よく歌った一日 クレムスとペルテン

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10月5日 金曜日



冷たい石壁の部屋。
ほとんど眠れなかった。

ようやくウトウトしてき始めた頃にキャメルおじさんが目を覚まし、俺の上をまたいで動いている。


そういえば6時には起きるからって言ってたよな。

仕方なく俺も体を起こした。


シャワーを浴びたかったけどそんな時間もなく、そしてキャメルおじさんも浴びないみたいなので、歯だけ磨いて一緒に部屋を出た。


寒い。夜明け前の町はもう冬の気配。震えながら石段を降り、メインストリートに出た。
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早起きはするもんだ。
真っ赤な朝焼けが空を染めている。
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まだすべてのお店が閉まっている中、一件だけ開いてる店がある。
オーストリアではタバコ屋さんは6時に開店するみたいだ。

「おはよーう。寒いねー。」

キャメルおじさんの1日の始まりはタバコ屋さんで常連さんとおしゃべりをすることから始まる。


早朝のタバコ屋さんでは、数人のおじさんたちが店内でタバコをくゆらしている。
俺もそれに混じってパイプに火をつける。
おはようさーん、とタバコを買いにくる人、雑誌を買いにくる人。

クレムスの風景のポストカードが売っていたので1枚選んで、実家の住所を書いた。
外国の、それも見知らぬ田舎町からの写真ハガキ。
それだけで素敵な記念日だよな。


窓の外は少しずつ慌ただしくなり始めている。
通勤の車、小学生たちの通学。
日本と同じ、なにげない光景。


7時になり、昨日のカフェに店員さんがやってきた。
キャメルおじさんはこのカフェで雇われているのか、毎朝開店と共にカフェに行き、テーブルと椅子を外に並べ、準備を手伝う。
俺も一緒にテーブルを運ぶ。

開店してすぐに地元のじいさんや通勤前のサラリーマンがコーヒーを飲みにくる。


寒い朝。
俺も暖かいコーヒーをすする。
とてもおだやかな時間。
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さぁ、今日は忙しいぞ。

これからクレムスの町を散策して、昼前から路上。
夕方に30kmほど離れたペルテンの町に移動してライブに飛び入り。

ボーデの悪夢がよみがえってすでに緊張しているが、逃げたらサムライじゃないので必ず行くぞ。




また15時くらいに戻ってきますと言い、カフェを後にした。



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9時にもなると町は賑わい始め、通りには商品が並べられる。
教会の裏で市が立っているのを見つけた。卵や野菜、果物などの露店に人々が集まっている。もちろん白ブドウもある。
微笑ましい光景。
早起きは三文の得!!
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メインストリートにはすでにたくさんの人波。角では楽しい演奏をしているトリオ。いいパフォーマーだな。
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俺もケバブ屋さんで腹ごしらえして、早速路上開始。

あんまり寝てないからどうかなと思ってたけど、おいおい、喉絶好調。

かなりの人だかりができ、拍手が通りに響く。
いつまでも離れてくれないので休憩ができない。

すみません!!
休憩させてください!!
とギターを置くと、そこからワラワラとみんなが近づいてきてコミュニケーション開始。

日本から!!?遠いわねー!!
あとどれくらいオーストリアにいるの?
Facebookやってる?
どうやって音楽の勉強したんですか?!
今度くる時はいつでもウチに泊まりに来ていいから!!


みんな優しくて上品な人ばかり。
オーストリア好きだなー。







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ん?……今なんかいたぞ?


なんか変なのがそこを歩いていたように見えたんだけど……。
気のせいか。








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ちょ、なんだあいつ!!

こっち見てやがる!!

クレムスのゆるキャラ、謎のニョロニョロ。
特徴………
民族衣装を着ている。
羽根つき帽子をかぶっている。
かなり大きな口笛を吹く。
あまり人気はない様子。






15時になり路上終了。
そろそろペルテンの町に移動しようかな。

荷物を片付けていると1人の女の子が話しかけてきた。
日本好きなオーストリア女子。
興味しんしんで色々聞いてくるので、茶しばくかい?と誘う。

連れて行ったのはもちろんスージーのカフェ。
キャメルおじさんは出かけていていなかった。

昼間っから女の子と白ワインを飲む。


文武
「今夜ペルテンでコメディのライブがあってそれに飛び入りするんだ。」


女の子
「エ!!イク!!イキマス!!!」


文武
「まじ?よし、じゃあ一緒に電車で行こう。」


女の子
「ワタシ、クルマアリマスカラ。イッショニイク。」
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よっしゃ!!!
セフレゲット!!!
ついてるぜ!!



