アムステルダムに酔いしれよう

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5月14日 火曜日
【オランダ】 アムステルダム










「ヘイ……ヘイ!!グッドモーニング~!!」




「ハイハイハイハイ!!」




外から呼ぶ声に目を覚ましてテントを開けると、そこには公園の清掃員のおじさんがニコニコして立っていた。



「ここは警察来たらマズイよ。早くたたんだほうがいいぜ。俺たちとして問題ないけどね。」


おじさんはそう言って芝刈り機に乗って去っていった。





まだ7時。


寒い。




そういえばいつの間にかだいぶ北まで来たよな。


小鳥のオーケストラが響き渡る幽玄とした公園の中、テントのチャックを閉めてもう一度寝袋にくるまった。













その30分後。








「ヘイ………ヘイ!!グッドモーニングー!!」





もうー、しつこいなぁ。

渋々テントを開けると、そこには4人の警察が立っていた。


やべ。








「外に出なさい。パスポート見せて。」


早くテントをたたんでどっか行きなさいと注意されるだけかなと思ってたら、一瞬で目の覚めることを言われる。




「えーっと、何のためにここでキャンプしてるの?」


「お金の節約のためです。」


「お金の節約……と。」



何か調書みたいなの書いてる屈強そうな婦警さん。

殴り合いしたら一瞬で泣かされそうなガタイ。




「はい、これ切符。130ユーロね。罰金。」










ここで漫画だったら、森中の鳥たちがギャーギャー!!鳴きながら一斉に飛び立つところですね。




130ユーロだってー。

ケバブって3.5ユーロなんだよねーウケるー(´Д` )
















ひゃくさんじゅうううううううううう!!?!!!??!






「ぼぼぼ、ぼぼ、勃起。じゃなくて、僕そんなにお金持ってません!!ひいいいいい!!!」


「そう、じゃあ後からここの住所のところにお金払いに行ってね。」



photo:02








終わった。


終わりました。


よし、このままフラフラ街を歩いてチャリに跳ね飛ばされて運河に落ちて船に轢かれようかな。





「いつまでオランダに滞在するの?」


「………あ、明日出るつもりです………」


「そう。今後オランダに戻ってくる予定がないのならあなたを見つけることは出来ないわね。」



意味深にそう言って俺の目をチラリと見る婦警さん。

オランダを出ればあなたを見つけることが出来ない?







…………あ、そういうことですか。



話のわかる婦警さん!!!









テントをたたんで警察たちを見送り、さて行こうかなと思っていると、今度はまた違うお巡りさんたちがやってきた。



なにやらカメラマンと同行している。

カメラに向かって喋っているお巡りさん。
photo:01





「ここでキャンプしてたのかい?どこから来たの?日本?コニチワ!!ハハハー!」


アムステルダムの地方番組の収録で、この公園を舞台にした取材をしているところとのこと。




俺のことも撮りたいと言ってきた。

アムステルダムにやってきたヒッピーバッグパッカー的な扱いなのかな。




「どうやってここを見つけたの?罰金はいくらだったの?」


「うう……ぼ、僕、ゆうべこの街に来て………ううう……何も知らないでここで寝てたら警察が来て………ひいい………130ユーロ払えって………ほひ……。」



カメラに悲劇を訴えておきました。


いや、本当はちゃんとにこやかに話ときましたからね。

アムステルダムにお住まいの方は是非見てみてください。


ていうかチャリ乗りすぎ。
photo:03















おっしゃ!!

西欧の中でも特殊なオーラを放つ自由の街、アムステルダム巡り!!
気合い入れて行こうか!!



まずは、ゴッホいっとくかー!!!





入場券15ユーロだと!!

高えんじゃねえのか!!?

ルーブルでも11ユーロだったんだぞコノヤロウ!!

ていうか野宿の罰金が130ユーロってどういうことだコノヤロウ!!!!
婦警ごつすぎるんだよああ?!!







