空を歩く

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コメントへの返事が遅くなって申し訳ありません。

現在、南米脱出に向けてスーパーバタバタしているので落ち着いたら全部返事させていただきます!!

いつも温かいメッセージ、本当に感謝します!!







3月5日 水曜日
【ボリビア】 ウユニ塩湖






ついにこの日が来た。



って南米に来て何回言ってるかな。
毎回有名観光地に来るたびに言ってる気がする。

それくらい南米には面白い場所があるし、裏返すとこれらの一大観光地以外はそんなにこまめに回る必要はないのかもしれない。

ディープな旅を望むならばいくらでも深く潜ることもできるが。




そんな南米の中でトップ5に入る絶景を今日、ついに見に行くぞ。









photo:01



寂れたウユニの町はひと気のない通りがぼんやりと伸び、道路脇に砂が溜まっている。

高地らしい空に近い大地に太陽がさんさんと降り注いでいる。

風はあまりない。天気申し分なし。

ほらね、やっぱり俺は本番に強いぜ。








のんびりと中心部に向かって歩き、レストランが並ぶ観光客通りに入ると一気にバッグパッカーたちの姿が増える。

白人旅行者たちがベンチに座りのんびりと話をし、公園の真ん中にあるスペースではヒッピーたちがテントの周りで楽器を弾いてウダウダやっている。



そんなメインストリートを抜けると日本人宿、日本人ご用達のツアー会社があるんだけど、ここだけ本当に日本。


うじゃうじゃと日本人の若者たちが歩き回っており、みんなバッグパッカーのそれではなく、渋谷にいそうな派手なファッションに身を包んでいる。


俺はもうツアーは決まっている。
出発は15時なのでそれまで歌いに行こう。









近くのWi-Fiスポットで8ボリビアーノ、120円を払って少しインターネットに繋いでいると、iPhoneを片手にウロウロしている男の子を見つけたのでここでWi-Fi貰えますよと教えてあげた。

少し世間話をして、2人で晩ご飯を食べに行くことに。








大学の卒業旅行で来ている短期旅行の男の子とメルカドの食堂へ。

こういうとこ来たことないですと言う彼といつものチキンとライスのご飯。
13ボリビアーノ、200円。




「少し前まで何人かで行動してたんですけど、日本人ばかりといるとどうしても他の人に頼ってしまって現地の人と交流できなくて。だから今思い切って1人で動いてるんです。」



そういう爽やかな大学生の彼とゆうべと同じ路上ポイントへ。

人通りは少ないがまぁこんな小さな町だから仕方ない。



「あー、金丸さんー、おはようございますー。」


「あ、金丸さん、チャっす。マチュピチュぶりっすね。」



準備をしているとたくさんの日本人が話しかけてくる。
意識してなかったけど、いつの間にか結構知り合いが出来ていたんだな。

暑いくらいの日差しが照りつける中、ギターを鳴らした。










ゆうべみたいな人だかりは出来なかったけど、それでもたくさんの人に聴いてもらい1時間弱で路上終了。

もう時間がない。そろそろ準備しないと。

聴いてくれたみんな、ありがとう!!

あがりは52ボリビアーノと200チリペソ。それと2ドル。
千円くらいかな。












よーし!!!!!
ついにウユニだぞコノヤロウ!!!!

これまでも数々の旅人たちのFacebookやブログで見てきたあのウユニ。
一体どんな絶景を拝ませてもらえるのか!!楽しみすぎる!!






