きつすぎる

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iPhoneやられた。



死にそう。



バッグもどっか行きました。




中米南下、全ルートローカル移動というミッションを張り切って開始したのはいいが、初日からバッグとiPhoneやられた。

初日から。



死にそう。



なので写真と日記が消滅したので、アンディグアの後半が全部なくなった。


思い出して書いてもいいけど、今はとてもそんな気分にはなれない。


でも一応書いとこうか。





11月23日 土曜日
【グアテマラ】 アンディグア



路上で歌って50ドルくらい稼いで、宿に帰ってご飯食べてウンコして寝た。


終わり。






たくさんの子供に折り鶴をあげて、いい写真いっぱい撮ったのに全部なくなった。



犯人殺したい。


まだ諦めてない。


犯人の消息は不明だけど、村の人々を巻き込んで捜索している。

絶対見つけてやる。

見つけたところでもう俺のiPhoneは遠いところに流されているだろうけど。


もう見つからないだろうな。

でも諦めん。


最低でも思い出の分と、お金の分と、時間を無駄にした分、3発は殴らないと気が済まない。


ああああああああああああ!!!!!!


とか、そんな気分にもならない。

怒りで頭が沸騰しそう。

生きてるだけマシとか思った方がいいのかな。

中米ローカル南下は想像以上にきついです。










とにかく怪我とかはありません。

更新出来なかったことで、結構リアルタイムとの差が出てしまったので、落ち着いたらどんどんアップしていきます。


iPhone盗難からの映画のようなドラマも。






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11月24日 日曜日
【グアテマラ】 アンディグア





iPhoneがなくなったので、久しぶりにノートに手書きで日記を書いている。

やっぱり手で書いてないと漢字が出てこないですねとかそんなことマジでどうでもいいくらい頭が沸騰している。

一気にまとめて書いているので、現在もiPhone捜索中。




こんな山の中の小さな村。

99パーセント出てこない。


でもまだ諦めんぞ。





はぁ………そんな気にはとてもなれないけど、楽しかったアンディグアの日曜日について少しでも書いとくか………はぁ………




えーっと、確か路上で歌って55ドルくらい稼いで宿に帰って飯食ってウンコして寝たんだったっけな。



これじゃ土曜日と一緒か………
もうちょっと詳しく書くか。
いい日だったし。












土曜日にエビちゃんとヨシコさんが宿を出て行き、俺とケータ君、ナオコちゃんの3人になり、さらにオーストラリア人の女の子もみんな、月曜日に出発するそう。

俺も月曜日に出る。

一気に寂しくなる。


スタッフのウィンが陽気に振る舞いながらも悲しげな顔をしていた。
エビちゃんたちが出ていった後、部屋で泣いていたとタニアが言っていた。


ウィンは本当にいい奴。時々うっとおしいくらいみんなと過ごすのが大好き。

そんな愛すべき男だけど、それでホステルのスタッフをやっていけるのか不安でしょうがない。



エビちゃんたちは出ていったけど、新しい出会いもあった。
昨日歌っていたら1人の日本人の女の子が興奮気味に話しかけてきた。

マユコちゃんという子で、スペイン語を勉強しながらアンディグアに6週間くらい滞在しているそう。

以前ブログにコメントをくれていた方で、アンディグアに来たら路上を見たいですと言ってくれてたんだけど、そろそろ着いたかな?とこの3日くらいずっと路上を探し回ってくれていたみたいだった。


そんなマユコちゃん。
今日も路上を見にきてくれた。


3日くらい前から悪化している熱で病院に行ったケータ君。
気管支炎だということで連日寝込んでいたんだけど、少し良くなってきたということで散歩がてら路上を見にきてくれた。


看護師のナオコちゃんももちろん付き添って。


フロレスで会った面白アメリカ人のトッドも声をかけてきたし、宿に滞在してる謎の絵を800ケツァールというクレイジープライスで売っているグアテマラ人のアーティストも見に来てくれた。



毎日、目の前で似顔絵描きをやっている兄ちゃんが、いつの間にか俺の歌ってる姿を道路越しに描いてくれていた。


その横にいるヘナタトゥーをやってる兄ちゃんのとこでナオコちゃんとケータ君が初めてのヘナタトゥーをやった。


自称ジェームスボンドのウクライナ人伊達男が葉巻をくわえながら赤ワインをグラスについでもってきてくれてウィンクしてくれた。



地元のミュージシャンのおじさんが、今夜クラブでやるから飛び入りしてくれと言われた。


向かいのレストランで演奏をお願いされた。


そのオーナーがいつも歌を聴かせてもらってるから、お前はいつ来ても飲み物も食べ物も無料にしてあげると言ってくれた。



絶え間なく人だかりができ、夜になってアーチの時計台がライトアップされ、その淡い明かりが石畳みと人だかりを照らし出し、その中で歌った。


とてもいい路上だった。









たくさんのお誘いをもらったんだけど、全部お断りさせてもらって宿に帰ったのは、宿でパーティーがあったから。


明日ほとんどの人たちが出発するということで、ウィンとタニアが全部用意してくれた。

ただみんなが出発するからって、それだけのことでこんな大盤振る舞いしていて、この宿やっていけるのか?ってくらいこの宿のスタッフたちは旅人を愛している。



飲んで、食べて、俺はまた歌って、この小さな宿の屋上で、最高の時間だった。


「あ!!あそこ!!」


誰かが叫び、指差したほうを見ると、真っ暗な夜の中に、遠く火山が噴火していた。

沸き立つみんな。

こんなに国境の壁のない宿は今までで初めてだった。

すべてはタニアとウィンの愛すべき人柄が俺たちを近づけてくれてたんだと思う。








みんなが部屋に戻り静かになった宿の中。
俺も寝る支度をして、1人でタバコを吸いに屋上に上がった。

そこには1人でテーブルを拭いてるウィンがいた。


「楽しかったね。」


「ああ、今日も歌ってくれてありがとう、フミ。」


2人でタバコに火をつける。
夜空の星が綺麗にまたたいている。


「なぁ、フミ………行かないでくれよ。みんないなくなってしまう………耐えられない………頼むよ、泊まってくれるなら明日の宿泊費は無料にするからさ………」



この宿はまだオープンしてから45日。まだまだきっと手探りだと思う。

そんな45日の間に、この数日みたいに楽しい日々があっただろうか。
みんながワイワイと料理を作り、映画を観ながら我が家のようにリラックスし、パーティーをし、しかも歌を歌う奴もいる。

みんな仲が良かったし、全員いい奴だった。
そんな時ってきっとなかなかないと思う。

ウィンとタニアが俺たちを引き止めてくれるほどに、彼らにとって素晴らしい日々を作った一員になれたのならとても嬉しいことだよ。

これからもきっと素晴らしい歴史を積み上げていくんだろうな。
いつか必ず帰ってくるからと肩に手をかけたら、ウィンは力なく笑った。














さて、あのアンディグアの素晴らしい日々から一転、現在俺はこの日記をズタボロの廃車の中の破れまくったシートにもたれながら書いています。

内装とかとれて鉄板がむき出しになってる車内にはゴミが山のように詰め込まれており、屋根にはなぜかマネキンが縛りつけられています。

真っ暗な廃墟みたいな家の庭にいるので、とても怖いです。


昼は暑かったけど、夜はなかなか冷えます。

寝袋にくるまりたいけど、バッグは行方不明。

写真の選別でもしたいけど、iPhoneはさっき盗まれた。


はぁ………


夜はなかなか寒いです。
でも窓が曇るくらいに熱気がこもってます。

怒りで体温がヤバイことになってる。


ああすればよかった、
こうすればよかった、

という考えが頭の中をグルグル回る。
あのボケどもの顔がまぶたに焼きついて離れない。


絶対諦めんぞ。








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アンティグア最後の日

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11月25日 月曜日
【グアテマラ】 アンディグア





ケータ君の体調が悪い。

良くはなってきているが、咳がひどいし、熱もある。
気になるのは目の奥が痛いということ。
デング熱の症状がそう。

病院での診断ではデング熱ではなかったみたいだけど、気になるところだ。



稼げる週末が終わり、もういつでも出発していい。

そう、グアテマラ~パナマ間、全ルートローカル移動のミッションが始まる。






うーん、はっきり言ってスーパー怖い。
一瞬で身ぐるみ剥がされるんじゃないか……って悪いイメージが浮かぶ。
でも同時に、メキシコみたいに噂ばかりで本当はそこまで大したことないだろうって思いもある。


やってみないと分からない。


宿は、都会のターミナルは怖いので、田舎のどっかで野宿すればいいだろう。


料金はある程度調べたけど、ローカルのバスの値段とかどこにも書いてないし、どうせほぼアテにならないだろうから体当たりで行くしかない。


それぞれの国の通貨に換金しなければいけないか?という結構大きな不安があったんだけど、ウィンが言うには中米はどこでもドルが使えるようだ。



荷物が重くてデカイことに関しては、間引きをすることにした。






悩んだ結果、こいつを捨てることに。


テント。

野宿すればいいよねーと寝袋だけ持って日本を出発し、ベンチの硬さで腰が痛くなりフィンランドでマットを購入。

野宿にはマットが必需品だと学び、それからラップランド、北極圏、北欧をすべて野宿でクリアーしたんだけど、この時ひたすら悩まされたのがあいつら。

蚊。

もうノイローゼになるくらいあの、プーーーン……っていう音と痒みに悩まされ続けた。

そして夜中に雨に叩き起こされることもウンザリしていた。
寝袋にパタパタと雨が落ちる音も耳にこびりついてる。




ついに我慢の限界がきて、テントを購入したのがドイツのケンプテンだったなぁ。
80ユーロだったかな。2人用の広々としたテントで、初めてテントを1人で立てるっていうことにワクワクしたなぁ。

中に入って大の字になって眠れる喜び、壁と屋根のある安心感、蚊はもちろん入ってこれないし、雨だっていつでもかかってこいだった。


このテントでヨーロッパを周り、カナダやアメリカでも活躍してもらった。


起きて外に出たら雪景色だったり、

酔っ払いに囲まれてテント倒されたり、

暴風雨で吹っ飛ばされそうになって一晩中びしょ濡れになりながら中から手で押さえた夜、

そしてみゆきさんと寝たのもいい思い出だ。



たくさん修理したし、ガタがきてもなんとか上手く使ってきた。
はっきり言ってまだまだ使える。





でももうこいつには離脱してもらおう。

これから先、南米になる。
南米は危険だし、宿が安いので野宿する必要もない。

アジアもそう。


ニュージーランド、オーストラリアでは野宿になるだろうけど、テントなしでも多分いけるだろう。




これから使用する見込みの少ない物をいつまでもバッグに入れておくわけにはいかない。

愛着はあるけど、過酷な中米南下にはそれだけ気合いを入れて臨まないといけない。


バッグもすでに限界を超えてタイヤが崩壊しており、底を引きずりながら歩いているが、これはこれでこのまま行こう。
ボロいほうが狙われにくいだろうから。




まぁそんなとこで覚悟は出来てるんだけど、なかなか怖い。

ケータ君の病気の具合も気になるし、ちょっと他にもやることがあるので、もう1日だけアンディグアに滞在することにした。












お昼にあの市場の中の宮崎駿さんがやってる美味しいカツ丼を食べて心残りはもうなし。

そしてやるべきことのもうひとつは、残ったグアテマラケツァールを換金しておくこと。


昨日も来てくれたマユコさんがまだこれからもアンディグアに滞在するので換金してもいいですよと言ってくれていたのだ。



宿までやってきてくれたマユコさん。
ケツァールをドルに換金してもらい、さらにこれ見ます?と地球の歩き方を出してきた。


うーん、別に必要ないかなー、

ってパラパラしてたら、やっぱりこの本最強ですね。

僕が何時間もかけてインターネットで調べた情報、この本で2秒。





やっぱり国際バスだとグアテマラ~パナマ間は126ドルで、夜は強盗が多いからか走っておらず、3泊4日の道程となるようだ。

バスターミナルの中にホテルが併設されており、それらがだいたい15ドルくらいかな。

さらに国境でのイミグレーションで、運転手がパスポートを集めてまとめて手続きしてくれるんだけど、その際に嘘の出入国税を要求されるというケースが当たり前のように起きてるみたい。
まぁ運転手のポケットに入るお金だろうな。

それらをまとめると、おそらく国際バスでの費用は計200ドルってとこか。


果たしてこれをどこまで削れるか。
80ドルくらいまでいけるといいんだけど。







今夜がアンディグア最後の夜。
このホステル、キャピタントムの快適なキッチンを使えるのもこれが最後。

楽しかった連日の料理大会のシメはやっぱり日本食だよな。


市場に行き、毎週月曜日・木曜日・土曜日しか来ないアジア食材売りのおばちゃんのところで味噌を購入。

さらに煮干し、野菜、お肉を買ってきて、みんなで作ったのは焼き飯と豚汁。


美味い!!
やっぱり味噌はすごいなぁ。


「ボーノーー!!!」


「すごく美味しいよ!!」


「ワオ!!もうこのジャパニーズフードが食べられなくなるなんて嫌だわ!!」


宿にいたみんなに振る舞うと、とても喜んで食べてくれた。
ここまで言ってくれるとこっちも作り甲斐があるよ。

料理の楽しさを教えてくれた宿だな。一緒に作って楽しいメンバーがいたのも含めて。


みんなありがとう。










さて、明日から中米南下編です。



その初日の出来事。きっちり詳しく書きます。
注意喚起と自分への戒めのためにも。

長い1日だったなぁ…………







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iPhoneを盗まれた日 前編

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11月26日 火曜日
【グアテマラ】 アンディグア ~
サンクリストバル デラ フロンテーラ