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おっと、彼はルーブルからの参戦でした。




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うおお………自画像だ………

ゴッホの自画像………





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ヒマワリだよー…………



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やっぱ俺こういうアーティスティックな絵が好きだなぁ。

写実的な宗教画ってのはどうも好きじゃない。


それに比べてこの一見幼稚とも思えるデッサン画。

photo:09




しかし向き合っていると、ゴッホという人間の人生が迫ってくるようで息が詰まりそうになる。



筆先でチョンチョン、と小さな点を打つ、点画の技法の絵をいくつも見た。


子供が書いたような何気無い風景画とか。




公園のおっさんが描いてるような自由で柔らかい画風。



しかし、やはりデッサン力だろうな。

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圧倒的なデッサン力があるからこそ、何気無い風景画にも空気や臭いや感情までを感じ取ることができる。

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そして色がすげえ。

空を緑色で描いているんだけど、異様なはずのその色に全体的な調和と不思議な奥行きさえ見えてくる。


この絵、好きだな。
孤独や、自然への畏敬や、実りの喜びが全体から溢れてる。

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ダイナミックさと繊細さ。
おぼろげだけど鮮明に。

油絵のお手本みたいな画家なんだな、ゴッホって。

ピカソとかムンクみたいな奇抜さはないけど、正統派な芸術性をビシビシ感じる。

15ユーロの価値アリ!!














美術館を後にして、ポテトをつまみ街のメインストリートに向かった。

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駅前からのびるかなり長いショッピングストリート。

これまでの首都のショッピングストリートとは違って、道幅が狭く、雑多にお店がひしめき、とてもローカルな空気が漂っている。

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いい感じだな。







歩いていると、ちょうどいいスペースがあったので、そのままそこでギターを抱えた。


こんな大都会なのに、昨日今日とまだ1人も路上パフォーマーを見ていない。

おそらく厳しく規制されているはず。

今朝みたいに、いきなり罰金ってパターンもありえる。






でもやってみなきゃわかんない。

やらないで、多分無理だから、なんてクソの言い訳だ。



人がごった返す通りに歌声を響かせた。

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まだ観光が残ってるし、今夜には移動したかったので2時間だけにしておいた。


意外にも警察来なかった!!

そしてあがりは35ユーロ。
よしよし、悪くない!!














ゴッホという芸術に触れた後は、女体の芸術に触れましょう。

駅前の運河に沿った飾り窓地区へ。

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知る人ぞ知る、有名風俗街です。


飾り窓地区って名前がまたいい。

話では建物の窓に下着姿の女の人が立っているということなんだけど…………



日本では吉原とか金津園とか、レアなとこでは渡鹿野島とかがキチッとした風俗街ですね。


あの、決してひなたには出てこない、人間の秘められた部分の象徴である風俗街というものの怪しい魅力が好きで、日本を回ってるときもよく探検しに行っていた。


小名浜とか雄琴とか。







まぁそういう日陰の商売にはヤクザがつきもの。

女を売る仕事と男を売る仕事は切っても切れない関係。


ここもマフィアとかいそうでちょっと怖いな……


大丈夫かな………







photo:20



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photo:22






はい、ただの観光地です。




裏路地の中に土産物屋さんがワンサカです。

エロい下着とかオモチャとかのお店が異常なほど並んでます。

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ルイビトン、みたいな高級そうな店構えのお店がバイブ専門店だったりしてます。


白人観光客のおばちゃんたちが、あらまぁ~!!って喜びながら歩いています。

photo:23






性の観光地。

お、オープンだぜ………さすがはアムステルダム。








そんな通りからさらに裏の小径に入っていく。

photo:27




んー、飾り窓ってどんなんなのかなー…………


今もそんなの残ってるのかなぁ。







うおっ!!!!


なんか人か動いたと思ったら、すぐ横の薄暗い窓の中に、下着姿の女の人がいるううううう!!!!


こっち見てるううううう!!!!


怖い!!怖いよー!!

なんかプレイボーイの表紙みたいなスーパーボディの大きな女の人が、窓の中で髪の毛かきあげたりしてるううううう!!!!










よく見ると、この小径の両側の窓、全部そう。


バービー人形みたいな女の人が各窓ごとに展示されている。


それを昼間から酔っ払った男が笑いながら品定めしている。

photo:26




うおー………すげえ。

すげえ、伝統感じる。

映画の中の一コマみたいだ。





まさにヨーロッパの飛田新地。

写真撮影禁止なのも飛田新地と同じ。





やっぱりこの秘められた裏通りの空気が大好きだ。


ちなみにいつもコメントを下さる宮田さん情報によると、地元価格50ユーロで、観光客価格が100ユーロだそうです。

日本に比べると若干安いかな。




ちなみに僕は10代のころに若気の至りで一度だけソープランドに行って、田舎の公民館でカレー作ってるようなおばさんに弄ばれたことがトラウマになってそれ以来ソープには行ってません。








photo:28



コンドーム屋さんがあったので、18日に会う約束をしている方へのお土産を買った。

アムステルダムらしいコンドーム、5個入り、10ユーロ。



photo:29



極小サイズのコンドームがあった。

ば、バカにしてんじゃねえぞ!!