ツアー会社の前に行くと、もうわけわからんくらいの日本人たち。

この15時からのツアーに参加する人たちで溢れかえっている。

女の子たちのメイクが半端じゃない。
みんな気合い入りまくってるな。










「こんにちはー!!よろしくお願いしますー!!」


「あ、どうもー、今日はいいもの見られるといいですね。」


15時前になり俺たちのツアーメンバーが集まってきた。
昨日会って意気投合したレゲエ好きのケン君も急遽参戦することになったんだけど、その代わりにサトル君たちの関西人グループの1人が体調を壊してしまい参加することができなくなってしまった。


ここまで来て体調のせいで行けないなんて可哀想にもほどがある………

でも南米の発熱には細心の注意を払わないといけないからなぁ。
賢明な判断だと思う。







ということで当初と変わらず7人のメンバー。

周りの他のツアーの日本人たちがキャッキャと盛り上がりながらそれぞれ7人グループでランドクルーザーに乗り込んで出発していく。


そして俺たちの車も到着。

ドライバーは普通のおじさん。

みんなこのドライバーが重要なんだという。



日本人たちはブログや口コミで仕入れた情報を元に人気のあるドライバーを指名するらしく、それぞれのツアー会社にやり手のドライバーがいるそう。

人気ドライバーは完全指名制くらいの勢いで奪い合いが起きてるらしく、さらに確実にチップが発生するみたい。


なにがそうさせるのか?





例えば悪いドライバーに当たってしまうと、鏡張りのポイント取りが下手だったり、道に迷ってみたり、あっちに行きたいなどの俺たちの要望に対して、ここが1番いいとこなんだよ、と言って最低限の仕事しかしないという感じなんだそう。


それに対して人気ドライバーは、陽気に車内を盛り上げ、どの車よりもいいポジションに車をつけてくれ、さらにトリックアート写真などの腕前も抜群、といった具合。


みんな申し込みをする際に、だれだれをドライバーにしてください!!と必死にお願いしてたな。

まぁ俺はどうでもよかったので何も言わなかった。





んでやってきたこのドライバー。

声の小さい寡黙なおじさん。

………うん、きっとこういう人が実はいい仕事をしてくれるんだと……思う。


7人で車に乗り込み、うっひょおおおお!!!とテンションMAXで出発!!

だってあのウユニだもん!!
みんなめちゃ笑顔だ!!












町を抜け出した車は砂埃をあげながら荒野の中を走っていく。

山々が遠くに見え、自然以外は何も見えない中にのびるオフロードのような簡易的な土の道。

そんな道を何台もの車が連なって走っていく。

窓は閉めているが、エアコンの吹き出し口から砂埃がすごい勢いで入ってきて車内がもくもくと煙くなる。










しばらくすると車は道路から逸れ、ガタガタの土の上へ。

イヤッホオオアオイイ!!

