潮風と虚しさ

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5月6日 火曜日
【ニュージーランド】 オマルー ~ ダニーデン





ガヤガヤという話し声で目を覚ました。

すでに太陽がのぼっており、寝袋の隙間から明るい日差しが差し込んでくる。

気温が上がってきてようやく気持ち良く眠れそうになってきたところで人が来ちまった。



うう………廃墟だと思ったのに、こんな朝っぱらからなにやら工事の仕事でもしているような音がする。

しかもすぐ真横だし………






まだ寝てたかったけどもう仕方ないので寝袋から体を出した。

そこにはガタイのいい男性2人が内装か何かの仕事の準備をしていた。


「おう!!おはよう!!よく眠れたかい!!?」


「うう………おはようございます………」


「ところでお前はラグビーは好きかい!!?」


「………あんまり好きじゃないです………」



ニュージーランド人、半ズボン履きすぎ。

足丸太みたい。

そんなにラグビーが好きなんですか。






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朝イチで超暑苦しいラガーマンに起こされたけど、空がこれでもかってくらい青くてめちゃ爽快。

ヒンヤリとした空気に頬がすぐに冷たくなる。

やっぱり天気がいいと元気が出てくる。
芝生の朝露も綺麗に………



ん…………?







photo:02



よし、ラグビーコート。




ニュージーランドにはオールブラックスとかっていう世界最強のラグビーチームがあるってのはなんとなく知っていたけど、そんなに人気のスポーツなのかな。

まぁジョジョとディオも大学時代にラグビーやってたし、そのイギリス人たちが入植してきた土地だもんな。

これからどれだけラガーマンに会えるかな。










近くに公衆トイレがあったので顔と頭を洗おうと思ったんだけど水しか出ないので諦めた。

この気温の中で冷水でなんて洗いたくない。

でも思い出してみればヨーロッパではこれよりも寒い中で頭の感覚がなくなりながら洗ってたんだから今の俺はなまっちまってるんだろなぁ。


そんなことを思いながらも冷たいものは冷たいので歯だけ磨いて町に向かって歩いた。





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おだやかで、静かな住宅地。
綺麗に手入れされた庭や、可愛い人形が置いてある窓際。
道沿いのポストには、「NOジャンクメール」と注意書きがしてある。


田舎のなんでもない生活の風景。

そんな中を歩いていく。

photo:05





途中マクドナルドがあったのでブログ更新ついでにご飯を食べた。
朝マックが終わる10時半まで待ち、お得セットシリーズのダブルチーズバーガーのミールを注文。

ダブルチーズバーガーとポテトとコーラで6ドルならこの国では相当安い。540円。

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ケバブや中華料理など、安いご飯の代名詞でもニュージーランドで食べようと思ったら10ドルは超えてくる。900円くらい。


サブウェイの1番安いレギュラーサイズのやつが9ドル。

アメリカでは5ドルだ。





最初の町がクライストチャーチで、そこから小さな田舎町に来ているのでなんだかニュージーランドって経済に元気がなくてどこか暗い国というイメージを持ってしまっているけど、物価の高さはオーストラリアに引けをとらないなかなかの反則っぷり。


なんだか最近金銭感覚が崩壊してきてるので、スーパーで買い物しててもあまり値段を気にしないし、10ドルくらいサラッと使ってしまう。
南米では100円のためにあんなに必死こいて値切りとかしてたのに。

ちゃんと節約してアジアに備えないとな。



あ、ニュージーランドのマクドナルド、オーストラリアと違ってコンセントがあるからこれから充電の心配はしなくても良さそうだ。

安いし、Wi-Fiあるし、たくさん利用しそうだな。

コーヒーは300円だけど。





ニュージーランド、セブンイレブンがねえええええ!!!!

1ドルコーヒーーーーーー!!!!!











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それから市街地の中へ入り、ゆうべおじさんが車で回ってくれた古い石造りの建物が並ぶ方へと向かってみた。

町自体とても小さくてひなびており、人の姿もまばらにしか見えない。
どこにでもある田舎の寂れた港町。

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メインストリートを過ぎて裏通りに入ると、そこにはほんの短い通りだけどもヨーロッパの面影を残した美しい建物が並んでいた。

古本屋さんやアクセサリー屋さんなどがそれらの建物に入っており、静まり返った通りにはひと気がほとんどなかった。

まるで映画か絵本の中の光景のように、ある意味完成された寂しさがある。

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そのひなびた空気が、いつか歩いた遠い知らない地の港町に似ているような気がして柔らかいノスタルジーをかきたてる。

ウミネコが青空を飛び去り、あの日の季節にいざなうように鳴いた。

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岸壁はそれなりに整備された公園になっており、ぽつりぽつりと人影があった。

桟橋が港の外にのび、その向こうからかなり強い海風が吹きつけてくる。

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海風に乗って気持ち良さそうに上空を飛んでいる無数のウミネコ。
羽を広げてうまく風をコントロールするだけで、羽ばたかなくてもホバリングしていられるくらい風が強い。