思い出すだけで体温が3℃は上がるこの日の出来事。

書かないとなぁ………

チクショー…………




詳しく書いていきます。







………………………………………







「元気でやるのよ。私たちは家族なの。いつでも戻ってきてね。」


「俺たちはずっとここにいる。フミのことを待ってるよ。有名になって帰ってくるんだぜ!!」


タニアとウィンが眩しい日差しの中で笑う。
10日も滞在したこの宿ともさよならだ。


荷物をまとめて出発。

スーツケースがガリガリガリと音をたてる。
すでにタイヤは崩壊しており、完全に地面をこすりながら引きずるしかない状態。

でもそれでいい。
このボロさがちょうどいい。
なんせ今から中米全ルートローカル移動。

女子供でもさりげなく盗みを働くような場所。

ディオとツェペリ男爵の会話風に言うと、

「お前は今までに盗んだ物の数を覚えているか?」


「お前は今までに食べたパンの数を覚えているか?ウリイィィィ。」


的な連中がギラギラと旅行者を狙っている。

比較的安全であるはずの国際バスでも、降りた瞬間に強盗に遭うというケースもあるそう。

もはや飛行機でぶっ飛ばさない以外、ここを無事で乗り切るのは運でしかない。






でも自信はある。
今までも危険を回避し、ほぼ無傷でここまでやってきた。

嗅覚と目利きに関してはなかなかのもんだと思う。


渋川剛毅風に言えば、


「危険に近づけないんだよ。」


ってとこに来てる自信がある。
大丈夫、きっと何もなくあっさりクリアー出来るはず。











アンディグアのバスターミナルはまるでデコトラの会場。

旅行者の間でチキンバスと呼ばれるギラギラしたどぎつい色彩と装飾のバスがものすごい勢いで行き交っている。

そのまま日本に持って行っても、デコトラ乗りのオッさんが舌を巻くような派手さ。


そのバスの周りで、それぞれの客引きたちが怒鳴るように行き先を叫んでいるのでグアテマラシティー行きのバスはすぐに見つかる。





ちなみにナオコちゃんや他のほとんどの旅行者がアンディグアから向かうパナハッチェルという次の観光地まで、旅行代理店で手配したバンで行くと相場が80ケツァール。1000円くらい。
高いとこだと100ケツァールを超える。

しかしこのローカルのチキンバスだと16ケツァールだ。


無論、女の子1人で乗るようなものではないが。










「金丸さん、またコロンビアあたりで会いましょうね。」


「金丸さんー!!でら楽しかったぎゃー!!また南米のどこかで会うだぎゃー!!」


バスの外、見送りに来てくれたケータ君とナオコちゃんが手を振る。


ナオコちゃんはケータ君の風邪が良くなったらパナハッチェルに向かう。


本当はケータ君と一緒に行きたいところだけど、彼は風邪が治り次第、単独中米ヒッチハイク南下を開始するという。

アホすぎる(´Д` )

とてもじゃないけどそんな命知らずなことに付き合ってられないので、俺は一足先にコロンビアで待ってるぜ。




2人ともありがとう!!
最高に楽しい日々だったよ!!
外国にいることを忘れてしまいそうなほど!!

日本人とばかりいると、どうしても旅してる感が薄れる。
たまにはそれもいいと思う。
でもそればかりだと、世界を肌で感じることはとてもじゃないけど出来ないということも学ばせてもらった。

さぁ、いつもの旅に戻るぞ。

チキンバスは真っ黒な排気ガスをしこたま吐きながら走り出した。














バスは途中で客を拾い、ギチギチまで詰め込みながら走っていく。

大きなバッグは屋根の上に乗っている。
ギターは足元に立て、リュックサックは膝の上だ。

この状態で横の人がナイフでバッグを切って中身を盗むという事例があるらしいが、そんなこと信じられない。

熟睡してても気づきそうなもんだ。

でもやられる人がいるということは紛れもない事実。

常に気を張り、周りの人の手の位置や、視線に注意しながらバスに揺られた。














1時間でグアテマラシティーに到着。

到着したはいいものの、ローカルバスなのでバスターミナルだとか気の利いたところには降ろしてくれない。

その辺の道端に降ろされる。

途方に暮れるのは目に見えているので、バスの中にいる時点で、周りの人たちに次にどこに行きたいとかの情報を教えておくのが大事。

彼ら地元の人たちはとても優しいので、グアテマラシティーに着いてからどこに行くべきかを丁寧に教えてくれる。

まぁスペイン語なので95%なに言ってるかわからないけど。








このグアテマラシティーから隣の国、エルサルバドルへ行くには、当たり前だけど国境まで行かないといけない。

どうやって行くかまったくわからないけど、地元の人たちに聞きまくって国境に近づいていけば、おのずとどこに行けばいいかわかってくるはず。



というわけで、エルサルバドル?エルサルバドル?と人々に聞きまくりながら歩き、これだよ、これに乗りな、と人々が言うままに市バスに乗り、ここで降りなと言われるままに降りていたら完全に迷子になり手の施しようのない状態に陥ってマジ途方に暮れる。






はあああああ!!!!ここどこおおおおおおお!!!!!


とかカオスな街の中で1人で叫びながらめげずに道ゆく人たちにエルサルバドル?エルサルバドル?と尋ねるが、全員が全員バラバラのことを言ってくるので頭が混乱して泣きそうになる。



な、なんでみんな違うこと言うんだよ…………




その間も重いバッグをひたすら引きずって歩き続けて、汗がぼたぼたと顎からしたたる。


仕方なく3キロくらい離れているバスターミナルまで歩くことに。
これ以上このでかい荷物を持って市バスに乗ったらどこに行っちまうかわかったもんじゃない。


本当はバスターミナルよりも、他の小さいバス会社のほうが安いはずなんだよなぁ。


肩が痛い。バッグを引きずる手が痛い。
うおぉ………アンディグア出た瞬間からいきなりハードだぜ………











汗だくになりながら、人生トップ3に入るカオスっぷりのグチャグチャの街の中を歩いていく。

ゴミと汚水にまみれた地面、喧騒と怒号とクラクションが入り乱れる市場の中を歩いていくと、ひとつのバスの発着場を見つけた。



すぐに客引きのオッさんが近づいてきて、フロンテーラフロンテーラ!?と言ってくる。


おお、よくわかってらっしゃる。

値段は50ケツァール。600円。
格段に安い。


ここに決めて、これまた派手さだけが売りのボロボロのバスの荷台にキャリーバッグを入れ、乗り込む。


ギターと貴重品を入れてるリュックサックはもちろん車内に持って入る。

いつも思うんだけど、バスの下の荷台に荷物を入れたとして、途中途中で人が降りる時に荷物を入れ換える間、バッグは完全に無防備だよな。


誰かに持って行かれたら完全に気づかない。


んなバカなってところだけど、そのバカながごく普通に起きるという認識でいかないとこれからの南米はやっていけないと思う。


なのでキャリーバッグの中には、寝袋やマット、衣類といった最悪なくなってもなんとかなる物しか入れていない。












なかなか出発しないバス。
もうこの時点で迷いすぎたせいで時間は16時。

早く進んでもらいたいところなんだけどなぁ、と思っていたら、1人のオッさんが入り口のところで何か叫んだ。

と同時に20人くらい乗っていた乗客たちがバスを降りはじめた。



どうやらこのバスが調子が悪いのか、隣のバスに乗り換えてくれとのこと。

いきなりのことで慌てて降りて、隣のバスに乗り込むと、バスはすぐにアクセルをふかして走り出した。





ふと不安になったので、ハンドルを握っているドライバーのところまで行き、たずねた。


「荷台の荷物はちゃんと移し替えましたか?」


ドライバーはうなづきながらスィーと言った。
助手のおじさんが、心配するなと笑顔で肩を叩いてきた。

そうだよな。何も俺のバッグだけ荷台に入れていたわけじゃない。
他の20人くらいの人々の荷物も入っていた。

一安心して席に戻った。
















この中米南下の旅のゴールはもちろん最後の国、パナマなんだけど、まだまだそこからも船を見つけたりしないといけないので気は抜けない。


パナマを抜け、船でコロンビアに到着し、そこからメデジンという町を目指す。



そこに住んでいる日本人の方の家が本当のこのミッションのゴールだ。



そのメデジンに住んでいる日本人をかおりさんという。

ピンときた人はよほどの旅マニア。

このかおりさんという方。
メデジンで現地の学生たちに日本語を教えている女性なのだが、どういうわけか南米を旅する人々が彼女の家にお世話になるという話がある。


しかしそこはホステルではない。
ただのかおりさんの一人暮らしの部屋。
なのにそこに旅人たちが泊まるのだという。宿泊料金もなしで。


そんな素晴らしい場所だったら、もっと旅人たちの間で有名であってもいいものなのに、なぜ知る人ぞ知る場所なのか。


それはもちろん、そこがかおりさんの自宅だから。
誰でも勝手に行っていい場所ではない。当然だけど。


誰かの紹介や、かおりさん自身からのお誘いがない限り、行くことは出来ない。
ビジネスでやってる場所ではないんだから。




俺は北米に入ってからかな、かおりさんからご連絡をいただいた。

かつてブログランキングで異彩を放っていた旅人、バッカスのエビさんがこのかおりさんのところにお世話になっていた時の記事を読んでいて、きっと魅力的な人なんだろうなぁと思っていたところで、ご本人からご連絡をいただいたので、とても嬉しかった。

きっとほんわかした、柔らかい空気を持った方だと思う。



中米南下はキツイ道だと思う。
このかおりさんのご自宅こそが、このミッションのゴールであり、南米旅の始まりになる。


ゴールがあれば頑張れるもんだ。
かおりさんにお会いするまで、この中米を全身全霊で満喫してやる。
















外国人なんて1人も乗っていないローカルバスはどんどんと山奥に入っていき、坂を登り、下り、今にも分解しそうなくらいにエンジンをふかし、途中途中でタクシーみたいに人を乗せては降ろしをしながら、3時間ほどで国境に到着した。





ほんの小さな山里。
一応国境なので、ささやかな屋台が並んでおり、ポツポツとお店の明かりもある。

人の姿もまばらに見られる。



外灯もほとんどない薄暗い不気味な雰囲気が漂っている。


ここでバスを降りたのは俺だけだった。
バスターミナルなんてもちろんなく、道端に止まったバスから降りた。










荷物を受け取ろうと、バスの横の荷台に回ると、助手のオッさんが困惑した顔をしている。

その困惑の理由はすぐにピンときてしまった。


荷台を覗き込む。



そこには何も入っていなかった。




そして今度はバスの後方のトランクを開けた。


やはりそこにも何も入っていなかった。






荷台の中に俺のバッグは入っていなかった。




ちょっと待て。



ちょっと待て!!!!



頭が真っ白になる。

なんで。


なんで!!!





やっぱりあの時、バスを乗り換えた時、荷台の荷物を移し替えていなかったんだ。









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iPhoneを盗まれた日 後編

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やっぱりあの時、バスを乗り換えた時、荷台の荷物を移し替えていなかったんだ。




は、はは、どうすればいいんだ………




紙のような顔をしていたであろう俺。
ドライバーと助手が慌てて電話をかけている。

そして助手のオッさんが俺に小さな紙切れを渡してきた。

そこには電話番号が書きなぐってあった。


スペイン語だけど、オッさんがここに電話をかけろと言ってるのはわかった。


混乱しながらも、荷物はどこだ!!と声を上げる俺をなだめるように、オッさんは荷物はグアテマラシティーのターミナルに残っている。
ちゃんと確保してるから心配いらないと言う。

明日のバスでここに持ってくるので、明日まで待っててくれと。

そしてこの番号が会社だから何時に着くか確認してくれと。








落ち着け、

落ち着け俺。

今やるべきことはなんだ。
グアテマラシティーに取り残されてるという俺の荷物を確実に取り戻すためにやるべき全てのことを頭をフル回転させて考えろ。



とりあえずこの助手のオッさんの電話番号、そして名前、それから渡してきた番号の主の名前などを、iPhoneのメモに保存した。


大丈夫、大丈夫だから、明日の11時には持ってこれるからと言うオッさん。

バスにはまだ乗客が乗っていて、早く次の場所に行かないといけないと言って走り始めたバスに飛び乗って消えていった。



わけのわからない状況の中、この不気味な山村にポツンと立ち尽くす俺。



なんなんだよ………

中米南下初日からこんなトラブルいらねぇよ………




あああああ!!!もう!!!
グアテマラシティーにあるというバスは本当に俺の荷物なのか?
もしかしたら違うバッグのことを言っていて、実は本当のバッグはあの時ちゃんと積まれていて、道中で誰かが盗んだんじゃないのか?

混乱して地団駄を踏む。

ちらほらと歩いてる人が俺を見てくる。










その時、ピーと口笛が聞こえた。



「ヘイ!!どうした!?何か助けがいるかい!?」


声のした方を見ると、向かいの建物にある質素なバーの前で1人の兄ちゃんが手を振っていた。
サッカーチームのバルセロナのユニフォームを着ていた。
俺とバスドライバーのやり取りを一部始終見ていた様子。
よかった、力になってくれるのか。








とりあえずこのメモ紙の番号に電話をかけたい。

バルセロナ兄ちゃんのところに行き、事情を説明した。
どうやらめちゃくちゃだけど少しは英語が喋れるみたい。
こんな山里じゃ英語を喋れる人なんてまずいない。




「そうかい、それはヒドイな。でも今夜は宿がないんだろ?50ケツァールで泊まれる場所を知ってるぜ。」


この困ってる状況でいきなり金の話をしてきたこの兄ちゃん。
猜疑の芽が起きてもいい時だったのに、混乱していた俺には何も見えていなかった。



「いや、お金は全部グアテマラシティーにあるバッグの中に入ってるんだ。だからないんだよ。」


一応そんな防御の嘘をついておいた。
でも実は20万円以上のお金は1番安全であろうポケットの中に入れてある。


「そうか、じゃあそのギターをくれたらウチに泊めてあげるし電話も貸してあげるよ。」


もうこの時点で切り捨てるべきだったのに。










iPhoneにメモってる電話番号とバス会社の担当の名前を見せる。

するとそいつは、うーん、と言いながらちょっと貸してとiPhoneを受け取り、バーの中に入っていき、5秒くらいで店員の兄ちゃんと一緒に出てきた。

店の中を覗く。
6畳くらいでとても小さく、殺風景で、他に人の姿はないボロい小屋。



出てきた兄ちゃんが時代遅れのボタン式の携帯電話でバス会社にかけてくれた。


電話の結果、荷物は確保しているので、明日の朝のバスに載せるから昼までにはここに着くとのこと。

一応胸をなでおろす。安心なんてとてもできないが。



「はぁ、ありがとう。あ、俺のiPhone返して。」


「は?知らないよ?」


「いやいや、何言ってんだよ。今渡しただろ?」


「はぁ?知らないって。他の誰かに渡したんじゃないのか?」







何言ってんだこいつは?

