グレープフルーツムーン

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4月19日 土曜日
【オーストラリア】 ヌーサ






ガヤガヤガヤ…………











ガヤガヤガヤガヤ…………







ん………うるさいな………





蚊帳から頭を出す。








photo:01



おはようございます。





朝の美しい日の出を期待して展望スペースで寝て、目が覚めたら顔面の前にオッさんのケツとスキンヘッド。

顔面の前に。


ビビって眠気さめた。







photo:02




ていうかここメインストリート?


何この人口密度。

俺たちが寝ている展望スペースに何人もの人が立っている。
足元で俺たち寝てるのに完全無視。ウケる。

photo:03




そしてこんな森の奥の遊歩道なのにランニングする人で渋滞が発生している。



時間まだ6時半じゃねぇか………

欧米人のランニングに対する執念半端じゃねぇ…………



みんなカッコいいランニングウェアに身を包み、腕には防水のバンドを巻いてiPhoneを装着し音楽を聴きながら走っている。俺たちの真横を。



「あ、金丸さん……おはようございます………」


「……おはよー…………」


「すごい人通りですね………」


「うん……もうここでバスキングしようか………」



みんな寝ぼけ眼の俺たちのことを全く気にしておらず、笑顔でグッドモーニング♫よく眠れたかい?と声をかけてくれる。

ニコニコしたおばさんが写真撮ってもいい?と聞くので、いいですよと答えると、嬉しそうに写真撮りながら、あなたたちとてもアンハッピーに見えるわ♫となかなかの打撃力の言葉を投げつけられたのでウルトラハッピーですけどねと強がりを言って蚊帳に潜って号泣。



ああ………海綺麗だなぁ………

photo:04




燃えるような朝日が崖の下の海を染め上げ、どこまでも広がっている。

そんな真っ赤な海に豆粒みたいなサーファーの姿が見える。

カヤックを漕いでいる人の姿も。

みんないざなわれるように太陽へと近づいていく。


海の中からこんな壮大な朝日を見たらどんなに素晴らしいだろう。
贅沢すぎる日の出だな………

photo:05







ぼんやりと朝日を見つめているが、蚊帳も寝袋も夜露でビショビショになっている。

8時にもなれば太陽で乾いてしまうんだけど、まだ日の出の光にそんな力はない。

俺はまだいいけどそのまま地面に寝ていたジュンペイ君は全身ビショビショだ。

早く乾いてくれないかなぁと思っていると、散歩のおじさんに罵声を浴びせられてしまう。



「おいてめーら!!どこで寝てんだ!!さっさとどっか行きやがれ!!ファックオフ!!」


「………ああ!?ファックオフだとこの野郎!!」


「おお!!ファックオフだ!!」


いきなりファックとか言われてムカついて立ち上がりそうになってしまったが、うん、そうですよね、こんな展望スペースで寝てたら邪魔でしかないですよね………

そそくさと荷物をまとめて朝日に背を向けた。

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なんじゃこれ?ってくらいランニング&ウォーキングで大混雑の遊歩道を歩きビーチにやってくると、まだ朝の7時過ぎだというのにすでにものすごい数の人が溢れていた。

photo:07



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ヘイスティングストリートの高級カフェでは朝っぱらから3500円くらいのブレックファーストを食べる人たちで賑わっている。

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おおお………朝から貧富の差が激しすぎる。








そんな貧乏な僕らはセブンイレブンでコーヒー飲みながらカップラーメンと食パン。

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う、うめぇ……ロンだ。






目の前のバス停には次から次へと海水浴を楽しもうという人たちがすでに水着の状態でバスから降りてくる。

さすがはイースター休み。
ヌーサだけじゃなく、この東海岸のビーチはきっとどこも行楽の旅行者で溢れかえっているんだろうな。




「ジュンペイ君、お昼に歌えばいいじゃん。俺は夜からやるから。」


「え……いやー……俺なんかまだまだですから………」


「大丈夫だって。イクゾウ君はレパートリー9曲でガンガンやってるんだよ。」


「うーん……でも僕自信が………」



大阪出身のジュンペイ君。
昔はバンドでドラムを叩いていたみたいで、それからはソロでギター弾き語りでライブハウスでもやっていたそう。

実際彼の演奏はなかなかのもので、声量は少ないが、甘い声で、オリジナル曲のクオリティも高い。


これから1度日本に帰ってまた世界の旅に行きたいというジュンペイ君。

しかし別に日本に帰らないといけない理由はないそう。

だったらもうここにギターはあるんだし、ここから旅始めてしまえばいいじゃんと話してみるが、まぁそんなに簡単に決められることじゃないよな。


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スプーンとか何も持ってないので指で食パンにバターを塗る男。











フードコートに行き、ケバブを食べる。

オーストラリアってケバブがかなり人気みたいで、どこに行ってもオシャレなケバブ屋さんがあって若者で賑わっている。


でもめちゃ高いんだよな………

10ドルとかする。

しかし10ドルのご飯が安いという金銭感覚もだいぶ馴染んできている。

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っていうかマズ!!

