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3月16日 土曜日
【チュニジア】 チュニス
~ 【モロッコ】 カサブランカ ~ マラケシュ








チュニジアの出入国もしましたが、税金はなしです。
結構ゆるい国のようだね。







飛行機は朝8時に離陸。

地中海とアフリカの美しい海岸線を眺めながらのフライト。




11時にモロッコに到着した。







アフリカ大陸の北西の端っこ。
ヨーロッパへの玄関口。

美しい街がたくさんあるという。

まったく調べてないけど、入る前からかなり楽しみにしていたこの国!!!

イヤッホイ!!!













この時はまだ元気ですよね…………

アホみたいに………

ああ!!この時に戻って浮かれてる自分を殴りたい!!!





睡眠不足ってのもあったかな………
空港のベンチでも、飛行機の中でもほとんど寝てなかったから、集中力は欠けてたはず………

チクショウ………













あ、ちなみにモロッコも入国税いりません。


覚えてますか?エジプトで航空チケット買った時に代理店のやつらが言ってた言葉。


「チュニジアもモロッコも出入国税があるから、今ここで160ポンドを払えば格安だよ!!」


ど嘘です。
よく平気であんな嘘つけるよね。







カスタムでは、モロッコでの滞在先とホテルを聞かれます。

まだ決めてないです、と言うと、係官が勝手にホテルの名前を書いてくれます。













空港の外に出ると、たくさんのツアー会社の人や、ホテルのお出迎えの人が待ち構えていた。


世界三大ウザい国のひとつなので身構えてたんだけど、全然そんなことないじゃん。

タクシーの客引きなんて全然声かけてこないし、かけてきてもノー、と言えばすぐに離れる。


楽勝楽勝。









お金を20ユーロだけ換金した。

1ユーロ=1.14ディルハムだったかな。

空港の換金所はあまりレートがよくなく、1.05ディルハムだった。














ここはモロッコの大都市、カサブランカ。

君の瞳に乾杯うひょおおおおおあおおおおおおおお!!!!!!

もし女の子と乾杯する機会があったら絶対言ってやる!!!