この20歳そこそこくらいの眉毛を細く剃ったワルを気取ったバルセロナのユニフォームを着た小僧は何を言ってるんだ?




今渡して3分も経っていない。

この村に着いてから、俺が接触したのはこのバルセロナの小僧。
そしてバーの店員だけだ。

まだこの2人としか話していない。




「おい、冗談はこのへんにしとけよ。返してくれ。」


「いや、だから知らねぇよ。何言ってんだこいつ?」


キョトンとした顔をしてるバルセロナ。これからこいつをメッシと呼ぼう。


するとそこに、どこから出てきたのかガラの悪そうな連中が集まってきた。
全員もちろん英語は喋れない。
ニヤニヤしながら俺を取り囲んだ。




「返せよ!!」


「知らねぇよ!!ハハハー!!」


「おい、グロス、このチーノがわけの分からないこと言ってんだ。お前英語喋れるだろ?通訳してくれよ。」


「………どうしたんだい?チーノ?」


そこに通りかかった地元の兄ちゃん。
英語が話せた。






「俺はハポネスだ!!こいつらが俺のiPhoneをとったんだ!!」


「そうか………チッ、こいつらは知らないって言ってるよ。でもきっとこいつらさ。クソヤローどもさ、こいつらは。もう戻ってこないよ。」


「ふざけんな!!今!!こいつが俺の手からとったんだ!!」


「ああ、そうかもしれない。でもきっともうその辺の誰かに渡していて何時間か後にどっかで受け取るとかそんなところさ。」



んなバカなことがあってたまるか!!




ガバッとバーの中に飛び込む。
誰もいない店の中、ゴミだらけのカウンターの上をひっくり返した。
テーブルの引き出しの中も全部開けてチェックする。

見えないところはイスの上にあがってのぞきこむ。


店員の兄ちゃんがクイと肩を上げて、口をへの字にしている。


そうやって無駄だと言いたいんだろう!!ふざけんな!!


お構いなしに、トイレに行き、ゴミ箱の中、壊れた貯水タンクの中、汚い水に手を濡らしながら探す。ない。


「おいおい、早く出てってくれよー!!あるわけねぇだろー!!」


「はぁ、チーノ、もうiPhoneは戻ってこない。こいつは盗みのプロさ。それにグアテマラではこんなのよくあることなんだよ。」



ふっっっざけんなーーー!!!!


お前に渡したのに知らないってどういうことだ!!

そいつの仲間たちがセロテセロテと言っている。セロテとはクソとかバカとかいう意味のスペイン語だ。それくらい知ってる。

ボケどもがニヤニヤしながら、どうしたんだよ?何そんなに慌ててるんだよ?いやー、残念だよとか言ってくる。



「チッ、クソヤローどもなんだよ、こいつらは。」


苦々しい顔をしている英語の喋れる兄ちゃん。この兄ちゃんの名前をグロスと言った。


すると腐れメッシが、ニヤニヤしながら通訳ありがとさん、とグロスに小銭を渡そうとした。
いらねぇよ!!とその手をはじくグロス。

おそらくこんな小さな山里なので、全員が顔見知りだろうけど、派閥みたいなものもあるんだろう。



「どうしたんだよ?俺たちはチーノを助けたいんだよ。ホラ、お金が必要なんだろ?いくらいるんだい?」


ポケットからはした金を出してくる腐れメッシ。盗んでないならなんで金を出す?というかもうそんな次元じゃない。



グロスが俺の顔に近づいて言ってくる。


「チーノ、もうここを離れたほうがいい。こいつら君をリンチしようとしている。電話はもう戻ってこない。」


ハハハー!!と笑いながらメッシが飲んでいた缶ビールを投げつけてきた。



もうダメだ。


ふざけんなコラー!!と飛びかかった。
店員の兄ちゃんが俺の体を羽交い締めにする。
瞬間、周りの7~8人の男たちが殺気だった。

メッシの肩を突き飛ばし、メッシも俺の手を弾き、一触即発に。

こんな大騒ぎをしてるんだから誰かが間に入ってきてもいいものなのに、この時、村の人々は遠巻きに騒動を眺めているだけだった。
揉め事には関わらないといった雰囲気で、遠くから怪訝そうな視線を向けていた。







グロスが俺の手を引っ張った。


「殺されたいのか?!お前は1人だろう!?ここの奴らはナイフもガンも持ってるんだぞ!!iPhoneだけで済んだと思わないと!!」


騒ぎを聞きつけたパトカーがようやくやってきた。
すぐにパトカーに走り寄り、片言のスペイン語で事情を説明する。
メッシがその横にやってきて割って入ってくる。


警察だってわけの分からないスペイン語よりも、メッシのネイティブな言葉を聞く。こいつが濡れ衣きせてくるんだよー、ってなとこか。

酔っ払った地元のガラの悪い若者と、日本人旅行者の俺。
どっちの言い分が正しいかなんて火を見るよりも明らか。

しかし警察は、こいつが知らないと言ってるならわからない、調べようがないな、とブーンと走り去っていった。
面倒はゴメンだといった感じで。

もはやここに俺を助けてくれる人はいなかった。











もし俺がとても強かったら。
7~8人のガタイのいいラテンアメリカンをものともしないほど強かったら、力にものをいわせることが出来たかもしれない。

他に何人かの男と一緒に旅していたら、もっと強気に出られていたかもしれない。


1人で殴りかかって何ができただろう。
リンチにあって、ギターを壊され、所持金を全て奪われていたはず。


バッグの中に小さなナイフがある。
それを取り出して脅すことができただろうか。
もっと大きなナイフが出てきて刺されていたかもしれない。


もし女の子が一緒にいたら、その子の安全を第一に考え、とか言い訳もできた。


でも俺は1人。
なんだってできたはず。



なのに俺は、大人数の男たちを前にパンチひとつ出せずに背を向けてしまった。
もはや笑いを隠すことなく俺を罵倒するゲスどもに。













グロスが心配してずっと一緒にいてくれた。
グロスの友達の若者たちも一緒にいてくれた。

小さな村は22時になると静まり返り、野良犬だけが歩いていた。

うす暗い外灯の下、ゴミだらけの道路脇に座り、彼らの励ましを聞いていたが耳に入ってこない。


グロスが家に走って食べ物を持ってきてくれた。

そういえば朝から何も食べてなかった。

豆の入ったポポスという質素なその食べ物にかじりついた。


散歩している暇な兄ちゃんが話しかけてくる。


「ヘイヘーイ、どうしたんだいメーン?浮かない顔して。」


英語を喋れる陽気な兄ちゃん。
タンクトップを着て、ニコニコしている。

それがなんだか無性に癇に障る。


「iPhoneを盗まれた?ああー、よくあることさメーン。なんなら力になるかい?」


「いや、大丈夫です。このグロスが色々助けてくれてるので。」


「ふーん、ならいいけどさ。ちゃんともう一度警察に行きなよメーン。トゥモローイズアナザーデイさ。ドントウォーリービーハッピー。」


陽気な兄ちゃんはボズマーリーの歌を歌いながら歩いて行った。













「グロスはあのメッシのことを知ってるのかい?」


「いや、知らないけどよく見かけるよ。あのバーでたいがい夜は飲んでる。」


「この村は小さいからみんな知り合いじゃないのかい?」


「そうだけどあいつらは違うんだよ。あいつらは流れ者さ。色んなところで盗みを働きながら移動してるんだよ。」


「そうか………」


「フミ、それより今夜はどうするんだい?良かったらウチで寝るかい?」


「ありがとう、でももう一度警察に話しに行ってみるよ。」


「フミ………さっきも話したろ?彼らは本当に何もしてくれないよ。クソ警察なのさ。行っても無駄だよ。」


「うん、かもしれないけど、ちゃんと話したら力になってくれるかもしれないしさ。」








グロスたちと警察オフィスに向かう。

その間もグロスは行っても無駄だよと俺を引き止める。
わかってるけど、それしか出来ないんだよ………



歩いてわずか2分くらいで道路の先に大きなゲートが見えた。
どうやらこれが国境みたいだ。

まるで動物園かなにかの入り口みたいに、レトロな門が道路にかかっている。

徒歩の国境越えは久しぶりだな。







オフィスにいた警察にさっきの子供だましみたいな犯行を話す。
めんどくさそうに聞いているオッさん。

そして、あーダメダメと手を振った。
俺たちは何も出来ないよって。


信じられない。
日本や先進国の警察たちがいかに勤勉なのかが身に沁みる。

ていうか日本人的な警察のイメージをここで彼らに押しつけるほうが間違ってるのかもしれないと思った。







「ほら、言っただろ。クソ警察なのさ。さぁ、疲れただろ。ウチに行って寝よう。」


失意の中、寝静まった村を歩き、グロスの家にやってきた。

簡易的なブロック塀の家。


ゲートを開けると、庭に廃車が置いてあった。
錆び付いて、バンパーがとれ、ゴミが山のように詰め込まれた車内。
なぜか屋根にマネキンが縛りつけてある。



「部屋は兄弟たちが寝てるからこの車の中でいいかい?」


そんなもんどこだっていい。
グロスにありがとうと言い、今にも取れそうな車のドアを開けて中に入った。

内装がとれて鉄がむき出しになってる車内。
狭くて体がのばせない。


暗くて汚れているかもわからない。












今何時だろう。
iPhoneがないから時間がわからない。
歯を磨きたいけど、歯ブラシも石鹸も何もかも入ったバッグは行方不明。





体は疲れ切っており、少しでも眠ろうと目をつぶるが、あのバーの前での出来事とメッシの顔、そして投げつけてきたビールの音が反芻されて、怒りで体温が上がり、車内に熱気がこもる。


1日中、汗をかきまくった体から対臭が臭う。
それがなんだかとても生きてる感じがした。





ああするべきだった、
こうするべきだった、

という考えが頭を支配する。
その度に頭が沸騰しそうになる。






グアテマラの山の奥、潰れた廃車の中で目がギラギラと冴えていた。





【中米ローカルバス南下】 1日目

★アンティグア~グアテマラシティー
9ケツァール 120円 1時間


★グアテマラシティー~サンクリストバルフロンテーラ
50ケツァール 630円 3時間



小計 7.5ドル

合計 7.5ドル

国際バス 126ドル








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11月27日 水曜日
【グアテマラ】 サンクリストバル デラ フロンテーラ





朝方、いつの間にかウトウトしていた。

長い1日の疲れで、あんなことがあった夜なのに、体は眠りを欲していた。






外から話し声が聞こえる。

薄目を開けると、すでに外は明るくなっていた。

ボロボロの廃車の中で体を折り曲げて横になっていたので、節々が痛い。


汗まみれになっていたので、もはや汚い車の中でもあまり気にならなかった。








コンコンとドアをノックする音がした。

顔を向けると、そこにはグロスがいた。
彼は仕事をしていて、朝の7時に出勤すると言っていた。
俺も一緒に出なければいけない。


力なく笑顔を作り、グッドモーニングと言う。
英語が少し喋れるグロスもグッドモーニングと言う。


車を降りて、凝り固まった体を伸ばそうとした時、視界に信じられないものがうつった。


廃車が止めてある、ガレージの中に、ゆうべの腐れメッシが笑顔で立っていた。




は?


は!??


