ウラジオストクに着いたよ

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7月2日 月曜日

島影が見えてきた。
ウミネコのお出迎えに韓国人のおっさんがパンを投げて食べさせている。
ロシア人の女の子が投げたそうに横で見ているのにおっさんは楽しそうに全部投げきった。

昼すぎ、ウラジオストクの街が見えた。
うわー!ロシア?ねぇここロシア?うひょー!!と言いたいところだがショッペーとアイルランド人のウィービーしかいないのでやめる。
大人しく出入国カードを記入し、iPhoneの時計を2時間早めた。


そしてついにユーラシア大陸に足を下ろした。
あ、韓国もユーラシア大陸か。
ぞろぞろと歩き、入国審査のゲートへ。
かなりの混雑。順番もよくわからん。

ショッペー
「遠慮したらダメだよ。ガンガン行かないとドンドン抜かされるよ。」

よーし!やってやろうじゃねえか!抜かせるもんなら抜かしてみやがれ!
日本人なめんなよ!

文武
「あ、どうぞ。」

韓国人の兄ちゃん
「アー。」

韓国人の兄ちゃんのほうが先に並んでたから当然譲ったんだけど、彼もどうぞって譲ってくれた。
いい人(^_^)


そしてついにウラジオストクの街に出た。
あー!
ロシアー!
ロシア人しかいないー!!
すげー!

「Picture!」

声をかけられて振り返るとロシア人の女の子。なんだ?
片言の英語で一緒に写真を撮りたいと言っている。
は?俺?なんで?
意味がわからないまま女の子と並んで写真を撮る。
なんだこれ?
どうやら日本のことが好きみたいなのだが、出国前にみんなからさんざん脅かされまくっている俺にはこの可愛い女の子が悪魔の化身にしか見えない。
どうやって俺をはめるつもりだ!

ショッペー
「フミ!カモン!」

ショッペーに呼ばれバイバイして別れたのだが、きっとあの子は純粋にコミュニケーションしたかっただけだったんだと思う。
そう思うとふとロシアが暖かい国に感じた。もっと話したかった。ゴメンね!

photo:01





あー、すごい、あー、すごいよー。
白人さんだよー。
建物が日本と違うよー。
ベランダとかない、窓がたくさん並んでるやつ!そんなやつ!

photo:02



photo:04



誰かわからん人の胸像を撮るふりをして美人の写真を撮ったりしながら、ご飯食べられるところを探して歩き回る。
ショッペーもウィービーもちゃんとガイドブックを持っていて、その詳しい地図からカフェ・レストランを探している。
俺?
なにも持ってませんよ。

やってきたのは奥まったところにある落ち着いたカフェ。
店員さんに英語で話しかける。
しかしロシア人には英語は通じない。
まったく。
かけらも。
メニューを見たところでキリル語の表記は英語表記とまったく違うのでお手上げ。
テキトーに注文。
出てきたのはハンバーガーとポテト。
美味い!こんな美味しいハンバーガーなかなかないぞ。
しかし量は少ない。
24時間前にカップラーメンを食べただけの胃袋を満足させるにはいたらず。
値段は250ルーブル。
だいたい650円くらい。
韓国で2000円換金したんだけど、あんまりレートがよくなくて800ルーブルくらいもらえるところが、730ルーブルにしかならなかったんだよな。
なんとかこれでロシアはまかないたい。

「ごちそうさまでした!」

なんて言ってるかわからんやろうけど、笑顔を返してくれたロシア人。
極力日本語を使ってやるぞ。



ストリートでこまごましたものを売っている屋台でタバコを買おうとおばちゃんに声をかけるが、悲しいほどまったく伝わない。
シガレット、も通じない。

文武
「This one.This one.」

ロシアおばちゃん
「ピロシキピロシキマトリョーシカ!ピロシキ!」

ほんとにパニックになる………
必死に身振り手振りでやっとこさ購入。
安!安すぎる!
1箱25ルーブル。だいたい60円!
北欧のタバコめちゃ高いらしいからロシアで買い込んで行くとしよう。


さてさて、ここでショッペーとウィービーとお別れ。
彼らは自分でビザを取得してるツワモノなので、もちろんホテルも「ホステル」を予約している。ホステルとは安宿のこと。

2人と別れ、ついに見知らぬ外国で1人になった。
でもなんだか吹っ切れて心地よささえ覚える。
覚悟を決めて歩き出す!