とか調子に乗ってましたね。






殴りてぇ!!!
あの時の自分マジ殴りてえ………







はぁ………
ここで運命の電車に乗り込みました…………



空港発、マラケシュ行き。
130ディルハム。11ユーロ。
















電車は走る。カサブランカへ。

カサブランカから乗り換えて、マラケシュへ向かう道順。




シートは4席のボックス。
2人の賢そうな男性と向かい合って座る。

1人は仕事の資料に目を通している。
1人は学生風。




「どこから来たんだい!!」


「日本です。」


「ほんとかい!!ナイス!!ウェルカムトゥモロッコ!!」



そんなフレンドリーな会話もして、ほのぼのと電車は走る。












そしてカサブランカに到着。


「モロッコを楽しんでね!!」


「ありがとう!!ショコラン!!」


2人に挨拶し、荷物をかついで電車を降りる。

降りる時にお婆さんが大変そうにしてたから荷物を持って降ろしてあげる。










ホームの中で時刻表を眺める。

えーっと、マラケシュ行きは何時かなー。

13時ね。


今何時かな。



















iPhoneねぇ。













パニックですね。


でもすぐに思いつきました。

電車の中でiPhoneをいじって、そのまま自分の太ももの横に置いたのを。


完全に電車のシートの上に放置されている。



線路を見た。

向こうに遠く走って行く電車。

まだ出たばかりだった。










この時、ふたつの選択肢が頭を支配する。


★タクシーに飛び乗って次の駅に先回り。

★駅員さんに話して捜索してもらう。






俺は選択を誤った。


駅員さんに頼ってしまった。



マジか!!とビックリしながら急いでどこかに電話をかけてくれる駅員さん。


黒いカバーに入ったiPhone4sです!!と英語が伝わらない人々に必死に説明する。



次の駅にかけているのか、電車の中の駅掌さんにかけているのか。



返事は早かった。



申し訳なさそうに首を振るおじさん。



パニックが加速する。




どうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうする







ホームの中で動悸を抑えて頭をフル回転させる。

行き交う人々が怪訝そうに俺を見て行く。

顔面蒼白。

呼吸が乱れる。










電車の中で俺の前に座っていたあの2人。

会話をしてとてもフレンドリーな人たちだった。

そんなに貧しそうにも見えなかった。


俺が降りた後、シートに取り残されたiPhoneを見つけて、ああ、世界一周をしているあいつにとってとても大切なものだろう、と次の駅で届けてくれているかもしれない。

警察に届けてくれているかもしれない。

保管してFacebookで連絡をとってくれるかもしれない。

でもiPhoneは開くためのパスコードが必要だし。

いや、プロの手にかかったらあんなのすぐに解除できるはず。

ていうかそんなことする奴ならすぐに転売して闇に消えてしまああああああああああああああああああああああ!!!!!!!











やってきた電車に飛び乗る!!!


次の駅、その次の駅、そして終着の駅まで行き、たずねまくった。

もしかしたら、もしかしたら。














しかし、どこでも、答えは、ノンだった。





まだ諦めるな。警察署だ。


しかし場所がわからず、見知らぬ街の中をトボトボと歩き回った。





ここはどこだろう?

俺なにしてるんだろう?


人に聞いてたどり着いた警察署でもそんな落し物はないとバッサリ言われてしまった。


















元の駅に戻る。

ダメもとでもう一度聞いてみる。

何度も電話しただろう!!ないものはないよ!!とキレられてしまう。

そしてみんなが口を揃えて言う。





「ここはモロッコだ。日本じゃない。みんな貧しいんだ。もう絶対に見つからない。」






ホームの中でうずくまる。

どうしよう。


写真、ビデオ、日記、詩、ありとあらゆる情報。


iPhoneですべてをまかなっていた。



今何時だろう。

時計もない。










モロッコの小さな駅。

途方に暮れるしかない。


なにやってんだよ俺…………





















その時気づいた。

おいおい、探すことばかりに気を取られていたけど、もし拾ったやつが機内モードを解除して使用したらどうなる?
とんでもないことになるぞ?



やばい!!
すぐに契約をストップさせないと!!

どうする!!電話ないし!!日本大使館?!ジャパニーズエンバシーなんて英語理解する人いないぞ?!あ、翻訳機で翻訳すれば!!iPhoneねえええええええええええええええええ!!!!!!




「どうした?助けが必要かい?」


そこに話しかけてきたおじさん。
英語が喋れる!!

ことの次第を説明する。


「ジャパニーズエンバシー?カサブランカの街に行けばあるだろうが、もう17時を過ぎている。閉まってるよ。そして明日は日曜日だ。閉まってる。よし、そこに公衆電話がある。そこから日本の家族に電話して契約をストップしてもらうよう伝えるんだ。」



国際電話のかけかたなんてわからない。

するとおじさんが、日本でいう104的なところに電話して日本の国際番号を聞いてくれた。


そして大量のコインを片手に実家に電話。




「……はい……もしもし………」


「お母さん!!オレオレ!!モロッコにいるんだけどiPhoneなくしたから契約ストップさせといて!!」


「は……?モロッコ……?iPhone?」






モロッコでiPhoneて(´Д` )

オレオレ詐欺の話がでかすぎる(´Д` )


日本は深夜ど真ん中。
お母さん、寝ぼけ中。





「だからー!!iPhoneをなくしたから、明日ショップに行って停止させといて!!もう解約でもいいから!!」



コインの減り方が異常(´Д` )

1ディルハムで3秒しか話せない。




でもまぁ、なんとか伝えることはできた。
これで使用されることはない。













「盗難は転売が目的だからね。個人情報なんて彼らは興味がない。すぐにフォーマットされて、クリーンアップされてどこかの店先に並ぶよ。残念だけど、これが現実だ。」




ブラジルから仕事で来ているところだという、このおじさん。
賢くて、ユーモラスで、そしてとても優しい。

60歳を超える彼はかつてのヒッピーで、ウッドストックの時代に世界中をヒッチハイクで旅していた老兵だ。



「あれはフランスだったかな。俺も大事なものをトイレに忘れてさ。ヒッチハイクで次の町に向かってるところで気がついてね。すぐに車から降りて、近くのレストランに駆け込んだんだ。そして元の町に行く人を探したわけさ。そしたらイージーライダーってわかるかい?あんなハーレーダビッドソンのチームの人たちに、乗りな!!って言われてね!!ブルルーン!!!ブオオアオオン!!って走ったわけさ!!!」