思考が一瞬ストップする。



そして次の瞬間にはボケメッシに飛びかかっていた。


「オラァ!!てめぇ俺のiPhoneどこにやったこの野郎おおお!!!」


力任せに突き飛ばすとメッシは壁にぶつかってよろめいた。

一晩中溜め込んだ怒りが一瞬にして爆発して、身体中の毛穴が開くような感覚。



「どこにやったか聞いてんだよコラアア!!??なめてんじゃねぇぞああああ!!!」


「て、テイキットイージー、テイキットイージー!!」


ゆうべたくさんの仲間がいて、さらに酒を飲んでいた腐れメッシ。
ふてぶてしくニヤついていたくせに、あの威勢はどこにいった?って気弱さ。


俺もあの大人数ではとても歯向かえないけど、こいつ1人だったらナイフくらい出されてもひるまないぞ。



「お前がやったってわかってんだよああああああ!!?!!ぶっ殺すぞコラアアア!!!!」


「ノーノー……知らない、知らない………」


まだ静まり返っている朝の町の中、もはや近所中を叩き起こすくらいの俺の怒鳴り声が響き渡る。


すると、廃虚みたいなブロック作りの家の中からグロスの家族が飛び出してきた。


母親と父親、そしてたくさんの小さな子供たち。

中学生くらいの男の子から、中にはまだ5歳くらいの女の子もいる。



すると母親が間に入ってきた。


怯えた顔をしながら俺を玄関の外に押し出そうとしてくる。

体が半分くらい外に出たところで、母親は扉を力任せに閉めようとしてきた。

腐れメッシもその影に隠れながら扉を押してくる。


「オラァァァァアアアア!!!!何逃げてんだコラアアアア!!!出てこいや!!?ああ!?出て来いやてめーよおおお!!!!」


でっぷりとした体格の母親が顔を歪めながら扉を押している。
その顔の真ん前で叫ぶ俺。


「お母さん!!こいつはね!!俺のiPhoneを盗んだんですよ?!さらにセロテと言いながらビールを投げつけたんです!!」


「び、ビールを………」



その瞬間、母親の押す力が緩んだ。

中に飛び込むとひるんだ顔をした腐れメッシ。


てめー、もう逃がさねぇぞ、と詰め寄ろうとしたその時、いきなり後ろで見ていたグロスが俺の前に立ちはだかった。


何邪魔してんだグロス!!と思った次の瞬間、グロスのパンチが腐れメッシの顔に放たれた。

クリーンヒットはしなかったが、お互いにヒートアップし、取っ組み合いになったところを母親が止めに入る。


小さな子供たちは放心状態でその様子を見ている。
父親は悲しそうにうつむいていた。




「フミ!!出よう!!もうここを出よう!!」


興奮して声が震えているグロス。
お前がそんなにキレることはないだろうと、一緒に玄関を出た。


「あのクソ野郎はいつも俺たちの家族をめちゃくちゃにしやがる。もう何度目かわからないよ!!」


「おい、グロス、ていうかなんであいつがお前の家にいるんだ?お前昨日あいつのこと知らないって言ったよな?」


「あの野郎は俺の母親と同じとこで働いてるんだ。だからたまに泊りに来るんだよ。チクショウめー………」


なんだか腑に落ちないところだらけだけど、怒り狂ってるグロスを見ると気の毒になってきた。


「フミ、とにかく今はバッグを見つけるためにバス会社に電話しよう。そこの公衆電話でかけてあげるよ。」


そう言ってグロスは自分のお金で電話をかけてくれ、事情を説明してくれる。


「11時には着くそうだよ………これからどうするんだい?ずっと待っとくの?」


「いや、あいつの居場所は分かった。今から警察に行って一緒に捕まえに行く。」


「フミ、やめた方がいい。警察は何もしてくれないよ。それに何度も行くとフミが目をつけられてしまうよ。」


「分かってる、でも黙ってるよりマシだ。」


「分かったよ……でも俺は仕事があるからこれでもう行かないと。」



グロスと握手をした。
いろいろと世話になったねと礼を言い、国境のゲートをくぐってエルサルバドルに仕事に出かけたグロスを見送った。









俺はその足で警察署へ。

昨日も来たこのオフィス。

暇そうなおじさんがデスクにいた。

事情を拙いスペイン語で説明する。





そして返ってきた返事はこう。



「俺たちは何もできない。」


犯人の家を知ってる、そいつはそこにいる。
何度も説明するが、軽くあしらわれるだけだった。

ガックリと肩を落としてオフィスを出る。
しかしそれと同時に闘志も湧いてくる。

腐った警察が何もしてくれないなら、俺が自分の手でやるしかない。

すぐにメッシの家に直行した。











朝8時の鋭い日差しがジリジリと照りつける。
11月も終わりだというのに季節は完全に夏だ。
去年のこの頃はユーゴスラビアあたりで雪にまみれて死にかけていたな………

そんなことを思いながら、メッシの家の前でひたすらあいつが出てくるのを待ち続けた。


建設途中みたいな簡素な家が並ぶ通りに立つ1人のアジア人。
アジア人なんてほとんど見たこともないこの村の人たちからしたら、不審者以外の何物でもない。

遠巻きからチラチラと見てくるおばさんやおじさん。



でも関係ねぇ。
この家の中に潜んでいるボケをとっ捕まえて白状させてやる。









しばらくすると、隣の家のおじさんが話しかけてきた。
人の良さそうな鼻ヒゲのおじさん。


「オラー、俺はギターが大好きなんだよー。ところでどうしたんだい?チーノ。」


「ここの家の人が僕の電話を盗んだんです。」


「むむむ……そうか、ちょっと待ってな。」



そう言っておじさんはメッシの家に入って行った。
すぐにドアが開いた。

メッシのママがいた。
さっき俺を締め出そうとしたママ。



中に入るやいなや、俺はそのまま家の中に走り込んだ。


「オラアアアアアア!!!どこに隠れてやがるボケエエエエ!!!出てこんかコラーーー!!!!」



ボロボロの家の中は窓もドアもないのに薄暗く、黒ずんだ布団がコンクリートの床に並べてある。
カビとか生活の様々な臭いが充満しており、不快さしかなかった。
はっきり言ってひどい暮らしだ。


ママが近寄ってきて、俺に何か言ってきた。
何を言ってるかわかない。
ジェスチャーをしてくれるが、ジェスチャーというものも、国が違うと変わるものなんだよな。



手の表と裏をパン!!と打ち合わせて見せるママ。

少ししてわかった。

もうここにはいないよとのことだった。


「どこにいったんですか?」


「メヒコ、メヒコ。」



逃げた!!逃げやがった!!
俺がグロスと家を離れた隙に逃げやがった!!
チクショウ!!!


メキシコだと………
もうどうしようもねぇじゃねぇか………












トボトボと歩いた。

身体中の力が出ていったみたいだ。

天気はとても良く、太陽がさんさんと輝き、ぬるい風が砂埃を巻き上げる。


昨日のバーの方に行ってみた。

バラック作りの小さな商店がいくつか並び、道路に並べられたテーブルでおばちゃんが何かを焼いている。

色は鮮やかなのに、まるで白黒映画の中にいるような、そんな田舎の村。






階段に座り込む。

iPhoneは消えた。
でもバッグはまだ可能性がある。

本当に俺のバッグなら、今日のお昼にここに来るはず。

それまで待たないといけない。











ぼーっと座り込んでいた。

こんな辺鄙な山村にアジア人が1人で座り込んでいる光景がよほど珍しいのか、人々がチラチラと見てくる。

でも話しかけてはこない。

よほど俺がイラついた顔をしていたのか。






「ヘーイ、どうしたんだいメーン?何か困ってるのかい?俺に話してみなよメーン?」


顔を上げると、そこには昨日の夜に声をかけてきたタンクトップの兄さんがいた。
ボブマーリーのドントウォーリービーハッピーを歌ってた陽気な兄さん。
名前をトト。


時間はいくらでもあるし、彼に話をしてみた。


「あー、今理解したぜメーン。そんなことがあったのか。やるべきことはやったのかいメーン?警察には話したかいメーン?」


昔アメリカに働きに行ってたことがあるトト。
まぁまぁ英語が話せるんだけど、語尾に必ずメーンをつける。
これがクールな英語だと思ってるみたい。


それからトトと警察に行った。


テキトーそうな外見とは違って、親身に、一生懸命説明してくれるトト。

でも警察は浮かない顔で首を横に振るだけ。


「トト、なんて言ってるの?」


「フミ、分かるかいメーン。フミはチーノさ。グアテマラ人じゃない。外国人の揉め事になんて関わってる暇はないってことさメーン。」


「でも一緒に探すくらいしてくれてもいいじゃないか。」


「今パトカーがないから何も出来ないってさメーン。こんな小さな村なのにパトカーがないと何も出来ないっていうふざけた話さメーン。行こう。」


トトと一緒にポリスオフィスを出ると、そこにはパトカーが止まっていた。

呆然とする俺。


「これがここの警察さメーン。」














「ホラ、ここに座りな。ここは俺の家族のお店だから好きなだけいていいからさメーン。」


トトの家族はこの村のメインストリートの真ん中にお店を構えている。
食事、バー、衣料品、日用品、なんでも置いてる。

トトのママがニッコリ笑ってくれる。



店先の崩れそうな木のベンチに座ってトトと話をする。


「は?メーン?今朝メッシを見つけてファイトしたのかいメーン?どこでだい?」


「グロスの家だよ。なんであのバカがグロスの家にいたのかわからないけど、グロスはママとメッシが一緒に仕事をしてるからって言ってたよ。」





その時、トトの口から信じられない言葉が飛び出した。







「はぁ?何言ってんだメーン?そこはメッシの家だぜメーン?」


「は?」


「メッシはママの息子さ。メッシとグロスは兄弟だぜメーン?知らなかったのか?」





全てがつながった。





後編へ。






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トゥモローイズアナザーデイ 後編

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「メッシはママの息子さ。メッシとグロスは兄弟だぜメーン?知らなかったのか?」







全てがつながった。

昨日腐れメッシと揉めてる時にタイミングよくグロスが現れ、心配してる振りを装って、もう無駄だよと俺を執拗に現場から離れさせようとした。

ナイフやガンを持ってるからと怖がらせたのもグロスだし、警察に行っても何もしてくれないと引き止めたのもグロス。

最初警察にスペイン語で事情を説明したのもグロスだし、今朝怒り狂う俺を家から連れ出してメッシに逃げる時間を与えたのもグロスだ。



「あいつのことは知らない。」

「メッシはママの同僚なんだ。」



数々の嘘も、2人が繋がっていないと見せかけるためのものだった。

完璧に兄弟での犯行だった。








なんてバカだ………
共犯のやつに向かって俺は何度ありがとうと言っただろう。
あいつがiPhoneの代わりに恵んでくれた食べ物にありついてしまった。

道化にもほどがある。





そして同時に怒りが全身から噴き出してきた。

もはやあの兄弟はこれから数日村には戻らないだろう。
当たり前だ。

殴らないと気が済まない。
もう次に顔を見たら何するかわからない。








でも腑に落ちないこともある。

バレるとわかっていて、何でグロスは俺を家に泊めたんだろう。

なんで腐れメッシは朝俺の前に姿を現したんだろう。

ミスったのだったらマヌケすぎる。

そんなマヌケなやつだったらもしかしたらまたノコノコと村に戻ってくるかもしれないという一抹の希望もある。


いや、それはないか。
あるわけがない。




「まぁ間違いなく奴らがやったことだなメーン。村の人たちはみんな知ってるさ。メッシはマジでクソ野郎だからなメーン。」













それからもひたすらトトのお店の前に座ってバスを待つ。

国境なのでバスは結構な頻度でやってくる。

バスが来るたびに駆け寄り、荷物はないか?と確認する。

ドライバーたちはみんな首を横に振る。



中米のローカルバスは戦争だ。
1秒でも早く動くことに使命を燃やしている。
走りながら乗客を降ろし、乗客が乗り終わってないのに走りだす。

そんなバスに駆け寄って荷物はないか尋ねても、はぁ?知らねー!!行け行けー!!と怒鳴りながら走り去っていく。



それをずっと、ずっと、繰り返す。




トトの家族から話が伝わったみたいで、すでに噂は広がっており、俺が何度も何度もバスに駆け寄り、肩を落としてベンチに戻って座る姿をみんな哀れそうな目で見ている。












時間は11時を過ぎ、12時を過ぎた。

バスは来ない。

バッグがない。

iPhoneもない。

見知らぬ村にひとりぼっち。

言葉の通じない人たちの中、ぼーっとしていたら頭がおかしくなりそうだった。


空気を読めないオッさんが近づいてきては、チーノチーノ!!お!!これは何だ!!とトロールをいじってくる。


「はいはい……もうチーノでいいですよ………チーノチーノ………え?トロールはどこの出身かですか?ノルウェーですよ……」


「ノルウェー?なんだそれは!?チーノ!!」


「あ、ああ……知らないか………ヨーロッパですよ………」


「ヨーロッパ!?なんだそれは!?国か!?チーノチーノ!!」


「あの、僕チーノじゃなくてジャパニーズです……ハポネス。」


「おお、ハポネスか!!ところでお前はギターを弾くのか!!さぁ!!歌ってくれチーノ!!」


あまりにもうっとおしそうにしてるとトトのママがあっち行きなさい!!と追い払ってくれる。

そして俺にコーヒーを淹れてくれる。

ママは俺の状況を理解してくれていた。


ヨーロッパという地域そのものも知らない田舎の人に日本と中国の違いなんてわかるわけもない。












時間は15時を周り、16時、17時と過ぎて行く。

時計がない状況で待つというのはとても苦痛だ。


目の前の砂ぼこり舞う道を野良犬が歩く。
バイクタクシーが駆け抜け、商品をたくさん載せたミニトラックが走る。

野菜を買って帰る人、暇そうなおじさんたち、1日中トルティーヤを焼いてるお婆さん。


人々のささやかな1日が目の前を通り過ぎていく。

人形みたいに動かない俺の前を。








もう全部嫌になりそうで、このまま飛行機でコロンビアに飛んでしまおうかと考えが頭をよぎる。

新しいiPhoneを買ったらイースター島に行くお金がなくなる。

無理してイースター島に行ったらアルゼンチンからニュージーランドに飛ぶお金がなくなる。


これがヨーロッパならなんとかなる。
いくらでも歌って稼げばいい。

でもこの先は南米。
稼げる見込みは限りなく低い。


もう絶望しかなかった。










すると村人の1人が俺を呼んだ。

なんだ?と行ってみると、ゆうべのあの犯行現場の前に人だかりが出来ていた。

そこには話の分かりそうな清潔な身なりの大人がおり、メッシと裏切り者グロスの家族がいた。



「君がチーノか。昨日何があったか話してくれないか。」


しっかりした風貌のおじさんは流暢な英語を喋った。

何度も何度も説明した話をもう一度した。






「ふむ、なるほどな………ムカつく話だ。」


俺の話が終わるや、メッシのママが勢いよく喋り出した。

話が終わるのを待ち、おじさんに何て言ってるのか聞いた。





「………あのバカメッシはメキシコに住んでいて、ほとんどこっちに帰ってこないそうだ。ゆうべもたまたま久しぶりに帰ってきたとこで、今日またメキシコに帰った。なのでもういつ帰ってくるかわからないと言っているよ。」


そうなのよ、と気の毒そうな顔をしているママ。
汚れたエプロンを腰に巻き、相撲取りみたいな体をしている。



「はぁ、だから600ドルはするiPhone4Sと、4000枚の写真と全てのメモリーとアドレスを諦めろってわけですか。舐めてんじゃねぇぞコラァ!!!」


行き場のない怒りに震える俺。
その様子を見て、さらに村の人たちが集まってきた。




「なんだなんだ!?どうしたんだ!!」


「このママの息子がこのアジア人の電話を盗んだんだ!!」


「盗んでビールを投げつけたらしいぞ!!」


「電話を盗んだだって!!」


「あああ!!ああ!!あああああ………」


大騒ぎになる人だかり。
その中心で、家族の盗みを暴露されているママは悲痛な顔で涙を流していた。

その足元でママにしがみつく小さな子供たち。


こんな山里で家族から盗人を出したなんてことが知れ渡ったら村八分にもなりかねないだろうな。


「チーノ、どうする?メキシコに逃げられたんならもう取り戻せないよ。でもこの家族にお金を請求することはしてもいいと思う。」


この村の信望を集める人であろうおじさんがそう言ってくる。

当たり前だ!!最低でも100ドルは払ってもらう!!