ちょっと用事を済ませてから家に帰ってクルマをとって迎えに来るから、駅で待っててくれとのこと。5時から6時の間には来れるようだ。



やったぜ、海外初のセフレだぜ!とウキウキでカフェのみんなに別れを告げ、俺は1人の駅へ向かう。

一応トイレで髪と足を洗った。
体はもう2週間シャワー浴びてないけどしょうがない。

なるべく男前な感じで駅で待ち構える。オーストリアの風が優しく髪を乾かしてくれる。


オーストリアの風が、優しく髪を、



オーストリアの………




オーストリアの…………




来ない(´・_・`)





嘘だろーーー!!!!
あんなに楽しそうにしてたじゃんかよーーー!!!


俺が駅に着いたのが5時20分くらいだったから、もしかしたら早く来ていて俺がいなくて帰ってしまったのかな。

チクショウ!!

海外初のセフレは未だゲットできず。





しぶとく待ち続けたせいで時間がかなり遅れてしまい、ペルテンの駅に到着したころにはもう19時を回っていた。

ヤバイ!
と急ぎ足でメインストリートの中へ。


えー、メルクでボスが書いてくれた地図では確かこの辺だったはず…………

あった!!

カフェ「addo」はメインストリートのちょうど真ん中くらいに看板を出していた。


中に入るとどうやらまだライブは始まっていなかった。
たくさんの人でガヤガヤと賑わっている。

忙しそうにお客さんの相手をしていたボスが俺を見つけた。


「よく来てくれた。ライブの後に歌ってくれ。」


ガーナ出身のボス。アフリカンな小物や音楽がとてもいい雰囲気を作っているお店だ。



そしてライブ開始。
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地元のコメディアンであるおじさんのワンマンショーだ。

コメディといっても、踊ったり漫談したりするのではない。
小洒落たジャズピアノを弾きながら低く渋い声で詩を語っている。
ところどころでお客さんの笑いが起きる。
ドイツ語なので一切わからないけど、おそらく上質な物語の中にセンスフルなジョークを織り込んでいるんだろう。

演奏が終わるたびに、

「………ダンケ」

と言うのがめちゃ渋い。
俺たちもサンキュー!、じゃなくてありがとう、って言わなきゃな。


ジャジーで怪しげな、文学の薫り漂うコメディショー。
アンコールまできっちりやり切っておじさんはステージを降りた。


さぁ俺の番だ。30分くらいやろう。

ボーデの悪夢が頭をよぎる。
誰も聴いてくれず、みんな帰って行ったら…………

そんな嫌なイメージ。
もうどうなっても知らねえぞ。


「日本から来てくれたFumiです。みなさん、どうぞ楽しんでください。」


ボスが紹介してくれ、ステージへ。

うっひょーーーー!!!!
イエェェェェェイ!!!!

アジア人がギター持って出てきた。それだけで異常な盛り上がり。
いっちまえ!!







そこから1時間、信じられないくらいの大盛り上がり。

アンコールが鳴りやまずギターを置けない。
コメディアンのおじさんにピアノで入ってもらい、さらに30分。
休憩をはさんで、また30分。


大量のお札が入ったカゴが客席を回り俺のところにやってきた。



こ、こ、こ、こんなに!!




あなたは素晴らしいわ!!
もうオーストリアに住んで!!
来月結婚式だから歌いに来て!!




そんな言葉をいただいた。

辛いことばかりだけど、こんな夜は本当に歌うたってて良かったって思える。
今までどれほどけなされまくってきたことか。
それに耐えきれず、自分を信じられなくなって音楽やめるやつがほとんど。
俺もそう思う時が何度もあった。でも、こんな夜がたまにあるからこそやめられないんだよな。



カウンターから見ているボスの満足げな表情。
旅のささくれを癒してくれる。

最高の一日。





今日のあがり。
路上155ユーロ
ライブ90ユーロ



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