なんだこれ!!全然ケバブじゃねぇ!!

クルクル回る肉の塊からナイフでそぎ落とせばケバブでしょ?ってくらいナメくさったシロモノ。

ああ……ヨーロッパのケバブ美味しかったなぁ。



「ちょっと俺、歌ってきてみます。」


ご飯を食べ終わると意を決したジュンペイ君がギターを持ってフードコートを出て行った。

大丈夫、ジュンペイ君なら稼げる。
自信を持って堂々とやることが大事なんだよ。











そして30分くらいで戻ってきた。


「金丸さん、稼げました!8ドルも入りましたよ!」


「ほらね!よし!!もう日本に帰るチケットは破り捨ててこのまま世界一周はじめちゃおう!!」


「い、いや……それはちょっと………」



おお、いかんいかん、また1人若者の人生狂わすところだ。







photo:13



photo:14



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これ身障者トイレの中。ここで暮らせる。

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日記を書いたり新しいレパートリーの練習をしたり、ジェニファーさんの車の中に忘れてきた野宿マットを探しにショッピングモールに買い物に行ったりしていたら時間は16時。


よし、そろそろ場所取りに行くぞ。

昨日17時くらいに行ってみたらすでに他のバスカーが陣取っていたいつもの不動産屋前のベンチ。

あそこがおそらくこの通りの1番のスポット。


路上の場所取りってのは早いもん勝ちだ。
警察以外なら文句を言われる筋合いはない。

目の前の不動産屋が閉まるのは17時。
それから人がひける22時までが勝負だ。






「ハーイ、君たちバスカーかい?」


ギターを開いてここは俺たちの場所ですよーってアピールしていたら、なんかオッさんが話しかけてきた。ニコニコしながら。



「あ、はいそうです。」


「そうか、この場所はエミリーの演奏場所なんだ。金曜と土曜はエミリーがここで演奏するからすまないけど移動してもらえるかい?」






…………………ああああああああああんんんんん!!!!!
誰の場所とか知ったこっちゃねぇわこの野郎!!!!
路上はみんなのものだぞエミリーとか関係ねぇわ!!!

どんなビッチだ出てきやがれ!!!










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超可愛い。



相方、さらに可愛い。

photo:18








ああー、昨日歌ってたあのウクレレのほのぼのしたあの子ですね。
なんかイースター仕様でウサギの耳とかつけてきてますね。自分のキャラよくわかってらっしゃるっていうか親がやらせてんのか?


エミリーがぽろんぽろん歌って、その横で小さな妹がバスケットの中のイースターチョコを配るという勝ち目ゼロにもほどがある鉄壁の布陣。

こちとら汚いアジア人2人。
メキシコのルチャリブレのマスクならありますが。





全然向こうで余裕ッスから、と大人の余裕を醸し出しながら昨日のポイントに行ってみると、広場のところで機材を組み上げたステージが出来ており、パソコンを駆使したデジタルミュージックにディジュリドゥをフューチャーしたイカしたライブが行われていた。


おお…………かっけェ…………








やる場所がなく、仕方なく少し人通りの少ないあたりまで離れて演奏を開始したものの、100mくらい向こうで今度はジイさんがペキョペキョとブルースを弾いている。


だからこんな静かな通りでアンプ使う意味がわからねぇ!!




うるさいけど我慢して歌っていると、ジイさんこっちにやってきた。



「おい!この野郎!!てめーがここでやったら俺の稼ぎが減るじゃねぇか!!ああん!?うせやがれ!!」


「ええ?なまりがひどくてわかりません。」


「てめー、路上演奏ってのはなぁ!!150フィート離れないといけないんだよ!!近ぇんだよ!!」


「フィートがわかりません。」


「コノヤロウ……チッ!!」



怒りながら自分の場所に戻って行ったジイさん。


てめー………アンプ使ってるし、これだけ離れてたらてめーの声は聞こえても俺の声はそこまで聞こえねぇだろが?

ジイさんはたどたどしいブルースを弾いて独り言みたいにぶつくさ何か言ってるだけでお金はほとんど入っていない。

なので俺が近くで稼いでるのが気に食わないだけのことだ。

知ったこっちゃねぇよ。





と、言いたいところだけど、ここはジイさんの方がヌーサの先輩。
若干頭のおかしい感じの人だけど、一応立てておこう。

ヌーサで稼ぐ以上、他のバスカーともめたくないので、和解の意味を込めてジイさんのところに行って50セント入れた。

その瞬間、機嫌がよくなるジジイ。
さっきまで超敵対視してたのに。



「ヘイブロー!!一緒にギグしようぜ!!カモン!!ロックンロール!!」


「………嫌です。」


「なんでだよ!!お前がギターを弾いて俺が歌う!!俺のアンプ使っていいからよ!!お前とギグしたいんだ!!」


「………嫌です、向こうでやります。」


「イェーイ!!ジョニービーグッド!!」





ジジイを無視して歩いて行くと、さっきのディジュリドゥバンドが終わっていたのでそこに移動して演奏再開。

photo:19



さすがにホリデーの土曜日の夜。
人通りは増える一方で、どこのレストランも満席で大混雑。

通りにも人が溢れかえり、どんどんお金が入っていく。

よーし!この調子でガンガン行くぞ!!