なんて言えるわけねぇよ…………

あの家だぞ……?
その日暮らしもやっとみたいな家族に月給並みの金額を払わせたら、どうやって生きていけるよ。







もうどうでもよくなった。

怒りの炎はママの涙で見事消火されてしまった。


もういいです、と告げて、まだヒートアップしている人だかりから抜け出してトトのお店に戻った。


「ママ、何かご飯食べたいです。お肉がいいです。元気だしたいです。」


そう言うと、お店から一部始終を見ていたママが美味しいご飯を作ってくれた。

トルティーヤとチーズと豆、そして牛肉を焼いたもの。

ゆっくりと噛み締めた。

今日最初のご飯が体に染み渡った。

食べ終わっていくらですか?と尋ねると、お金はいいわとママが言った。

同情してくれるのは嬉しいが、それとこれとは話が違う。


払おうとしても受け取ってくれないので、店員の女の子のポケットに10ケツァールを突っ込むと、仕方ないわねぇと女の子はニコリと笑った。

















ベンチに座る。

ひたすら。

バスは来ない。



18時になり日が暮れてしまった。

夜になると周りのお店はひとつずつ閉まり、人通りも少なくなった。







19時、




20時、






もうきっとバッグも戻って来ないな。
そう思う。

無くしてしまったのに、無くしたと言えずに嘘をついたんだろう。
そのうち諦めるだろうと思ってるはず。


バス会社の思惑通り、もうほとんど諦めていた。


あのバッグには寝袋やマット、お風呂セットなど、その他もろもろだけで貴重品は入れていない。
バッグ自体ももはや使い物にならないようなボロだ。


ただブーツや、旅先でもらった思い出の品を失うのは口惜しかった。


もう明日になったらこの村をでよう。













ぼーっと道路を見つめる俺に声をかけてきた4人の若者たち。

ゆうべ俺を慰めてくれたグロスの友達たちだった。
グロスの姿は、もちろんない。


「大丈夫かい?もし良かったら俺らと遊びにいかないか?」


「いや、ここでバスを待たないといけないんだ………ありがとう………」


「そうか………」



死人みたいな顔をしてる俺。
蚊の鳴くような返事。

彼らもどう接したらいいかわからず、困惑しながら俺の周りに座ってくれた。

気を使わせて申し訳ないが、今は相手をする元気なんてないんだよ………











その時だった。

通りの向こう側を、見覚えのある帽子をかぶった男が歩いていた。

すでに夜で外灯もまばらなので顔まで見えない。



あの帽子………










「な、なぁ、あれメッシじゃないか?」


「………ああ、あれはメッシだ。」





いやがった!!!やっぱりメキシコになんて行ってなかった!!

息子と一緒に俺を締め出そうとしたあのママのことだから、かばうために嘘をついてるんじゃないかと思ってはいたが、やっぱりか!!
あの涙も偽物か!!

と頭によぎる前にすでに全速で駆け出していた。







のほほんと歩いてるメッシに後ろから飛びかかり、首根っこをつかんで力任せにブロック塀に叩きつけた。



「ナイストゥミーチューだなぁこの野郎あああ!!!??」


溜め込んだ怒りが爆発してメッシの頭を壁に押しつける。


「あああああ!!!テイクイットイージー、テイクイットイージー、」


「落ち着いていられるか!!殺すぞボケ!!」


喉もとを締めあげているのでかすれた声で落ち着いてくれ落ち着いてくれと繰り返すメッシ。

もはや日本語で叫ぶ俺。
やっぱり母国語が怒りやすい。



「来いボケ!!警察行くぞ!!」


「ノー、ノー、ノーーー!!!!」



メッシだってやられっぱなしではいない。ハングリーな田舎の若者だ。

俺の服をすごい力で引っ張り、首を鷲掴みにして爪をたててきた。

しかしもう怒りは頂点に達している。そんなもん痛くもかゆくもねぇ。



「何を抵抗してんだこのボケが!!」


ふりほどくとビリビリと音を立てて服が破けた。
フィンランドのロバニエミでオンニと一緒に買ったH&Mのニット、死亡。
オンニすまん!!


爪で切れて首から血が流れるが、そんなのお構いなしにメッシの服もビリビリに破りながら地面に引きずり倒した。




「オラァァアアアアアア!!!殺すぞコラァァァ!!!」


「ソーリー、ソーリー!!お、お前のiPhoneは……俺の友達が持ってるんだ………」



村中に響き渡るような声で取っ組み合いをしてるもんだから、たくさんの野次馬が集まってきた。


いつも俺が路上で集める人だかりの数を超える。
ちょっと切ない。




「よし、来い、警察行くぞ。」


「ああ!!やめてくれ!!頼む!!頼むから!!」


その時、ようやくパトカーが人だかりをかきわけてやって来た。

そして家で寝ていたトトもママから早く来なさい!!って電話があったみたいで急いでやってきた。





トトが間に入り、警察に事情を説明する。

ていうか昨日から何度も何度も直談判しに行ってるんだから事件の経緯くらいとっくに知ってるはず。


警察はメッシを羽交い締めにし、パトカーに押しつけてボディーチェックをし、車内に押し込んだ。

さすがの堕落警察もことここに及んでは仕事をしないわけにはいかないようだ。





ひとまずここで待ってろと言い、パトカーはメッシを乗せて走って行った。










人だかりの真ん中でヘタヘタと腰をおろす。

はぁ………喧嘩なんて久しぶりだなぁ。
ナイフとか出されなくてよかった………

ジャッキーチェンの国のやつの喧嘩が見られた!!と大喜びしてる村の人たち。

チーノチーノ!!と声をかけられる。
ようやく首の引っ掻き傷が痛くなってきた。








そして20分くらいしてパトカーが戻ってきた。
そのパトカーに通訳のトトと一緒に乗り込む。



パトカーは俺たちを乗せて走り、人だかりから少し離れた暗い道路脇に止まった。

なんだなんだ?













これが君のiPhoneかい?


警察がiPhoneを差し出してきた。
ご丁寧なことにケースもまだそのままに使っていやがった。

受け取るや、すぐに中身を確認した。






頼む、頼む…………







しかしiPhoneはすでに初期化されていた。

シートの向こうにいるメッシに殴りかかろうとすると警察に止められた。


なんてこった……写真と日記が………
そしてもしアップクレードしたことによってアプリのダウンロードが出来なくなっていたら、もうこのiPhoneは使い物にならない。


それをトトに説明するが、iPhoneなんて触ったこともない田舎育ちのトトにはそれがどういうことかわかってもらえない。


「フミ、よく分からないけどiPhoneが戻ったんだからいいだろうメーン?あとはこのメッシを許すか刑務所にぶち込むかを決めるんだ。」


「あああ!!!ごめんなさい!!ソーリーソーリー!!ソーリーー!!」


俺の前に頭を下げ、手を組み合わせて懇願している。

もうどうでもいいです、好きなようにしてくれと言ってパトカーを降りた。

すると警察も一緒に降りてきた。ポケットに手を入れる警察。

なんか調書でもとるのかな?と思ったら、この警察、財布を出してきて、ドル札をチラつかせてきた。




ほ、ほぅ……これが噂の賄賂というやつですか………

いや、賄賂というか仕事に対する謝礼か。


「フミ、心配しないでいいぜメーン。お金のない旅をしてるんだとちゃんと言えば問題ないさメーン。」


いつも路上で稼ぎながら旅してるのでお金ないんです、ごめんなさいと言うと、警察のおじさんは、大丈夫、君はただありがとうと言うだけでいいんだよ、とニコリと笑った。


ああ、いいお巡りさんだなぁ………

ってなるかコラ!!
最初からその言葉を言ってくれればいいものを。
















トトと一緒に歩いてお店に戻る。

やったな、と肩を叩いてくれるトト。

トト、本当にありがとう。

よかった、本当によかった。
初期化されていたのは悔しいが、新しいiPhoneを買うことに比べたら最高の結果だよ。




盗みは悪い。
悪いことは悪い。
先進国だろうが途上国だろうが、田舎だろうが都会だろうが、そんなこと誰だってわかっている。

俺たちは同じ人間。
怖いという感覚も、良心も、みんな当たり前に持っている。
それは旅の中で人々と触れ合うことで少しずつ勉強してきた。

外国だから仕方ない、なんて泣き寝入りはしたくない。

もし自分を責めるだけでアッサリとiPhoneを諦めていたら、メッシはきっとまたアジア人を狙う。
もうあいつは前科持ち。そう簡単には次の犯罪に手を出せないだろう。


力になってくれる人たちがいて心から救われた。









ママのお店に戻っていると、向こう側に人だかりが見えた。

おーい!!と俺たちに手を振っている。


なんだなんだ、そんなに盛り上がって。









あ!!!!



人だかりの中の1人が、なにかを頭上に掲げていた。



俺のキャリーバッグだった。


1日中、バッグを探していた俺を見ていた人たちが、俺以上にやってくるバスに気をかけてくれていたのだ。





「うわー!!俺のバッグー!!」


「やったぜやったぜー!!」


「だから言っただろう!!トゥモローイズアナザーデイってさメーン!!!」


「チーノチーノ!!ビール飲め!!ビール!!」



みんな大興奮しながらお店のビールを出してきて、渡してきた。
みんなにも配られる。


サルー!!と言って一気にビールをあおると、体の隅々にまで染み渡った。

そして昨日からの黒い影がひとつ残らず体から消え去った。



嘘だろ、全部戻ってきた。






「チーノ!!歌ってくれ!!チーノ!!」


「チーノ!!もう今なら歌えるだろ!!チーノ!!」


「チーノチーノ!!チーノ!!」


「俺はチーノじゃねぇええええええ!!ハポネスだ!!!あーもう、よっしゃー!!歌うぞーー!!!」


「うっひょおおおおおおおお!!チーノが元気になったーー!!!」


「なんだー!!チーノも笑えるんじゃねえかーー!!イイイイイイヤッホオオオオオウウウ!!!!!」


「ビール持ってこーい!!」




もうこの人たちは楽しけりゃ何でもいいんだな^_^

そのあっけらかんとした人々に囲まれ、この夜はしこたま飲んで、歌えや騒げやで、さらにおひねりまでもらって、トトの家で水浴びして爆睡しましたとさ。

photo:01



photo:02



photo:03












て、ていうか国境まだひとつも越えてねええええええええ(´Д` )!!!


中米ローカル南下、濃すぎる………



まだまだこんなもんじゃ終わらないです。
何もない日がなかった。


とにかく!!
確実に言えることは!!






飛行機で飛ぶべきです。

最高にスリリングではあるけどね。



ご心配おかけしたみなさん、暖かいお言葉をかけてくださったみなさん、叱咤のお言葉をくださったみなさん、申し訳ありませんでした。
そしてありがとうございます。


今回は調査の結果でメッシがこの村の鼻つまみ者であったこと、村人たちが味方になってくれたことなどを考慮して行動に出られましたが、やばいと思ったら逃げることも必要だと勉強になりました。


これからの南米は意地を張らずに安全な道を選んでいきたいと思います。





とにかく、今は落ち着いております!!
ズタボロになってたけど、全て回復しました。
ブログもしばらくはキチンと更新できると思います。


もうすぐ南米!!


photo:04








【中米ローカルバス南下】 2日目


移動なし


小計 0ドル

合計 7.5ドル

国際バス 126ドル







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恐怖のチキンバス

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11月28日 木曜日
【グアテマラ】 サンクリストバルフロンテーラ
~【エルサルバドル】 サンミゲル