電信柱、有刺鉄線、草むら、崩れかけの古い家、子供の声、

それらが太陽の光が照らすかすかなもやの中にぼんやりと佇んでいる。

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寂しさが胸にこみ上げてくる。

別に故郷が恋しいわけではない。1人が辛いわけでもない。
ただこんな岸壁に立ち尽くして海を見ていると、どうしていいかわからなくなる。

幼い迷いのように、生に対する疑問が芽生える。


俺はここにいて、この生を生きている。
この見知らぬ海の果ての小さな町にもたくさんの人が生きていて、それぞれの人生を送っている。

子供の頃に無邪気に走り回っていたように、人生に迷ったように、辛い恋に落ち込んでいた時のように、ここでもみんな同じようにして生きている。


旅に出たのは、そうした知らない土地で生きる人たちに会いたかったから。
どんな人生を送ってきたのか、これまでどんなことがあったのか、それを知りたかった。

今俺が生きてるこの瞬間にこの世に存在する無数の人生に出来るだけ出会いたかった。


なのに、出会えば出会うほどに、人というものを知るたびに人間の悲しさが想像できるようになって、胸は締め付けられる一方だ。

俺は何を見つけたいんだろう。



風の中でぼんやりと水平線をながめ、やがて頭が空っぽになっていくと、ふと涙が出そうになる。

もう嫌だ、とうずくまりたくなる。


生きるだけの人生。

粘土のような虚しさが心をベトベトとおおいかぶしていく。

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落ち葉だらけのきつい坂道を重い荷物を抱えて歩いていく。
はぁはぁと激しく息をつき、体が熱くなる。

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足が重くなり、もう休憩しようと思うたびに、いやもう少し、あそこの電信柱まで、と我慢し続けていたらいつの間にか坂道は終わるもんだ。

そして坂道の先にいい感じに路肩が広がっている部分を見つけたので、そこでヒッチハイクを始めた。

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車の通りはまぁまぁなんだがなかなかつかまらず、太陽が傾いてきて少し気温が下がってきた。

港でのんびりしすぎたせいでもうすっかり夕方の時間になっていた。

車が通るたびに風がふいてジーパンしか履いていない下半身が冷え切っていく。

でも坂の上の夕日は綺麗だった。
捕まらなければこの目の前の公園で眠ればいいだけさ。










しばらくして、20キロくらいしか行かないけどいいかい?という車が止まり、大喜びで乗り込んだ。

先に進めるならどこだっていい。




どこだって……………







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ここはダメ(´Д` )




農地の中の一本道にペッとガムみたいに吐き捨てられる。



ちょ、ちょっと待ってよ………

マジでなんにもねぇし。

馬こっち見てるし。

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しかもこんな何にもない一本道なので制限速度は100キロでみんなそれ以上のスピードでかっ飛んでいく。



ビャウウオオオオオオンンンン!!!!!


ズヒョオオオオオオオオ!!!!




轟音をあげながら走っていくトラックにおびえながら道のはじっこのトラクターのわだちの上で恐る恐る親指を上げる。

風で親指折れるんじゃないかって勢いで走り去っていく車。


それにもう時間も遅くなってきたので交通量がほとんどない。
太陽は沈み、夕闇が外灯ひとつない農地の中に迫ってきた。

あー!!この家畜の臭い、都農を思い出す!!





も、もうだめだ………こいつはもうどっかこのへんの草むらで寝るしかないな………

どうせなら脇道を入っていって丘の上のほうまで行って見晴らしのいいところで星を眺めながら寝転がってこれはこれで悪くないなと思いながら寝て目が覚めたら羊に取り囲まれて耳を噛まれるってのはどうだろう。

嫌だああああああああああああああああああああ止まったーーーーーー!!!!!!!



車止まった!!!



「ヘイブロー!!どこまで行くんだ!?ブロー!?」


「南ならどこでもいいです!!」


「スウィートブロー!!行くぜブロー!!」


超ノリノリの兄ちゃんのボロいバンに飛び乗ったのは、もう完全に夜になっていた頃だった。

ヘッドライトをつけた兄ちゃんのバンは勢いよくアクセルをふかして農地の中を駆け抜けて行く。



「危なかったなブロー?あのままだったら真っ暗闇だったぜブロー、あんなところで。」


「本当だよ!マジでありがとう!!」


「こういう時はキヨラって言うんだぜブロー?」


「キヨラ?」


「キヨラってのはマオリの言葉で上手くいくさって意味さブロー。ありがとうとかハローとかって意味でもいいんだぜブロー。俺はマオリさブロー。」


「キヨラ!!マジキヨラ!!」


「イエーブロー!!クールブロー!!スウィートブロー!!」



ブロー言い過ぎ(´Д` )

マジウケる(´Д` )



ていうかやっぱりニュージーランドにいる肌の浅黒いアジア人っぽい顔をした人は先住民族のマオリの人たちだったんだな。
オーストラリアのアボリジニーみたいなもんだ。

オーストラリアではあまりアボリジニーの人たちが白人社会の中にいるのを見かけることはなかったが、ニュージーランドでは当たり前にこのマオリの人たちが街に同化して生活しているのを見かける。