photo:20












しばらくするといきなりさっきのジジイ、スティーブ爺さんがやってきて、なんかわけわかんないことを言いながら俺の横でギターを取り出した。

こいつ、うっとおし!!と思っていると、ギターを俺に渡してきた。

そしてヘッドマイクを俺の頭にはめて、アンプにつないだ。


「よっしゃ!!これでやりな!!もっと稼げるぜ!!」


自分のギターとアンプを俺に貸してくれるみたい。
スティーブ爺さんなりの友好の気持ちみたいだ。

photo:21




ていうか路上でアンプ使うのって、何気に初めてかもしれない。
日本でもずっと生音でやってきた。

一応何曲かやってみるけど、モニターがないので出音がどんなんかわからない。
これでいいのか?と不安になるけど、アンプを通した途端いきなりお金の入りが良くなった。

やっぱりはっきり大きく聞こえるほうが通行人には分かりやすいのかな。




でもやっぱいいや。
アンプ面白くない。

路上のギター弾き語りってのは生音だからこそ味があるものだと思っている。
シンプルであればあるほど表現の幅が広がるものだ。

電気を通したら聞いてくれる人の間に何か壁ができるように感じる。

やっぱり路上は生だ。



「スティーブ、ありがとう、でもアンプはいいかな。」


「ああ!?なんだてめー、変わったやつだな!!じゃあ使用料で5ドルもらっとくな。」



そう言ってギターケースの中から5ドルを取るスティーブ爺さん。


こ、コノヤロウてめぇ!!

全然友好の証じゃねえじゃねぇか!!








photo:22



ふぅ、まぁいいや。

時間は22時になり、人通りも少なくなってきた。
この時間になると酔っ払った若者ばかりになるのでヌーサといえどガラが悪くなる。

とにかくアジア人と見るやおちょくってくるのでムカつくんだけど、奴ら体がデカイのでもし囲まれたら勝ち目なし。

ギターを片付けてヘイスティングストリートを後にした。


今日のあがりは115ドル。










ゆうべろくな場所で眠れなかったので今夜も寝床探しで歩き回った。

海沿いは人が多すぎるので坂をのぼってジャンクションの方へと向かう。



この坂の途中にKBというバッグパッカーホステルがあるんだけど、周りは何にもない静かな場所でそこだけが狂気のように盛り上がっていた。

聞いた話では週末の夜になるとこの宿自体がクラブと化して、全員が全裸になって水をぶっかけまくりながら踊り狂うというただのアホの溜まり場になるそうだけど、まさにそれが繰り広げられているようだった。


宿の周りに若者の酔っ払いたちが溢れかえっており、騒ぎまくっている中を俺たちが歩いたらまぁ絡まれるよな。

ヘーイ!!ファッキンエイジアー!!とかなんとか叫んでくるボケどもを無視して歩いた。











しばらくすると暗い公園を見つけた。

もう2人とも疲れて汗をかいて、ジュンペイ君の顔からもう嫌だっていう感情が伝わってくる。

頼む、いい寝場所あってくれ………






そして公園の真ん中に小屋を発見。

屋根あり、水道あり、テーブルあり、おまけにバーベキューコンロまであり!!


オーストラリアの公園には誰でもいつでも使っていい公共のバーベキューコンロがあり、ボタンひとつで自動で火がつき、しかも使用後にキチンと洗わなくても毎日お掃除の人がピカピカに清掃してくれるという奇跡的なサービス。

なんつー、国民の豊かな暮らしを追求してる国だよ。






やっと見つけた落ち着ける場所に2人とも安心してテーブルで乾杯。
夜の公園で飲むビールの美味いこと………

静かな公園の中、遠くのほうで叫び声がこだましている。
ホステルの若者たちだ。
それが余計に公園の静寂を引き立たせる。

photo:23









するとジュンペイ君がおもむろにiPhoneで音楽をかけた。

聞き覚えのあるピアノの前奏。


トムウェイツのクロージングタイムのアルバムだった。

ジュンペイ、なんて話のわかる男だ。







優しいピアノ、しわがれ声、切ないメロディ。

いくつもの思い出が暗闇の中に浮かんでは消える。



そしてふと気づいた。
英語の歌詞をだいぶ聞き取れるようになっている。

中学、高校の時はただ訳詞カードを見てこんな意味なんだなって理解していただけだったけど、いつの間にかこんなに英語が自然に頭に入るようになっていた。


トムの言い回しとか、微妙な感情とかが、今までよりもより深く理解できる。
神のように崇拝していたトムも、ただの1人の人間なんだよな。






いつもあのメロディを聞くたびに
俺の中で何かが壊れる

グレープフルーツのような月










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