目を開けると殺風景な部屋の中。


photo:32




何もない、石の部屋。


ガラスのない窓から日が漏れこむ。



静寂。

床に敷いたマットの上、体を起こした。




「ハーイ、フミ、起きたかい。」


隣の部屋から声がした。
陽気な男、トトだ。

ゆうべの乱闘と警察沙汰の末、iPhoneを取り戻し、村人たちとドンチャン騒ぎをしてからこのトトの家に転がり込んだ。

安堵に包まれた心、ゆっくりと眠った体にはすっかり力がみなぎっていた。

よし、動けるぞ。







photo:02



トトの家はゆうべ寝たグロスの家に比べるとはるかに綺麗だった。

村の真ん中で商店を営むトトの家族は比較的収入も多いんだろう。

トトの部屋にはパソコンもある。




でもそれでも水道からは水が出ない。
溜めている水場から桶で水をすくって利用する。

シャワーはもちろんお湯なんか出ないし、それどころかシャワーヘッドもない。
ドラム缶に溜めた水をすくって体にかけるだけだ。

トイレにはドアがなく、外から丸見えだし、水が流れないのでこれまた桶ですくって流す。


これがこの村の比較的裕福な暮らし。
ボイラーや冷蔵庫なんて夢のまた夢だという現実が強く胸を打つ。









「じゃあ俺ママのお店でご飯食べてくるよ。」


「おう、後でお店でなー。」


1人で家を出て外に出た。
さんさんと照りつける太陽が村の隅々を輝かせる。

未舗装の地面やボロボロの家、錆びついたフロントガラスのない車がガタガタガタと走っていく。

photo:03



photo:04




穏やかな光景。
昨日はあんなにふさいでいたのに。














ママのお店に行くと、みんなが笑顔で迎えてくれた。
すでに全てを知ってる周りのお店の人たちが手を振ってくる。

そして俺の首の引っ掻き傷を優しくなでてくれる。


photo:05



photo:06





柔らかい風が吹く外のテーブルで、ママの作ってくれた朝ごはんを食べる。

卵とトマト、豆、そしていつものトルティーヤ。

中米の最もポピュラーな食べ物が優しく体に染み渡る。

photo:07



photo:08











ママに晩ご飯用のサンドイッチを作ってもらい、村の人たちみんなに挨拶して回る。

みんな元気でな、と肩を叩いてくれる。

photo:09




こんな山里に迷い込んだ1人のアジア人闖入者が巻き起こした騒動。

あの映画のような出来事をきっとみんな語り継いでいくんだろうな。

そしてこれからも、何事もなかったようにささやかな暮らしが営まれていくんだ。


「私はあなたのママよ。忘れないでね。」


そう言って顔をなでなでしてくれるママを抱きしめて荷物を担いだ。

みんなありがとう。











photo:10




すぐ隣の道に出ると、南国ムードの植物が生い茂る国境が目の前に見える。
トラックやバスが無秩序にひしめくカスタムの入り口を歩いていくと、札束をバタバタ見せながら両替のおじさんたちが近寄ってくる。


ここで替える必要はない。
なぜなら中米ではすべての国でアメリカドルが使えるから。

もちろん現地のお金に替えたほうがボラれることも少ないだろうけど、こっから先はバスを乗り継いでかっ飛ばすだけだ。

両替のおじさんたちに笑顔を向け、イミグレーションへ。

グアテマラ側の窓口でパスポートを見せる。
ちょちょっとチェックをしてスタンプが捺される。


「フミターケ!!アディオス!!」


「アディオス!!」


インディージョーンズみたいな国境越えからティカル遺跡、アンティグアでの穏やかな日々、そして最後の大波乱まで、とことん楽しませてくれたグアテマラ。


うーーーーーん、面白かったよ!!!

また来たいと思える国だ!!


アディオス!!グアテマラ!!

photo:11



















photo:12



国境を越えると、歩いてすぐに次のゲートが見えてきた。
木漏れ日が揺れる中に、ひなびた建物。

エルサルバドルのカスタムだ。




パスポートを見せるとスタンプも捺すことなく、通行を許可された。
グアテマラ、エルサルバドル、ホンジュラス、ニカラグアは何かの協定を結んでいると聞いたことがある。

そのためスタンプどころか荷物のチェックも何もない。

あっという間にエルサルバドルだ。







photo:13



グアテマラ側と同じように、国境の先にはバラックの小屋が並び、小さな商店がある。


さー、先に進むバスはどこかなー。
できれば今日中にエルサルバドルを抜けたいところなんだけどなー。



「ヘイ!!ワッツアップメーン!!サンサルバドルに行くのかいメーン!!」


通りの向こうからボロボロの服を着た兄ちゃんがたどたどしい英語で声をかけてくる。
一瞬身構えるが、もう俺は大きな勉強をしたところ。油断は1ミリもないぞ。


「サンサルバドルに行くにはこのバスさメーン。こいつでサンタアナまで行って、乗り換えてサンサルバドルさメーン。」


ここらの人は語尾にメーンをつけたらイケてる英語だと信じてやまない。
この黒ずんだ服と油まみれの手をした兄ちゃんもかつてはアメリカに行ってたんだろうな。




「サンタアナまではいくらでいけるんですか?」


「55さ。」



エルサルバドルの通貨がどんなもんでどんなレートかもまったくわからない。
多分1時間くらいの距離。
1ドルくらいで行ければいいんだけど。


「1ドル払えばいいのさメーン!!ドライバーがお釣りを返してくれるよメーン!!」


おお、なるほど。
ドルで払って現地通貨のお釣りをくれるわけだな。


photo:14




と思ったら、




あ?あれ?

なんでドルのコインを返してくるの?



「ヘイメーン!!エルサルバドルはドルだぜメーン!!」


すっげ、なんで違う国の金を使ってんだ!!
中米やっぱりわけわかんねぇ!!

ていうか1時間の距離を55円って安い!!!







photo:15



坂道をブンブンうなりながら走っていくチキンバス。
いつものようにタクシーがごとく道端で手を上げる人たちを拾っていく。



チキンバスはスピード命。

ドライバーの他に補助の男がドアのところで半身を乗り出して道端に叫びながら走っていく。

そして人々の荷物を持ってあげたりしてスムーズに乗り降りさせるので、ドライバーは運転に集中できるってわけだ。

頭に荷物を乗せたおばさん、大きな商品を担いでる人、ジャングルの中の集落で人を拾いながらバスは走る。











そんなスーパーローカルなバスは1時間でこの国西部の町、サンタアナに到着!!


「おおおらああああ!!!!急げやコラアアアア!!!!」


バスを飛び降りると、向こうのあのバスがサンサルバドルだこの野郎!!早く走りやがれ!!と急かされ、え!!値段!!値段いくら!!ほんとにこれ!??とかもうわけ分からんままに言われたバスに飛び乗ると、そのチキンバスはウッヒョオオオオオオ!!!とアホみたいなクラクションを連発しながら走り出す。


あああ!!慌ただしすぎる!!ひと息つく間もねぇ!!

photo:17










このサンタアナから首都のサンサルバドルまでが1.35ドル。

1.5ドルを渡したら、きちんとお釣りを返してくれるという良心的な国。
エルサルバドルやるじゃん!!


そしてバスは歩いてる人をマジで轢き殺す勢いでぶっ飛んで行く。
おばちゃんやお爺ちゃんが闘牛をかわすがごとくヒラリとバスをよける。


怖ええええ!!!!



とか言ってるうちにまた1時間でバスは首都のサンサルバドルに到着!!






photo:19




はいここ!!MK5!!

マジで殺される5秒で。

とグアテマラの人たちに言われていた凶悪都市!!

一瞬にして逃げ出したいところなのに、降ろされたのは喧騒とゴミだらけのスーパーカオスなローカルエリア。

photo:18



photo:21







なにしに来やがったこの腐れ早漏が!!と野良犬が吠えかかってきますね。




ひいいいいいいい!!!そ、早漏じゃないもん!!多分!!



道行く人に東部の町、サンミゲルに生きたいです!!あ、字間違えた!!いや!!あながち間違いでもない!!
サンミゲルに行きたいとよおおお!!!と言いまくっていると、こっちだ!!この早漏!!と腕を引っ張られて、もうこれ以上乗れないですよ………というすし詰めのバスに押し込まれる。

photo:20











バッグがおばさんの顔に当たる。
トロールがお爺さんの顔にタックルする。

ご、ご、ごめんなさい!!
わざとじゃないんです!!
殺さないで下さい!!

と泣きそうな顔をしていると、周りの人たちがサッと席を立って俺を座らせてくれる。
そしてニコリと笑う。



あ、エルサルバドルいい国。
市バス20セント。











photo:24



はい、また謎の場所。
ターミナルとかあるわけないし。


なにここ?
岩国の駅前?



ここどこだよー!?と途方に暮れつつも、そこらへんにいた警察にサンミゲルに行きたいです!!とお願いすると、スペイン語で何か言ってくる。

まったくわからないのでフナムシみたいな顔をしていると、こっち来いとどこかへ連れて行ってくれる。


道路沿いに人だかりが出来ているところを発見!!
ここに来ると言う。


「オッラアアアアアア!!!!ちっ殺すぞおのれらああああああ!!!!」


「早く乗れ!!ホラ!!早く乗れって言ってるだろう!!」


「ぎゃああああああああ!!!!」



photo:25




気が狂ったようなバスが怒号を上げながら突っ込んでくる。

それにダッシュで群がる人々。
こける子供、突き飛ばすおばさん、中島みゆきの気分で、もちろん俺も叫びもせず助けもしませんよね。

災害が来た時の彼らの逃げ方とかスーパー早いだろうな。

photo:26





「心配するな、俺がちゃんと乗せてやる。」


唖然とする俺に、頼もしくジェスチャーしてくれるお巡りさん。











しばらくしてその若いお巡りさん、いきなりホイッスルを吹きながら道に飛び出して1台のバスを止める。


「これだ!!早く乗るんだ!!」


「オッラアアアアアア!!何やってんだどけやコラアアアアアアア!!!」


「早漏があああ!!!!」


クラクションの嵐の中、VIP待遇でバスに飛び乗る!!
あ、ありがとう!!と走り出したバスの入り口から振り返ると、お巡りさん、怒号と人垣の中で背中を見せたまま手を上げて親指を立てる。


か、かっけぇ………!!

なんだこれ?




この綺麗なバスの値段は5ドル。
多分もっと安いのがあるだろうけど、このカオスな国でちゃんとバスに乗れただけでも良しと思わないとな。

あー、疲れる………












バスは3時間走ってエルサルバドル東部の町、サンミゲルに到着。

すでに時間は20時で、外は真っ暗だ。

今日はもうここまでだな。
やっぱりローカルだとそんなに距離を稼げない。



宿はもちろんない。
一応バスターミナルで止まってくれたので、ここで朝まで時間を潰して早朝のバスでスタートしようか。


治安はまあまあ心配だけど、首都よりかはまだマシだろう。


「ここがサンミゲルでいいんですよね?」


後ろの座席のおじさんに聞いた。


「ああ、そうだよ。」


優しそうなおじさん。
やっぱりエルサルバドル人は優しい。





バスを降り、荷物を持ってターミナルの方へ歩いて行くと、誰かが拙い英語で声をかけてきた。

振り返るとさっきのおじさんだった。


「今夜はどうするんだい?」


「あ、バスターミナルの中で朝を待ちます。」


「そうか、もしよかったらウチに来るかい?」


え!!なんで!!まだ2秒くらいしか話してないのに!!

奥さん、小さな子供、奥さんの兄弟のおじさんがニコニコしている。


荷台のある車で、ここに乗ってウチに行くかい?と言う。



はい!!モチのモチでよろしくお願いします!!


「よーし、じゃあ行こうか。」


「ちょ、ちょっと待ってください!!何で今会ったばかりの僕を泊めてくれるんですか?」


「それはね、君がギターを持ってるからさ。僕もギター弾きだからね。まぁクラシックのほうだけどさ。行こう!!」










photo:27



photo:28



荷台に俺とおじさんを乗せた車は夜のサンミゲルの町中を走っていく。

たくさんのフランチャイズのお店が並び、大きなショッピングモールもある。

バーやレストランではバンドが演奏をしており、とても賑やかで綺麗な町だ。


「サンミゲルはエルサルバドルの中でも裕福な町なんだ。ナイスシティーさ。でもサンサルバドルはいけない。あそこは本当に危険だからね。」


すると道路脇に大きな観覧車が見えた。
足元には無数の屋台がひしめいており、明かりがこうこうと光っている。
人もたくさん歩いていた。


「明日の夜から日曜日にかけて大きなフェスティバルがあるんだよ。この国で1番大きなお祭りさ。明日までいるんだったらうちに泊まっててもいいんだよ。」


んんん………
けどすべての町を楽しんでたらいつまでたっても前に進めない。

残念だけどフェスティバルは諦めるか。












車は郊外に向かい、次第に町灯りから遠ざかる。
森と荒野の中の一本道を走っていく車。荷台であびる風がひんやりと冷えこんだ。


外灯もない田舎道。

対向車もない。

真っ暗な夜の中を静かに走っていく。

髪の毛が風で顔をうつ。


ふと空を見上げてみたら、そこには息を飲むような星空が広がっていた。

普段は見えないような細かい砂粒のようなものまでが、暗い空をおおっていた。


「なぁフミ、あの星の集まりを知ってるかい?」


「ああ、もちろん。オリオン座だよね。」


「あれはね、ドアオブヘブンって言うんだ。あそからイエス様はやってきてくれるのさ。」




なんてこった。

確かにあの長方形はドアのようにも見える。
夜空に浮かぶあのドアの向こうが天国になっているだなんて、なんて素敵なことを考えているんだ、エルサルバドル人は。



遮るもの何ひとつない夜空に光る天国へのドア。

俺たちは見上げる。
60億人の地球から。












車は小さな村に入っていき、彼、ファビオの家に着いた。

そこには彼の一族がみんなで暮らしている家があった。


ファビオが俺を紹介してくれる。

このとんでもなく小さな集落に日本人が来たことなんてまずないだろうな。

しかし、ママもお爺さんも子供たちも驚いていいものなのに、みんな暖かく迎えてくれた。





ママが、中米の家庭料理、パパスを焼いてくれた。

photo:29




トルティーヤの中に豆のペーストとチーズを入れたもの。
トルティーヤは市販を食べるのが一般的だけど、ママは年季の入った手つきで生地から作っている。

photo:30



photo:31




旨すぎる!!
これマジで美味い。

今までの中米のローカルご飯で1番美味かった。

感動的なほどの味に大喜びする俺を、家族のみんながニコニコしながら見ていた。



「フミ、僕は教師なんだ。音楽を教えている。奥さんは数学の先生。奥さんの兄弟も、その奥さんもみんな教師をやってる。だから俺たちはあまりお金には困っていない。俺たちは人を助けたいんだ。フミが来てくれてとても嬉しいよ。」




