てみたくてご連絡をくださるはず。

なのに今の俺ときたら旅人でもなんでもない、ぬるま湯につかって金と時間を削ってるだけの腑抜けだ。




何をすべきなのか。

現地の人との出会いか。

エキサイティングでハラハラするようなシチュエーションか。

孤独で詩的な夜を過ごすことか。




それのなにが旅なんだろう。

知らない道を行くことを旅としてきたんだから、狙って作り上げる感動になんてなんの価値もない。



早く新しい場所に行こう。

ここでは何も見つけられない。





「マキちゃん髪綺麗ですよね。いやー、俺も路上で50ドル稼いだ時にトリートメントしたんですよ、公衆便所で。トリートメントってちょっと流すの待たないといけないじゃないですか。公衆便所で1分待つの辛いなと思ってやめました。」

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イクゾー君が笑わせてくれて助かった。



ああ、ドキドキする感覚、苦しくなるほど胸が締めつけられる風景、人を心の底から愛おしく思える気持ち、



また見つけられるかな。










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