俺を元気づけるために、大袈裟なくらい陽気に喋ってくれるおじさん。

彼の顔のシワや、ちぢれた白髪に、彼の送ってきた人生を見るようだった。






「君は今、マラケシュ行きのチケットを持っている。そのチケットは明日になれば使えなくなる。無くしたものを悔やんで、そのチケットを無駄にするかどうかは君次第だ。チケットが君の手の中にある以上、僕は前に進むべきだと思うよ。」




そして彼は最後にこんな言葉を言ってくれた。




「This is part of life.」



これも人生の一部だよ。




喜びも、悲しみも、すべては人生の一部。


これからもまだまだ続く、人生の中のほんの一部なんだ。

彼の顔の深いシワが、あまりにも多くのことを物語っていた。



胸が少し軽くなった。





ブラジルで必ず会いに行きますと握手して、マラケシュ行きの電車に乗り込んだ。














モロッコで1番有名な観光地、マラケシュ。

夜の22時に到着した。


歩いて街に向かう。

わかんないけど、とにかく人の流れについていく。



途中、ヤケにフレンドリーな兄ちゃんが話しかけてきた。


「ハローマイフレンド!!どこに行くんだい?」


「1番賑やかなところに。」


「よし、ジャマルフナ広場だね。宿はあるのかい?俺の友達が安くいホテルをやってるんだ。俺と一緒なら予約なしで泊まれるから安心して。さ、こっちだよ。」




これがヨーロッパなら、あー、いい人に出会えた、ってなるところだけど、ここはアフリカ。そしてこいつはイスラム教徒。
魂胆がミエミエすぎて相手する気にもならない。



しかし、iPhoneをなくした喪失感と虚無感が心を支配する今、誰かと話がしたかった。

誰かを信用して、誰かに信用されたかった。













30分ほど歩くと大きな広場にたどり着いた。


なんだこりゃ………



巨大な広場にはこうこうと明かりが灯り、太鼓や笛の音が入り乱れ、うじゃうじゃとたくさんの人が歩いていた。


白人観光客がレストランで笑い、それに群がる物売りや物乞い。

土産物屋や露店がひしめき、パフォーマーもいる。



あまりの活気に目が眩みそうにさえなる。




「さ、こっちだよ。」


兄ちゃんについて路地裏に入った。





細い路地が迷路のように入り組み、いや、こりゃ本当の迷路だな。


何度曲がっても同じような風景。

そんな細い路地に小さなホテルが無数に散らばっている。






兄ちゃんはそれらのホテルに空き部屋があるかたずねて回っている。


しかし、今日は土曜日。
どこも満室。

値段は100ディルハム、1000円が相場か。
安いとこは50ディルハムってとこもあるそう。




一生懸命探してくれる兄ちゃん。

しかし、それはすべて後からチップを請求するためのものだろ?

もしくはホテルの料金に上乗せして仲介料をもらうんだろ?



