破壊された街

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10月21日 日曜日



羽毛布団って人類の宝だね!!!

気持ちよすぎて死んだように眠った。


ここはマリシアの家。

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階段を降りると、台所にマリシアとママがいた。
優しくて陽気なママ。
妖精のように可愛いマリシア。
そして物凄い蔵書を持つ学者みたいなお父さん。


「Yumi!!Do you? ah~…… Did you hungry?」

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英語下手だけど一生懸命話してくれるママ。どうしても俺をユミと呼んでしまう。アッハッハー!!と可愛く笑う。すぐに大好きになった。
お父さんはフリーの報道カメラマン。物静かだけど優しい笑顔。

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そしてマリシアがクッキーを焼いてくれた。
料理ブログをはじめるの!!と笑う妖精。ルーカスにしてマリシアにしても、日本に来たら大人気だろうな。
そして2人ともホントにいい奴だ。



マリシアは今日、通っている学校のある別の街へ移動する。
俺も次の街、ワルシャワへ行こう。



と思ってたんだけど、ママとコーヒー飲みながら尽きることなくお喋りしていたら、あっという間に時間がすぎてしまった。
もう一泊していいか聞いたら、

「何の問題もないわ!!ユミ!アッハッハー!!」


というわけで、お父さんと一緒に駅までマリシアを送りに行った。

今までの北欧やドイツとかのカッコいい近代的な電車に比べて、いつの時代?みたいな古臭い電車がやってきた。

その古臭さが別れをドラマチックにしている。

固くハグ。マリシア、次に会う時はもう大人になってるんだろうな。
色んなとこに行って、色んな経験して、お互いたくさん人を愛そう。
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電車は大きな音を立てて走り去っていった。



ブロツワフの街を父さんの運転する車で走る。


「フミ、ここらの建物はすべて戦後に建てられたものなんだ。なんでかわかるかい?ドイツ軍に完全に破壊されたからなんだよ。僕はヒロシマの写真を見たことがあるけど、まさにあんな光景だったんだよ。」


ハンドルを切りながら父さんが言う。秋晴れが彼の顔のシワを照らす。


信じられない。
セントラルの広場なんて特に破壊され尽くしたようで、戦後忠実に復元したのが今のあのお菓子のような可愛い街並みなんだそう。
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これね。







ポーランドを知ろうと思ったら、第二次世界大戦の凄まじい戦禍を避けて通れない。

戦場のピアニストや、様々なナチス関係の映画で見てきた惨劇の舞台だ。


第二次世界大戦中、ドイツとロシアは激しくぶつかっており、その最前線が間にあるポーランドだった。すべてが破壊され、戦争が終わり、ドイツ軍が追放された後も、解放してくれたロシアの支配を受け、社会主義国家として東側の主要国家のひとつとして冷戦を経験。
ロシアの武力弾圧や政治のコントロールはひどいもので、今ではポーランドの人はドイツよりもロシアの方が嫌いだ。

1980年代の初期にストライキやデモ、学生運動が起こり、ポーランドは資本主義へ向かう。警察と学生たちの戦いが街で繰り広げられていた。
冷戦でロシアが負けると完全にロシア支配から脱却し、自由な春がやってきた。


マリシアの父さんは、この激動の革命期をカメラ片手に駆けずり回ってきた男。
弾圧により、何回か刑務所に入れられたこともあるという。

凄まじい人生を送ってきたんだろうな。メガネの奥の細い瞳が多くの悲しみを含んでいるようだった。



家に戻り、2人でガレージでタバコを吸う。

そんな熱い時代を生き抜いてきた父さん。しかし、勝ち取った民主主義・資本主義がもたらした春はほんのいっときのものでしかなかった。
今のポーランドはたくさんの大企業や工場が閉鎖し、失業者で溢れ、毎月1000ズウォティという高額な健康保険が払えず医療が受けられず、人口の流出という深刻な問題を抱えているようだ。


フリーの報道カメラマンという収入の不安定な仕事をしてる父さん。
新聞が欲しがる写真を撮るのは大変なこと。
どうするか考えなきゃいけないんだよ、とシワを深くした。

幸福に生きる権利が、こんなにも尊く、重いものなんだと改めて感じる。



「ヘーイ!ガーイズ!カモーん!!」


窓から陽気なママが呼び、部屋に入ると、あったかいご飯ができていた。

ママの笑顔も、父さんの笑顔も、大きな悲しみの上にある。
その優しさがたまらなかった。
ぜんぶ抱きしめたかった。
ブロッコリーのスープが泣けるほど美味しかった。

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