22時を過ぎたこの田舎の集落には明かりはまったくない。
虫の鳴き声だけが響きわたっている。


そんな庭で、2人でたくさん話をした。




するとファビオがギターを出してきた。
クラシックギターだ。
渡されたのでまずはチューニングした。


「ん?それどうやってやってるんだい?」


俺がハーモニクスでチューニングしているのを見てそう言うファビオ。

ハーモニクスのチューニングなんて初歩中の初歩。
でもこのスーパーど田舎の音楽教師であるファビオはそれを知らなかった。


彼が教えているのは小さな子供たちだという。
本格的な学問としての音楽でなくとも、音の楽しさを教えることがなによりも大事なことだよな。





ファビオがギターを弾いた。

おお、上手い。
バッハだ。

アメリカを一緒に旅したクラシックギター弾きのユージン君とまではいかないけど、基礎のしっかりとした奏法だった。



虫の鳴き声とガットの優しい音色が混ざり合う。


その滑らかな指の動きに、彼のこれまでの人生を見るようだった。







【中米ローカルバス南下】 3日目


★グアテマラフロンテーラ~サンタアナ 55セント
1時間


★サンタアナ~サンサルバド 1.35ドル
1時間20分


★サンサルバドル~ターミナルオリエンテ 20セント
1時間


★サンサルバドル~サンミゲル 5ドル
2時間40分


小計 7ドル

合計 14.5ドル


国際バス 126ドル




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ヒッチハイクとピストル 前編

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11月29日 金曜日
【エルサルバドル】 サンミゲル
~【ニカラグア】 チナンデガ




ベッドの上で目を覚ます。

見上げると天井はトタンの屋根だ。

太陽の光と南国の風。


photo:01





横を見るとベッドの上で小さな男の子が寝相悪く寝ている。

ファビオの息子だ。

ファビオの家の2階が寝室になっているんだけど、そこは寝室というかまるで建設途中の建物。

殺風景で、窓にもガラスはなく、開放的にもほどがある壁を風が吹き抜ける。

コンクリートの床にベッドが3つ並んでるだけだ。
1年を通してそんなに寒くならないってことなんだろうな。


photo:03



photo:02



ファビオの家族は教師をやっているので、現代的な冷蔵庫や液晶テレビがあるし、驚くことにWi-Fiまで持っていた。

馬を足に使っているようなこのあたりの人たちからしたら、とんでもない金持ちなんだろうな。



「おはようー。」


「グッドモーニング。よく眠れたかい?朝ごはんが出来てるよ。」


ファビオと1階に降りると、美人な奥さんのレティが朝ごはんを作ってくれていた。


photo:04



美味い!!

豆のペースト、フリーホーレスはもちろん欠かせない。
この中米ご飯の味にもうずいぶん慣れたな。











「フミ、これからちょっと学校に行くけど、一緒に来てみるかい?」


すごい!!

この中米の貧しい国であるエルサルバドルの田舎の村の学校がどんな雰囲気なのか、とても興味がある!!




photo:05



Tシャツにジーパンというラフな格好のファビオと一緒に家を出る。

野良犬がトボトボ歩いているほんの小さな集落の中に、日本だったら余裕で20年前に廃校になりましたみたいなボロボロの学校があった。

ファビオについて中に入る。

photo:06









photo:07



photo:08




すべてが古びてはいるが敷地はなかなか広く、建物も多い。
教室の中には日本の小学校と同じような木とパイプのイスと机が並んでおり、懐かしさが湧いた。

俺も宮崎の田舎の美々津という小さな港町で小学校に通った。

1学年20人の過疎の町。


でも立派にみんな育ったよな。

photo:09












photo:10



校内にはまばらに子供たちがいるだけで、活気は見られない。
今日は休みなのかな。


「生徒は何人いるの?」


「850人だよ。26人の先生が教えているんだ。」



は?この田舎の村にそんなに子供が!?

いやいや、後進国の田舎にはこれでもかってくらい子供がたくさんいるもんだ。
きっとこの集落の周りにあるジャングルの中の村とかからも子供が通っているんだろう。

どうして今こんなに静かなの?と聞くと、みんな家の手伝いとかをしてるそう。
午後からのクラスにはたくさんの子供が集まるみたいだ。






photo:11



先生たちに挨拶してまわるが、みんな変な顔はしない。
笑顔で挨拶してくれ、英語の先生が流暢に会話してくれる。


もし俺が子どものころ、うちの美々津の小学校に黒人とかが来てたら一大事になってたはずだよな。

ファビオが、彼は世界一周をしてるところなんだと説明してくれるが、余計謎でしかないよな。みんなこのアジア人をどう見てるんだろ?




これファビオ。

photo:12



音楽の先生らしい。





これ体育の先生。

photo:13



わかりやすい。怖そう。









ファビオがひとつの建物の中に入る。

そこには6~7人の子供がいた。

ファビオが何かを言うと、子供たちは奥の部屋から楽器を持って出てきた。

楽器といっても太鼓と壊れたトランペット、それと大太鼓。

photo:14



ささやかな吹奏楽団の演奏がファビオの大太鼓のリズムに乗せて始まる。



photo:15



子供たちは真剣な顔で背筋を伸ばして懸命にバチを振り下ろす。

トランペットが寂しく音を上げる。





ドン パン ドン パン


プープープー


ドン パン ドン パン


プープープー






演奏が終わり俺が拍手をすると、みんな照れ臭そうに笑った。
その笑顔がたまらなく愛おしかった。

photo:16



photo:17




彼らの人生に音楽は必要なのだろうか。
そんなことやってる暇があったら仕事を手伝いなさい!!と言われるんじゃないだろうか。

photo:18




楽器を買う金もない子がほとんどだろう。
バイトしてエレキを、なんて夢みたいな話なんだろうな。

でも、だからこそ分かって欲しいな。





音楽ってすごいんだぜ。
それだけで世界を旅できちまうんだ。

photo:19












photo:20



校内を散歩し、子供たちと遊んでからファビオの家に戻る。


そして荷物をまとめる。
ファビオがいい奴で、俺も時間があったら子供たちにギターを教えてあげたいところだけど、今は少しでも早く先に進むぞ。



レティのママ、レティの妹、その旦那さんと娘たち、旦那さんのママと、たくさんの家族みんなにお礼を言った。

ママ、ポポスめちゃくちゃ美味しかったです!!
あの味、日本じゃなかなか食べられないだろうけど絶対忘れません。

photo:21



photo:22










ファビオの運転する車でサンミゲルへ。
荒野の中を30分も走ると街に入る。

エルサルバドルで3番目に大きなこのサンミゲルは、昼に見てもとても綺麗で新しい建物が多い。

サンサルバドルやグアテマラシティーみたいなあのカオスな雰囲気はあまりなく、ぱっと見、日本の地方都市みたいだ。

いいとこだな。ここならもう少しいてもよかった。





そのままファビオがバスターミナルまで乗せて行ってくれた。


夜のターミナルは静まり返っていたけど、昼間はすごい賑わいだ。人で溢れかえっており、周りのお店からバンバン大音量の音楽が垂れ流されている。




ひとまずここでスーパーマーケットに寄った。

ここから先はホンジュラス、ニカラグアになる。
もう通貨はドルではなくそれぞれの国のものに変わる。

ドルでももちろん買い物できるみたいだけど、そのたびにレートの悪い支払いをするのは嫌だ。

ここで少し食料を買い込んで飢えをしのぎながら進んでいこう。



エルサルバドルの物価は安い。
グアテマラより安いかな。

ファストフード店のセットメニューが2ドルとか書いてあった。
かなり安い。

スーパーではパンとポテトチップスとコーラを買う。
これで2.7ドルだ。







photo:23



お店を出てターミナルへ。
ファビオがバスを探してくれ、国境行きのバスに乗りこむ。


「フミ、これを持って行きな。楽しかったよ。歌を聞かせてくれてありがとう。」




ファビオが差し出してきたものを受け取った。
それは10ドル紙幣だった。




「何してんだ!!ファビオ!!泊めてもらってご飯を食べさせてもらって、お金を払わないといけないのは俺のほうだ!!」


「フミ、黙ってポケットに入れるんだ。たいした金額じゃない。僕は人に何かをするのが好きなんだよ。元気でやるんだ。」


そしてファビオはバスを降りて車に戻って行った。

10ドルがたいした金額じゃないって?
俺らの金銭感覚でいったら5千円くらいのもんだろう。
大金だよ。

それを昨日会ったばかりの俺に。



ファビオ、絶対忘れない。
この想い絶対忘れないから。
またいつか必ず会おう。

元気に子供たちに音楽の楽しさ、教えていてくれよな。
ありがとう。

photo:24














サンミゲルから次は国境近くの町、サンタロサリマまで30分の距離、1ドル。

そこからそのバスでさらに国境までが20分、1ドルだ。


白人やアジア人なんてもちろん皆無で、観光客らしき姿なんてこの辺りにあるわけがない。

完璧に地元の人たちのみの地域で、チキンバスも地元の人たちの足だ。

一応警戒はしてはいるが、みんなアジア人にそんなに興味もないみたいで、完璧に人々に混ざりながらバスに揺られる。


そしてあっという間にエルサルバドルとホンジュラスの国境に到着した。

photo:25










まずはエルサルバドルの出国。
村の中を歩いて行くと、古びた建物が現れる。

まるでマイナーな有料道路の料金所みたいにひなびている。


イミグレーションの窓口でパスポートを見せると一瞬でスタンプが捺される。

ちなみに各国境でスタンプの他に色んな紙を渡されるけど、それも一緒にパスポートに挟んでおいたほうがいいかな。










ゲートをくぐり、歩いて行く。
チャリンコタクシーが乗ってけーと客引きしてくるが、まぁ大変な人は乗ればいい。

いい加減バッグがヤバいなぁ………

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あとは両替のおじさんもたくさんいるが、ホンジュラスでもドルは使えるので替える必要なし。








「オラー!!ホンジュラス40ダラー!!40ダラーミグレシオン!!」



小さな男の子が近寄ってきて話しかけてきた。

ずっと横でホンジュラスは40ドルの入国税がいるんだよ、それに入国カードはスペイン語だから僕が記入してあげるから40ドル渡して!!と言っているが、そうかそうか、それは大変だね、と歩き続ける。


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少年の名前はイサク。
12歳だったかな。


もうバルセロナのユニフォーム着てるだけでなんかムカつくけどイサクに罪はない。
罪があるのはiPhoneをとった腐れメッシだ。




photo:28



国境は川になってるみたいで、カスタムの間に橋がかかっており、その上を歩いて行く。

雄大な自然、たゆたう川、泳いでる人の姿も見える。
ぬるい風に吹かれてノンビリ歩くととても気持ち良い。

ずっとイサクが横で話しかけてきてるけど。


警察もガキみたいに大喜びでトロールをいじってくるけど。

photo:29









photo:30




橋を渡り、ホンジュラスのカスタムが見えてくると、イサクも焦り出す。

なんとかしてこの日本人から少しでもお金をもらわないと!!という必死さが出ていて、これが可愛らしい。


ポケットから出してきたのはどこから手に入れたのか入国カード。住所や名前、パスポートナンバーなんかを記入する紙だ。


ホラ!!これに僕が書いてあげるから安心して!!

みたいなことを必死に言ってくるが、とりあえずイミグレーションの前で一服。

健気にずっと吸い終わるのを待ってるイサク少年。

ああ、旅っぽいなぁ。










さて、イミグレーションに向かうと最後まで着いてくるイサク。


窓口に声をかけると、横でイサクが何かスペイン語で言ってる。
さすがにここまで来ると何かめんどくせえこと言ってるかもしれないので悪いけどどっか行ってくれな、と言うとトボトボと去っていった。


イサクの言葉に従ってお金渡す人がいるのかなぁ。
頑張れイサク。でも嘘はいけないぜ。

ホンジュラスでは3ドルの入国税を払ってスタンプゲット。

さて南下2ヶ国目だ。


photo:31









後編に続く…………





あ、この前編・後編って別に引っ張るためにやってるわけじゃないですよ。

このアメーバブログって文字数制限があって、一度に投稿できる文章の長さが決まってるんです。

だから長い日は分けないといけないんです。


お手数ですがご理解ください…………






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ピストルとヒッチハイク 後編

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ホンジュラスはなかなか大きい国だけど、このエルサルバドルとニカラグアの間にはほんの少しだけかぶっているだけなので、すぐに抜けられる。



途中にチョルテカっていう町があるみたいなので、そこ乗り換えで次の国境まで行けるだろう。



って真面目に考えてるそばから、ニカラグア国境ー!!って叫んでる人がいるので楽なもんだ。

バスの客引きに聞くと、ここから次のニカラグア国境まで、ダイレクトのバンだと6ドル。
チョルテカ乗り換えのローカルバスだと、チョルテカまでが1.5ドル。
そこから国境までが1.5ドル、計3ドルってわけだ。時間は1時間。


もちろんローカルバスで行こうかい。


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すでに待機していたボロボロのバスに乗り込んだ。















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開け放たれた窓から密林の風が吹き込む。

そのジャングルの中にポツポツと見えるバラック小屋には洗濯物が干してあり、外で裸の子供が遊んでいる。


photo:16




もはやここが21世紀なのかよくわからなくなる光景が窓の外に飛び去っていく。
彼らの目には、日本の暮らしはどう映るんだろうな。

貧しさなんて、通貨というものが作り出す幻想でしかないのかもしれない。
だって彼らは自然に抱かれて生きてるんだもん。

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そんな窓の外を眺めていると、バスの集金係が国境までなら今3ドル払っといて、と言ってくるので、お、乗り換えしないでいいんだ、楽じゃんと3ドルを渡したんだけど、これがいけなかった。

チョルテカに到着してから、あそこから国境行き出てるからじゃあね、と素知らぬ顔で逃げようとしてきた 。


「おい、てめー国境までで3ドルって言ったじゃねえか?」


「え?ナンノコトデスカ?フジヤマ、ハラキリ、ギブミーチョコレート。」


そうしらばっくれながらブーンと走り去って行った。








……………いいんだよ、たった150円ぼってきただけだから。
たった150円だもん。
痛くも痒くもないよ、そんなの。

おのれチクショオオアアアアア!!!
コケにしくさったなアンニャロウ!!!