そういった意味でニュージーランドは欧米化に汚染されきっていない、オセアニアの島国のひとつという地域性を失わずにいるんだなと実感する。

ラグビーのオールブラックスがよくやっているダンスはまさしくマオリの踊りなのだ。


「ラグビーは好きですか?」


「イエーブロー!?もちろんさブロー!!」


「どうしてオールブラックスはあんなに強いの?」


「理由はひとつに決まってるさブロー。」



そう言って兄さんは胸に手を当てた。



「スピリットさブロー。」


「やべぇ!!超かっけぇ!!」


「そうさ!!マオリはマジで強いのさブロー!!イエーブロー!!クールブロー!!ほらダニーデンの街明かりが見えてきたぜブロー!!ホームスイートホームブロー!!帰って嫁とハブアセックスブロー!!!!」



2秒に1回くらいブローっていう兄ちゃんの超絶ぶっ飛ばす運転であっという間にダニーデンというこの南島の南部の都市に到着。

街の中心部までは行ってくれなかった兄ちゃんだけど、ちゃんとバス停で降ろしてくれた。


「キヨラブロー!!カキテアノブロー!!」


「な、なに!!カ、カキが食べたい!?」


「カキテアノ!!スィーユーレイターって意味さブロー!!じゃあなブロー!!」


そう言ってまたブオン!!と勢い良く走り去って行った。

いやー、マオリの魂、熱いわ。






兄ちゃんが行ったとおりすぐにやってきた市バスに乗り込む。


「こんばんは、セントラルまでいくらですかブロー?」



はっ!!つられてしまった!!

バス運転手の真面目そうなおじさんがチラリとこっちを見てニコリと笑って2.7ドルだよと言った。

クールブローって言おうかなと思ったけどさすがにやめといた。

バスの外は雨が降り始めていた。







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photo:23



ダニーデンの街はそれなりに栄えていた。
こりゃクライストチャーチと同じくらいじゃないのかなと思ってしまうけど、さっきの兄ちゃんに聞いたらダニーデンはクライストチャーチの半分の人口なんだぜブローと言っていた。

こんなに綺麗でモダンなショップが並ぶ通りがあるというのにクライストチャーチの半分の人口か。
ていうことはきっと地震前のクライストチャーチはよほど活気のある大きな都市だったんだろうな。

今は見る影もないのだが…………




メインストリートの中のマクドナルドが24時間営業という有り難すぎる都会っぷりなので、また6ドルのダブルチーズバーガーセットで晩飯。

それからは日記を書いたりメールの返事をしたりしてのんびり過ごした。
どうせ24時間だ。いつまでだって居ていいし、女の子の店員さんも気にとめる様子もなく俺のことを空気のように扱っている。

外はまだ雨が降り続いている。
こんな夜にいかにも宿のなさそうな大きな荷物を持った俺に出て行けなんて酷なことは言わないだろう。








街とは言ってもやはり田舎ではあるので、0時を過ぎるとお客さんもぱったりいなくなってしまった。

それからもずっと店内に居座り本を読んだりしていたのだが、深夜の4時くらいになった時にいよいよ眠気が本気で襲いかかってきて、本に向かってばさっと顔をうずめたりしてどう頑張っても目が開かなくなってきた。


ううう………眠い………

でも雨の中寝床を探しに行くのは嫌だし………

でも眠い………

マクドナルドの店内でなんて眠れるわけないし………



タバコを吸いがてら外に出てみる。

するとさっきまでの雨が止んでおり、アスファルトも若干乾いていた。


もうすぐ朝だけど、この眠気はどうしようもない。

手持ちのお金が不安になってきたのでそろそろバスキングもしないといけない。
徹夜明けで路上なんてやりたくないので少しでも眠らないと。

どこか横になれるベンチを探して完全に寝静まった町をとぼとぼと歩いた。

photo:24










どれくらい歩いたか。

人っ子1人いないアスファルトの上をさまよいながら、工場エリアを抜け、何かの運動公園みたいなところにたどり着いた。

こんな早朝からトイレ掃除をしていたおじさんがギョッとした顔で作業の手を止めて俺のことを見ている。

軽く会話をしてイカれていませんよということをアピールして公園の端っこのほうにあるベンチの上にどさりと荷物を置いた。

かなりの寒さで息は驚くほど白いが、こうして寝床を探して歩き回っているうちにいつの間にか汗ばむほどに熱くなるので、いつも眠る時はそんなに寒くはない。



ベンチの上に寝転がって寝袋にしっかりと包まる。
頭上には大きな木がしげってはいるが、所詮は木だしだだっ広い公園の端っこなので雨が降ったらおしまいだな。

でも今はどうでもいい。時間はもう朝の5時。
疲れきってもうこれ以上歩けない。


頭まで寝袋をかぶるとすぐに眠りに落ちた。








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