アコーディオンが聴こえる

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7月21日 土曜日

ポツポツ、という音で目を覚ます。
寝袋を叩く雨音だ。
眠りが浅いせいか、そのわずかな音で飛び起きた。

急いで近くの大きなもみの木の下にかけこんだ。
空は明るいがまだ朝の4時。時間の感覚はすでに狂いっぱなしだ。

モーニングコーヒーを飲んで、一息ついてからマーケットを出たが、雨はやはり降り続いている。
今日はもう止みそうもない。
このままここで雨が止むのを待ち続けていたら、時間の浪費という罪悪に押し潰されてしまう。
金は出来ている。
先に進んでしまうか。


駅で32ユーロの切符を購入し、地下道へ行ってみた。
そこにはやはり彼がいた。

人通りもまばらな地下道にアコーディオンを抱えて立つ兄さん。
オウルに来てから毎日、調子はどうだい?とお互いの演奏場所に顔を出し合っていた。
これからオウルを出発すると言うと、彼はとても残念がり、彼の故郷の話をしてくれた。
彼の故郷はルーマニア。とても美しい国だという。
ほんの小さな子供の頃からアコーディオンを弾き続けてきたという彼。ボロボロの楽器。

最後に一緒に演奏した。
彼はAmの3拍子でしか演奏できないので、それに合わせて即興で歌う。
思いのほか気持ちよく音が重なった。

「GOOD LUCK」

その言葉は別れに潔さをくれる。
ホームに上がり、列車に乗り込む。
乗客もまばらな車内は子供の話し声が少し聞こえるだけ。

その時、外からわずかにアコーディオンの音が聞こえた。
彼はこれからもずっとあそこに立ち、やってくる旅人たちを迎えるんだろう。
哀愁漂うその音色はきっと俺に送られているものだと思った。
さよなら、オウル。


そして、2時間半かけてやってきたのは!!

そう!!ロヴァニエミ!!




おらぁぁぁーー!!!

サンタどこだコラーー!!!

好き放題不法侵入しやがって!!

てめーのアジトまで来てやったぞ!!


そう、ラップランドの奥地にあるこのロヴェニエミの町は、あのサンタクロースの村がある場所。
やつらはここから世界中に不法侵入をしに出かけていくのだ。

やつらのアジトに潜入してやる!!



あ、シャトルバスが出てるのね。
どうもご丁寧に。



今日はもうそんなに時間がないので後回しにするとして、とりあえず町の散策。

ヘルシンキからずっとのぼってきたけど、北に行くごとに田舎になっていってるな。
なかなか閑散とした町だ。

それでも中心部のメインストリートにはお店が並び、それなりの景観。
人通りはオウルと比べるまでもないが。

お、早速ギターの音が聴こえる。
歩いていくとオープンカフェでミニライブをやっていた。
やっぱあれだな。北欧の歌うたいは高音の出し方がメタルっぽい。
ちょいと聴いていこうとコーヒーを頼む。
1ユーロ。安い。
シナモンロールはどう?とすすめられる。セットで1ユーロ50セント。安い!!
photo:01



それからも町中を歩き回っていると、色んなところで野外ライブをやっていた。
メインストリートの中央にある広場にもステージが組まれバンドのセッティングがしてあったしな。
ロヴァニエミの人は音楽が好きなんだろうな。
ただ野外でライブしまくってるから路上がしにくい。


とりあえず眠れる場所を探して川沿いを歩く。
見渡す限りの森と豊かな川。おとぎ話の中のようだ。
photo:02


向こう岸にキャンプ場みたいなのが見えたので行ってみた。

入っていいのかなー、と入り口にやってくると、やっぱり受け付けがあって中は有料だという。
たぶん15ユーロくらい。シャワーがあるのは魅力的だが、そこはケチっておきたい。ベッドで寝られるわけでもないし。

「forest is free」

あっちの森ならタダだよ、って軽く言うじゃねえか。
仕方ないので言われた森のほうに行ってみた。


えーっと………



これですか?
photo:03




なめてるんですか?



サムライなめんなよ!!



まぁ武士は食わねど高楊枝。
寝てやろうじゃねえか。
いざ森に突入。


くそ、雨が降ってきた。
息を切らせながら登山道を登っていく。
俺、なんでこんなとこで山登ってんだ?

日本の山では見ないような植物たちの中を1人どこまでも歩く。
荷物が重くのしかかり、肩の感覚が薄れている。
町で見た時の気温が12℃くらいだったので、もう少し低いかもしれない。
それでもほんのり汗ばむ体。

日本から遠く遠く離れた見知らぬ外国、それも北極圏の地で、あてもなく森の中を歩き続ける。
人の気配はどこにもなく、ただ1つの動物となる。
やがてわずかな目的意識も遠のいた時、不思議ととても神聖な気持ちに包まれた。
感覚とはなんて複雑で、あやふやで、尊いものなんだろう。
photo:04



しばらくすると森の中に線路が見えてきて、横断すると車道に出た。
さっきキャンプ場の受け付けでもらったロヴァニエミの地図を見て現在地を確認。
この道をずっと歩けばサンタの村に行けるはず。


雨の中歩き続け、肩が限界に達した時、小さなバス停が見えた。
助かった。ベンチも屋根もある。

今夜の寝床はここだなと、小走りに急いだ。

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