photo:30



そんな怪しい空気がネットリ漂っている飾り窓地区の裏通りをさらに香ばしくさせているのが、




コーヒーショップです。


カフェじゃないです。

コーヒーショップです。



そう、マリファナを吸うお店です。

通りにマリファナの匂いが充満しています。




日本ではマリファナというと覚せい剤と同じ薬物と思ってる人がほとんどです。


でも実際、マリファナ、大麻はそこまで危険なものではなく、酒やタバコに比べても害が少なく依存性がないという説をとなえる人もいます。

はるか昔から、いたって自然に生活のすぐそばにあるもので、世界の田舎ではごく普通の婆ちゃんとかが飯の後の一服にふかしたりするようです。



僕はこうした旅をしているので、旅仲間が多いんですが、まぁたいがい吸ってます。
ごく自然に。

あとあんまり暴露するのもいけないんでしょうが、音楽やってる人は3割りくらいは楽しんでるんじゃないかな。


ライブハウスのドサ回りやってたころは、まぁたくさんの葉っぱ好きに会いました。


海外に出ればもっともっとやってます。

普通の会社勤めのおじさんとかも、家に帰ればリラックスのために吸ったりしてます。





60年代のヒッピームーブメントのころには、平和の象徴のようなものだったので、基本ヨーロッパで吸ってる人はみんなとてもピースフルです。

日本人ではいきがってる人が多いですが。




「ジャーにマイク授かり~!!ヨー!!」


みたいなラップする人いるじゃないですか。

あのジャーっていうのはレゲエマンたちの神様で、ラスタファリズムって宗教ですが、彼らの教えでは、マリファナを吸えば吸うほど神に近づけると言われているそう。


ボブマーリーとか、もう常にモックモクですよね。












もちろんダメですよ。

やったらダメです。


日本では物凄く厳しい法律で禁止されています。

捕まったら人生めちゃくちゃですよ。

そういう友達何人か見てきました。







でもここはアムステルダムですからね。

このコーヒーショップの中で楽しむ分には問題なしと容認されています。

持って出るのはよくないですが。










アムステルダムといえばコーヒーショップ。

これもブラックな観光のひとつ。

アムステルダムでコーヒーショップに行かなかった、なんて俺の中ではアムステルダムに行ったことにならない。



よーし、チャレンジしてみるぞー。











photo:31




怖いです。


とても入りづらいです。



マジでお店はいくらでもあって、どこでもいいんだけど、入りきれねえ!!




音楽ガンガンで賑わっているお店、まったりと落ち着いているお店、


どこもやっぱそれなりに異様なオーラを発していますので、マジで1人じゃ足を踏み入れづらい。










でも入らなきゃ、アムステルダムの本当の顔はのぞけない。


いざ、心を決めて1軒のコーヒーショップに入った。











photo:32



数人のおじさんが、プカプカと煙をはいており、静かな音楽が流れる店内。



「ハーイ、何にする?」


カウンターに行くと、メニューを見せられる。

とりあえずコーヒー飲もうかなって、



メニュー表ってマリファナのメニューだ(´Д` )

photo:33





モロッコ産、アジア産、スペシャルミックス、とかいろいろある。


基本グラム売りみたいだけど、それは吸い慣れてる人たち用。

俺は自分で巻いたことないからわかんない。



すでに巻いてあるジョイントを注文。
ミックスが3.5ユーロ。
ピュアが6ユーロ。


席に腰を落ち着けてコーヒーを飲み、火をつけた。








覚せい剤を想像してる人のために説明すると、マリファナでイカれた幻聴や幻覚は見えません。

興奮や快感も得られません。

効果が切れて禁断症状に苦しむこともありません。




お酒に酔う感じと似ています。

思考がゆっくりとなり、体の力が抜けてリラックス状態になります。

それだけです。


まぁこれは僕の症状ですからね。

人によって違います。








まぁ、そんなにいいもんじゃないです。

酒飲んでほどよく酔っ払ってればいいです。











目に見えるものが途切れ途切れに頭に入ってくる。

ポップミュージックのPVをずっと見る。

華やかに揺れるミュージシャンたち。




ゴッホの操る色、

飾り窓の下着の女の曲線、

香ばしい煙が混ざり合い、頭の底に沈殿していく。




あー、今日はもう何もできないな。

移動しようと思ってたのに。



アムステルダムの怪しい夜が、少しずつふけていったよ。








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