と怒り狂っていると、チーノが怒ってるぞ!!チーノチーノ!!チョンチンチュン!!アチョーアチョー!!とアホな奴らが冷やかしてくるけど、アホだからしょうがない。

仕方ないのでそこらへんのバンに国境までいくら?と聞くと、ちょっと間があいて3.5ドルと言ってくる。

完全に乗せてやがる。
わかりやしいんだよコノヤロウ!!


警察がいたので国境どうやって行けばいいですか?2ドルしかないんですと言うと、一緒にバスを探してくれた。

警察基本優しいですね。


そしてお巡りさんが見つけてくれたバスに2ドル?と聞くと、そうだよー!!ホラ!!早く荷物を積んで!!と急かされ、急いで乗り込んで走り出してから3ドルでございますると言ってくる。


あははー、もう聞き間違いとかしないもんねー、最近現地人としか話してないからスペイン語も少し慣れてるんだよねー、ドスとトレスくらい聞き分けられるわ!!なめんな!!と言うと、2ドルでいいよ、と言ってくる。


え?何その折れてあげた感じ(´・_・`)



ホンジュラス、エルサルバドルと違っていきなりボッタクリ大好きですのでご注意。

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ボッタクリ、カッコワルイ。








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30分で2ドルのバスはあっという間にホンジュラスとニカラグアの国境、ワサウラという町に到着。

その頃にはすでに太陽が背後に傾いていた。

崩壊したバッグをこれ以上引きずるとバッグの意味をなさないくらい穴が開いてしまうので、頑張って担ぎ上げた。



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馬が家の前につながれ、道で火が燃えているカオスにもほどがある道を歩きホンジュラスのカスタムへ。
ホンジュラスの出国税なし。

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ここから先はまた橋になっており、国の境となっている川の上を歩いていく。

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橋にかかっている看板が目にとまる。
あれ?なんで日の丸が記載してあるんだろう。

こんな山奥のローカルな国境で日の丸?

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橋の欄干にこんなプレートがはめられていた。

スペイン語なので読めない。
もしかしたらこの橋の建設に日本が携わったのかな。
だとしたらすごいもんだ。

日本は世界中になにかしらの支援をしているという話は少し知っていたけど、こうして実際に見てみると、日本の先進国としての勤勉ぶりが誇らしく思える。

でもここらに暮らしてる人たちはジャパニーズとチーノの違いもわかってないけどね。

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橋の上から見渡す密林と、赤く燃える山々の連なりが旅情をかきたてる。
ずいぶん遠くまで来たなぁって思える。

ふと牧水の歌が浮かぶ。



いく山河 越えさりゆけば 寂しさの
果てなむくにぞ 今日も旅する

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ニカラグア側に到着。
よく分かりづらい建物の中に入っていき、イミグレーションにやってきた。


「はい、入国税20ドルねー。」


スーパー愛想のないオッさんがテキトーにそんなことを言ってくる。
20ドルだと!?んなわけあるか!?


「本当に20ドルですか?」


「あ?20ドルったら20ドルなんだよ。払わんならどいて。」


そう言って後ろのおばさんのパスポートをチェックしだすオッさん。


すると隣の窓口で手続きしていたおじさんが俺にこっそりジェスチャーをしてきた。

指で11というふうに言っている。

そして今度は9を作り、その手を懐に入れる仕草をした。

なるほどね。
じゃあ11ドル払おうか。


いや、この警察のオッさん、今俺に20ドルだと言った手前、それを変更させたら彼の面子を潰すことになる。
国境警察を敵に回していいことなんてひとつもない。

ここは大人しく言われた通りにするか。







そして窓口にそっと11ドルを出した。


「なんだこれは?20だって言っただろう?」


「そこのおじさんが11ドルだと教えてくれました。」


「…………ふん、あと1ドルだ。12ドルでいいよ。」


12ドルで交渉成立。
あれ?ここイミグレーションですよね?
警察ですらこれ。



という感じで無事南下3ヶ月目、ニカラグアに入国!!

まぁまぁ広い国で、ここからだと北から南まで国を走破しないと抜けられない。


辺りはもう真っ暗。

普通ならバスの客引きや物売りが突進してくるところだけど、すでに人の姿はほとんどない。

ジャングルの中なので蚊がものすごい勢いで群がってくる。
周りには町はないので、今夜はもうこのあたりで野宿をかますしかないか。








「おーい、どこに行くんだー?」


その時、英語で誰かが声をかけてきた。
見てみると、それはトラックのドライバーだった。
ここは国境なので、たくさんのトラックがチェック待ちの列を作っている。


「首都のマナグアまで行きたいです。」


「おー、行くところだから乗せてってやろうかー。」



「マジですか!!イヤッホウ!!」


「そこのゲートでチェックを受けるから、ゲートの向こう側で待っててくれよー。ところでお前は奥さんはいるのか?」


「いや、奥さんじゃなくて彼女がいます。」


「ふーん、そうかー。空手は出来るのかい?」


「いや、出来ません。」


「そうかそうか、日本人でもみんなが出来るわけじゃないんだなー。ところでお前イミグレーションで20ドル取られただろ?あいつらやりすぎだよなぁ。あれ嘘だからな。ヒドイ話だよ。」


「いや、12ドルで通してくれましたよ。」


「お、本当か!やるなお前!!」



人の良さそうなおじさん。
まだ国に入ったばかりで何もわからない中、夜のヒッチハイクは結構怖いけれど、彼なら大丈夫だろう。

ただ奥さんの存在を聞いてきたことで、もしかしたらゲイかな?とふと思った。













言われた通りゲートの外まで歩き、道端で待っていると、20分くらいしておじさんのトラックがやってきた。

photo:01




巨大なトラックはゆっくりとスピードを落として道路脇に止まった。



「よーし、乗りなー。」


俺の大きな荷物を上から引き上げてくれ、トラックに乗り込む。
広いスペースで、運転席の後ろには彼のベッドがあり、ちょっとしたホテルみたいに設備が整っている。
日本のトラックもこんな感じだったな。


「荷物は後ろな。でベッドに座ってくれ。前に座るとセキュリティがうるさい時があるからな。」


そんなもんかと思いながら、外からあまり見えないように後ろのベッドに座る。





すると何やらおじさん、窓から外の誰かと話をしている。

スペイン語なので内容はわからない。

すると次の瞬間、1人の男がトラックに乗り込んできた。


え?と焦った。
緊張が体を走った。




(強盗…………)



一瞬にしてその言葉が頭に浮かんだ。

これ、マズイかもしれない。
仲間かもしれない。

こういう話どこかで聞いたことある。



ヤバいと思った時、なんとさらにもう1人、ガラの悪そうな男が上がってきて、俺の横にどさりと座った。


「彼らもマナグアに行きたいんだってさー。よし、じゃあ行こうかー。」


やっぱり降りますという言葉を躊躇しているうちに、トラックは走り出した。








photo:02




体がこわばる。

トラックはすでにジャングルの中の民家もないような暗闇の中を走っている。

対向車もほとんどない。


もしかしたら、あの20分の間にカモを捕まえたぞとおじさんが電話をかけ、この2人を呼んだのかもしれない。

今襲われたらひとたまりもない。




後ろの見えないところに座るんだ。

空手をやってるか。




あの時の質問も、全てがツジツマが合っている。
悪いイメージが頭を支配する。



大丈夫、彼らはそんな人たちじゃない。
ドライバーのおじさんもいい人じゃんか。


そう自分に言い聞かせる。

でもすぐに動けるように周りの物の位置に目を配りながら、さとられないように彼らの楽しそうな会話に愛想よく相づちを打っていた。






photo:03



大声で会話してる彼ら。
盛り上がって笑っているが、俺は何を言ってるかわからないし、緊張でそれどころではない。

これがあと3時間ほど続くのかと思うととてつもなく長く感じた。

トラックのエンジン音が低くうなりを上げる。









すると、助手席の男がみんなに何かを見せ始めた。

ライトで照らして見せると、アハハー、と他の2人が笑った。



暗くてよく見えない。

ライトにキラリと光る何か。

なんだ、あれ?





するとその助手席の男は俺にそれを向けた。


ピストルだった。


ライトにキラリと光っていたのは開いた弾倉に装填された6発の弾丸だった。

カチリと弾倉を戻す男。









全身から汗が噴き出す。

頭が痺れて後頭部を殴られたみたいな衝撃が手足まで走った。




「え、あ、あ、な、なんでそんなのも、も、ももももも、持ってるの?」


「へへへー、この辺りじゃ普通のことさ。初めて見たのかい?」


「へへへへ…………」




男はピストルをケースに入れてバッグの中にしまった。




終わった。

終わった終わった終わった終わった終わった終わった終わった終わった終わった終わった終わった終わった終わった終わった


殺される。

金もiPhoneも全部とられる。

最悪撃たれてそこらへんのジャングルに捨てられるかもしれない。

日本人旅行者行方不明の新聞の見出しが、リアルに頭に浮かぶ。

銀色の弾が体に食い込むイメージが思考を支配する。



このままさらにひと気のないところに連れていかれ、隣にピタリと座っている男に羽交い締めにされてベッドに押しつけられる。

もしかしたらゲイだということも本当で犯されて殺されるかもしれない。



暑くないのに額から汗が流れる。
手汗と足汗でビショビショになる。


それでも悟られないように、盛り上がってる彼らの話に必死の思いで愛想笑いを作るしかない。


俺には腕力なんかない。
あるのは愛想くらいだ。


なんとかしないと、なんとかしないと、なんとかしないと。



笑い声が響く和やかな車内。
でも俺は今にも吐きそうだった。
動悸が止まらず、トラックに乗り込んだ迂闊だった行動を後悔するにようやく至った。

photo:04














しばらくしてトラックがスピードを落とした。

きた!!!

ヤバイヤバイヤバイヤバイ!!!!

金だけで許してもらわないと!!なんとか命だけは!!!



トラックはゆっくりとバックし、広い駐車場の中に止まった。
どうやら道路脇のトラック用のパーキングエリアだった。


駐車場にはたくさんの人がいた。

隣に音楽を爆音で流してる店がある。

そしてウロウロと歩いている肌を露出した女たち。

そうか、彼女たちはトラックドライバーを狙った娼婦たちか。

外灯に照らされた砂利のパーキングエリアに治安の悪そうな空気が充満している。



「き、休憩するのかい?」


「今夜はここまでだ。サンホセには明日の朝に着かないといけない。ここで寝て早朝に出発さ。」


ひとまずこの閉塞感から逃れるためにトラックを降りて煙草に火をつけた。

深く吸い込んで吐き出した。

どんな状況だこれ。



「チーノ、あそこにホテルがある。8ドルさ。あそこに泊まって朝の3時にここに来て一緒に出発するか、それともこの中で寝るか?2段ベッドだからお前の寝る場所もあるぞ。」



考えるまでもない。


「わかりました。2段ベッドで寝させてください。」


「わかった。じゃあ俺はそこでシャワー浴びて飯食ってくるからテキトーに待っててくれ。」


おじさんは寝巻きに着替えてパーキングエリアの奥の建物に歩いて行った。

他に乗ってた男たちもハンモックやらなんやらを取り出して、トラックの荷台に入って行った。








深く吸い込んで吐き出す。

赤道が近づき、湿気を含んだ夜の空気が肌にまとわりつく。

今朝ファビオの家でシャワーを浴びる時間がなかったので、もう4日間、この熱帯の真夏の中を駆け抜けてきた。

新鮮な汗の臭いが体を包む。

怪しい危険な雰囲気が中米の夜を包む。


もう心はだいぶ落ち着いていた。

彼らがやる気なら、もうとっくにやっている。
逃げるチャンスを与えてくれたり、ホテルを教えてくれたり、こんなに人の多いところまで来た時点で彼らは物盗りではない。






「おー!!チーノチーノ!!チーノだぞー!!」


爆音を流しているお店から酔っ払った男たちが出てきて取り囲まれた。

何かをわめいているが敵意はなさそう。

すると男たちが娼婦たちを呼んだ。


「さぁ!!どれがいい!!くわえてくれるぞ!!チーノだって好きなんだろう!!たった8ドルだぜ!!」


「ほら!!こいつなんていいオッパイだろう!!触ってみな!!」


「アハハハハー!!」


ケバい化粧にこれでもかと言うほど体を露出した女が俺の体をいやらしくなでてくる。

それを見てニヤニヤ笑っている他の娼婦たち。

娼婦と酔っ払いに囲まれ、普段ならもう少し楽しめてもいいシチュエーションなんだけど、今はそんな気分じゃない。


お腹空いたから、と酔っ払いをなんとか振り払ってトラックの中に逃げ込んだ。











暗い中、バッグから朝買ったパンとポテトチップスを取り出した。

朝から何も食べてなかったのに、緊張で空腹も感じていなかった。

暑い車内でパンにかじりつく。





大丈夫、俺は不死身だから!!

って今まで口ぐせみたいに言ってきたけど……………






今回だけはマジで死ぬかと思ったぁ…………

ケータ君、ヒッチハイクで中米を下るって言ってたけど、Wi-Fiが手に入ったらすぐにメール送ろう。

絶対やめとけって。





蒸し暑いトラックの中、2段ベッドの上に体を横たえた。






【中米ローカルバス南下】 4日目


★サンミゲル~サンタロサリマ
1ドル 30分



★サンタロサリマ~フロンテーラ
1ドル 20分



★フロンテーラ~チョルテカ
1.5ドル 騙されて3ドル 1時間



★チョルテカ~ワサウラフロンテーラ
2ドル 30分



★フロンテーラ~6キロ先の町まで
1ドル 10分



★6キロ先の町~マナグア
5ドル 4時間


でもトラックヒッチハイクでフロンテーラからマナグアまで3ドル




小計 10ドル

合計 24.5ドル


国際バス 126ドル








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