口では、これはホスピタリティだから!!と言っているが、もはやイスラム教徒の顔は嘘をついてるようにしか見えない。




「マイフレンド、80ディルハムが最安だよ。ここでいいかい?」


「ごめんね、50ディルハムなら泊まるけどそれがないなら外で寝るよ。」


歩き出すと、慌てふためいて止めてくる兄ちゃん。


「よ、よし!!わかった!!もう1軒知ってるところがあるからそこに行こう!!そこは70ディルハムだから!!」


「もういいよ。じゃあね。」


「マイフレンド、チップをまだもらってないよ。」


「ホスピタリティって言っただろ?」


「でも俺は君をここまで連れてきて、さらにたくさんのホテルを探して回ったんだ。チップをもらわないといけない。」


「君はお金なんていらないって言っただろ?じゃあね。」





諦めて消えて行った兄ちゃん。














広場の喧騒を横目に歩き回った。
今何時かもわからない。






寂しい。なんでこんな気持ちになるんだろう。

誰かと一緒にいたい。
話し相手が欲しい。



「マイフリンドー!!コニチワー!!ホテルを探してるのかい?」


また軽薄な兄ちゃんが寄ってきた。



「俺は安いところ知ってるよ!!50ディルハム!!日本人大好き!!」


「そうか、でも俺お金持ってないからお礼とかできないよ。ゴメンね。」


「な!!なに言ってるんだ!!バカにしちゃいけない!!これはホスピタリティなんだよ!!お金なんかいらない!!イスラム教では困ってる人を助けないといけないんだ!!俺はいいムスリムだから安心するんだ。」




iPhoneをなくして心が乱れていたのもあったけど、これらモロッコ人の嘘はすごく巧妙だ。

エジプト人が可愛く見えるほどに。








細い路地の中をたくさん歩き回った。

いくつもホテルをたずねて回った。

しかしどこも値段は100ディルハムを超える。

次に行こう、ここもダメだ、次に行こう、ここもダメだ、

こうして一生懸命探してあげてるアピールも、全部こいつの技だったんだろうな。








そしてようやく70ディルハムのホテルを見つけた。

ゆうべ寝てないのと、1日駆けずり回ったのとで、一刻も早く休みたかった。

受付に100ディルハムを払う。









「マイフリンド。じゃあ、これいいかな。」

ボケが親指と人差し指をスリスリさせる、あのいやらしいポーズをしてきた。







ガッカリだ………
こいつもか………

こいつは少しは信用できると思ったのに………




「何言ってるんだよ。お金はいらないって言っただろ…………悲しいこと言わないでくれよ………」


「そんなこと一言も言ってない。俺は君を案内したんだ。君は払わないといけない。」


「俺はお金ないんだよ………さっきも話しただろ?iPhoneなくして悲しいんだよ………」


「君の英語はわからない。早く払うんだ。」




friend、をフリンド、って言うようなボケに言われたくねぇ。




「なんで嘘つくんだよ!!お前はムスリムじゃなかったのかよ!!」


「知らない。わからない。君は悪い日本人だ。払うんだ。」






その時、ホテルの受付の人が、お釣りの30ディルハムを返してきた。


その瞬間、ボケが金をつかんで逃げようとした。

そうはいくか!!とそいつの手を掴んで中から金をもぎ取った。




「てめー!!なにしてんだコノヤロウ!!お前はムスリムじゃねえ!!汚い盗っ人だ!!」


「ジブラルタルジブラルタル!!タジン!!」


ついにアラビア語で叫び散らかしてきた。

ポケットの中から5ディルハムを取り出して投げつけてやった。


「なんだこれは!?ああ!!?あともう5ディルハムよこしやがれ!!」


「うるせー!!盗っ人の嘘つきヤロウが!!消えやがれ!!」





深夜の2時くらいにあんな大声で叫んで、ホテルの人たち迷惑だっただろうなぁ。




なんとか部屋に入り、荷物を置いて気を静める。

はぁ…………


なんて1日だ………



腹減った………
朝の飛行機の中で機内食を食べてから何も口に入れてない。



しばらくしてから、外に何か買いに行こうとレセプションに降りると…………






玄関の外、暗い路地の中、さっきのボケが張り込んでホテルの中を睨みつけていた。


これじゃ外に出られない。



俺がさっき、何も食べてなくてお腹空いてるんだー、と話していたので、食べさせないために嫌がらせをしているんだ。


なんてヤツだ………









せめての救いは部屋が個室だということ。
モロッコのホテルは基本個室みたい。
そして安い。











ベッドに倒れた。


荒んだ1日だった。


おじさん、これもパートオブライフだよね。

色んなことがある人生の中の、ほんの小さな一部なんだよね。


すぐに忘れられるさ。





目をつぶったら、空腹も、喉の渇きも忘れて一瞬で眠りに落ちた。






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