と大盛り上がりの俺たちを他所に寡黙なおじさんドライバーはハンドルを切り、何もない地平線へと向かってアクセルを踏む。








1時間経たないくらいだったかな。

地面の様子が変わってきた。

一面の茶色い土だったのが、少しずつ水が混じり始めた。

ぬかるみだした地面の上を滑走していくランドクルーザー。

遠くに見える蜃気楼のような山の連なり。
空は驚くほどにただ青い。








やがてその水は白い物体へと変わり始め、それが地面を覆い尽くしだした。

気づけば辺り一面、どこまでも真っ白い大地へと変貌していた。

驚くほどの平面。
遮るものが何もないはるかな地平線の上にいた。


そんな大地の中で車が止まる。
みんなドキドキしながら車を降りた。









photo:03



目が開けられない。

白と青が鮮烈に世界を二分している。

あまりのまぶしさ。

photo:04





歩を進めると、ザリっと砂を踏む音がする。
しかしそれは塩の音。
視界に入る全ての地面が塩だった。

photo:05




ここで世界中の塩をまかなえるんじゃないかと思えるほど。

そんな白い大地は独特な結晶の紋様を描き、幾何学的なアートを浮かび上がらせている。



「すっげええええ!!!」


「半端じゃねえええええ!!!」


みんな大はしゃぎで外に飛び出し、すぐに写真撮影大会が始まった。

こんなに無限の可能性があるキャンパスの上では、一体どういう写真を撮ればいいのか逆にわからない。

この壮大さを伝える技術なんてとても持ち合わせていない。





でも最初からやりたかったのはやっぱりトロールの写真を撮ること。

トロール、ついにここまで来たな!!
北欧にはこんな景色ないだろ。

photo:06









すると、車にもたれてずっと黙って俺たちがはしゃいでるのを見ていたドライバーのおじさんが、俺のiPhoneを寄越せとジェスチャーしてきた。


そして向こうの方に立てと言う。

口を開かず、手で少し右、もう少し手前と指示を出してくる。



おじさん、いつものことのように専用のマットを塩の上に敷き、その上に腹ばいになってiPhoneを構える。



そして撮れた写真。






photo:07



う、うめぇ(´Д` )



「あ、ありがとうセニョール!!」


「…………」


何も言わずに親指を立てるジョンウェイン。

塩の荒野のカウボーイ。






7人のメンバーそれぞれも、お互いに協力し合ってお互いのイメージを伝えて写真を撮っている。

みんな率先してみんなが満足のいくものを撮れるよう努力している。

いいメンバーだ。




そうやって塩の大地をひとしきり満喫したところで、みんな車に乗り込んだ。


さぁ、ここからがウユニの真骨頂。
鏡張りのポイントへ移動だ。












塩の大地の中をひたすらに走っていくと、じゅくじゅくと地面が水気を含み出す。

それまでの乾いた塩が、まるで溶けかけの雪のようにシャーベット状になった。

バシャバシャとわだちを作りながら走っていく車。



遠くの方に何台もの車が見える。
他のツアーの人たちのものだ。
青と白の狭間にポツリとあるその小さなシルエットは、まるで空に浮いているかのように見えた。









俺たちを乗せた車は、そんな他のジープたちの間をすり抜け、湖の奥の方へと進んでいく。

どうやらこの辺りがポイントのようで、たくさんの日本人たちが湖の上を歩いている。

こんなに混雑していたら必ず視界の中に人の姿が入ってしまう。

それではウユニの本当の姿ではない。

そんな俺たちの気持ちを察してくれたのか、ジョンウェインは混雑地帯を離れてかなり奥の方まで進んでくれた。











はやる気持ちを抑えながらみんなで長靴に履き替える。
ウユニは濃度の高い塩の湖。
少し水が服につくだけで真っ白になってしまう。


準備を整え、ドキドキしながら車を降りた。

一体どんな光景が………!!!!










photo:08



…………えーっと………ここじゃないよね?

なんかイメージしてたのと全然違うんですけど。


今年のウユニはすでに乾季状態に突入していてほとんど水がなくなっているとは聞いていたけど、これがそういうことなのか?

水はあるけど、全然何も反射していない。

photo:09





「風っすね。ちょっと風があるから波が立ってます。あー、止んでくれるといいんだけど………」


今回が3回目のツアー参加になる、レゲエ大好きなケン君。
最初のツアーではもう本当に暴風でただの海みたいに波が立って、何ひとつウユニらしい景色を見ることができなかったんだそう。

仕方ない。相手は自然。
こればっかりは運でしかない。




今俺たちの目の前には静かに波の立ったすりガラスのような湖面。

photo:10



マジか………ワンチャンスの勝負だったんだけどな………

俺もついてなかったか………











みんなの輪から離れ、薄く張った水の上をパシャパシャと歩く。

どこまでも広がる広大な空。

地平線はいつか果てるけれど、この空は次の目的地のオーストラリアにも続いている。
もちろん日本にも。






たくさんの人が帰りを待ってくれている日本。生まれ育った土地。今もあの日本の暮らしは俺のいないところで繰りかえされている。

今、遠く離れた地球の裏側に佇んでいる。

子供の頃に見上げた空がこんなに広いなんて想像もしなかった。






豆粒のような自分。

こんな大自然の中にいると自分の命の頼りなさに震えがくるようだ。
遮るものがない無防備さが怖くさえ感じる。

空の青は、まるで心の中の悲しみのように鮮やかに。











風がやんだ。

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空と大地が溶け始めた。

まどろみながら空を飛び、空を歩いた。




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風邪を引いたときに、うなされて見るあの不思議な夢の中の光景が現実に目の前に現れた。