…………迷子です。

道がわからんとです。




てかウラジオストクの街、汚ね!
ボロボロ。
ほんとに冗談抜きに宮城県みたい。
津波あったのか?ってくらいアスファルトも割れたり陥没しまくり。
建物もボロッボロ。
なので看板もろくにない。
というか文字が一切わからないので看板の意味がない。

ヤバイヤバイー!
どうしよう!
ホテルにたどりつけないー!

よし!覚悟を決めて現地人に話しかけるしかない!
怖いけど、同じ人間だもん!
よーし、あの優しそうなおばちゃんに………

文武
「ズドラーストビチェ。」

ロシアおばちゃん
「no,no,no,」

ハエを追い払うがごとく手を振られる。


…………………



日本人なめんなよ?


泣きそうになり立ち尽くす。
街の喧騒の中、1人ぼっち。
途方に暮れる。

その時、横に1台の車が止まった。

ロシアおじさん
「ヘイ」

こっち来いと手招いてる。
ホテルの名前を見せた。
多少英語の出来るおじさん。

ロシアおじさん
「OK.come.」

助手席を片付けはじめるおじさん。
これか、こいつが噂の追いはぎ野郎か!
そうかそうか、1人ぼっちの可哀想な俺に追い打ちかけるんだね。わかるよ。
その手には乗らん!と頑なに断る。
でも追いはぎ野郎もしつこく、ホテルまでけっこうあるよ、いいから乗ってきなと助手席を開ける。

いや、いいです。歩いて行きます。
いいから乗ってきな。
いや、ほんといいです。
あー、金?金なんていらんよ。プレゼントもいらんから。

もー、ほんとしつこいから乗ってしまう。
連れて行かれた先はボロボロの建物の前。
なんだこの廃墟……磯だろ?あ、いやいや、嘘だろ?

中に連れて行かれる。
エレベーターに乗せられ、おじさんが外から7階のボタンを押す。

ロシアおじさん
「Have a good trip.」

ボロいエレベーターが開くと、そこは綺麗なホテルのロビー。
追いはぎ野郎は実はただたんに本当に親切なおじさんだった。

警戒しすぎるのはよくない。
しかし不用心はもっといけない。
日本人なら危ない人とそうでない人の区別ってだいたいわかるけど、つまらない旅にしないためにも早く見極める眼力を身につけたいな。

おじさん、スパシーバ!


ドキドキのチェックインを済ませ、部屋に行く。
グラグラのドアノブ、ネジの外れたシャワー、ヒビの入った窓ガラス、シミのある壁紙。
ボロいけど、ショッペーたちが行ってるホステルよりははるかにマシなんだろうな。

photo:03



テレビをつけると、もちろんロシアの番組。
もちろん何言ってるかわかんねー。

くだらなそうな番組でニヤニヤしていたら、いきなり、爆音が響いた。

なんだなんだ!!?

びっくりして外を見たら、そこには小さいながらも花火が上がっていた。
ウラジオストクの海に弾けるささやかな花火。
あちこちから聞こえる歓声。
おいおい、地面で爆発したりしてるぞ?あっぶねーなー。

ついにここまで来た。
といってもまだまだはじめの一歩なのだが。
これから色んなことがあるんだろうな。
その日本にはない雑な花火が、ユーラシア大陸に入った俺を歓迎する祝砲にしか思えなかった。




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心配していたみんなゴメン!