目を疑うというか、自然を疑うというか。

でも確実に目の前で起きている自然現象だった。

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やがて太陽が傾き、色を変え、全てを染め上げた。

なんてシンプルな自然のサイクル。
でもそのあまりの美しさに誰もが立ち尽くすのみ。

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太陽はこの世界から姿を消し、向こう側からこちらを少し照らして光を失った。

暗闇が世界を覆った。










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すべての瞬間があまりにも幻想的だった。
空想の絵画の中にいるような奇妙な感覚。

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この世のものとは思えない、というのは俺がただ地球の壮大さを思い描けない小さな男だからだ。
世界にはこんなにも美しい場所がある。

行けてよかった。
この人生でよかった。

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日が沈み、真っ暗闇の中を走る車の中は、みんな興奮冷めやらず、マジやばかったー!!と盛り上がりっぱなしで、誰も疲れて眠らないままウユニの町に戻ってきた。

このままこの感動をみんなと共有していたくてみんなでご飯食べに。



今日はいいもの食べようぜ!!ということで観光客通りのイタリアンレストランへ。

昨日一緒に飲んだヨウスケ君とリカちゃんも呼んで、みんなでひたすらに感動を伝えあった。



「マジパナかった!!」


「いやー!!マジパナかったね!!」


「100%満足!!パナすぎ!!」


もうなんか興奮してボキャブラリー少なすぎるアホみたいになってたけど、あれを言葉で表すのは難しいよ。

なんだかこうして町に戻ってきたのに、あの驚異的な自然のスケールが頭にこびりついていて、この人間界の全てのものがショボく見えてしまう。


でもピザはうめえ!!!

ピザとか久しぶりいいいいい!!!!











お酒も進み夜はふけ、若い大学生のみんなは先にホテルに帰って行った。

残った長期旅メンバーでお店をかえて、もう一杯。
俺もヨウスケ君も明日の朝4時のバスという拷問みたいな早起きをしないといけないんだけど、この夜をどこまでも楽しみたくて帰る気はなし。

ビールを注ぎ、乾杯した。







「フミさん、俺ちょっとフミさんに渡したいものがあるんす。」


熱い男、ケン君がそう言ってカバンの中から何かを取り出した。

1枚の紙。


広げると、そこには最高に素敵な絵が描かれていた。

photo:27




世界はひとつ。その突き立てた手に世界中の国の国旗が描きこまれているという熱いメッセージが込められた絵。

そしてその手の下のところに、昨日線路のレールの上で語り合った言葉が書きこまれていた。

根性と夢。



「俺、タイミングってやつをすごく大事にしてるんです。ただの出会いでもタイミングですごく意味って変わってくると思うんすよ。そういう大事な出会いがあった時に、俺何かを渡すようにしてるんです。今回の金丸さんとの出会い、俺にとってすごくデカイです。マジで出会ってくれてありがとうございます。」




この絵を見てもわかるように、ケン君はとても素晴らしいアーティスティックな才能を持っている。

さらに絵だけでなく書道もやっており、書とアートを融合させた個性的な表現を試みている。


「やりたいことはあるんです。この絵と書道はずっとやっていきたいんですけど、それをどういう風にしていきたいかがわからなくて。フミさんに会ってすげー刺激になりました。」










ウユニ塩湖、すごかった。
自然の作り出すアートはとてつもなく美しい。
でも人間の作り出すアートも捨てたもんじゃないと思う。

というかこんなにも様々なものを生み出すことのできる人間そのものがアートだ。


またいい仲間ができた。
これだから旅はやめられない。





ウユニ塩湖、最高だよ。
一生に1度は必ず行くべき場所。

photo:28










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