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今、無事イルクーツクに着いたよ。
心配していたみんなゴメン。
とりあえず日記を更新するから足跡を見てみて下さい!



7月3日 火曜日

ゆうべふと考えた。
金はない。
ということは帰ることができないということ。
地球の反対あたりまで行って帰れないということ。
知り合いもいない。
ドンドン進んで行って、北欧に入って、金がなくなり途方に暮れたとき、俺は本当の一人ぼっちを知るだろう。
とてつもない恐怖が襲いかかってきた。
初めてこの旅の恐ろしさを感じてしまい、震えた。
合言葉の「なんとかなる」は通用するんだろうか。



目を覚ますと知らない部屋。
どこだここ?
ロシアだ。

ウラジオストクの空は雨模様。
暗い空の下、街には霧がかかっている。

ロビーに行ってWi-Fiをつないだ。
キーのついてないWi-Fiは無料なのかな。ちょっとビビりながらも接続してブログを更新した。

よっしゃーー!待ちに待った朝飯!
めちゃんこハングリー!
バイキングの朝食だー!
ゆで卵、美味しい!
ソーセージ、美味しい!
あとはなんか知らん料理!
コーヒー美味しい!
オレンジジュース最高!
パンが異常に美味い!
コーンミール美味しくない!
photo:01


でも腹が減りすぎてて逆にあんまり入らないんだよな。
とにかく食えるだけ食って、レストランを出るときこっそりパンを3つくすねた。


さて、シベリア鉄道の中はシャワーがないというのは有名な話。
3泊4日も乗りっぱなしなのにシャワーがない。
なめてんのか?
いや、旅ですからね。
我慢しますよ。
しっかり体を洗いまくってホテルを出た。


ウラジオストクはインフラ整備が行き届いていない。
というか日本がきれいすぎなのか?
未舗装の道路に雨が溜まり、サンダル履きの足は一瞬でドロドロになった。
ギターケースもドロドロに。
いいね。旅っぽくなってきたよ。


駅前に戻ってきた。たくさんの人々が歩いている。
今まで日本を回ってる時、
今日は雨だし、いっかな~、
とか、
今日はちょっと疲れてるからいいか~、
なんて歌うのをさぼることがよくあった。己に克つのはとても難しいこと。いっつも負けていたな。
そして今、ウラジオストクの駅前で俺はビビっている。
初めての海外。しかもよくわからないロシア。
果たして俺はこの駅前で歌っていいのか?
歌う?
何を?
もち日本の歌ですけど?
そんなんロシアで歌うの?
あぁ歌いますとも。
迷惑がられるよ?
かもしれませんよね………

心の中で己との格闘。怖い。
意を決して駅前の歩道に座ったものの、なかなか決心がつかず、ギターを取り出せないまま時間だけが過ぎていく。
すると、なんか汚いおばさんが横に座った。
どうやらこの歩道。コジキたちの定位置らしく、汚いおっさんとおばさんが手を差し出した状態でポツポツと立っている。
メッセージを書いた紙を手に持ってずっと座ってるおばさんもいる。あれなんだろ?

通り過ぎる人々が、コジキたちを見るのと同じ目で俺を見ていく。
おいおい、これでいいのか俺?
これでやっていくんだろ?
ビビっててどうすんだよ。
「今日はいいや」は即、死に直結だぞ?

どうにでもなれ!!!!






3間後。











ギターケースの中には数えきれない紙幣と貨幣。



音楽は……


信じられないほど偉大。


もちろん話しかけてきてくれる人々の言葉は一切わからない。

そんな困っているところに、天使が舞い降りる。

おっさん
「ピロシキピロシキマトリョーシカ。」

文武
「あー……わかんねー……」

天使
「ピロシキピロシキボルシチ。」

そこにやってきたのは英語の出来るロシア人。
しかもめちゃんこ可愛い!
音楽をやってるようで、話が盛り上がり、すっかり仲良くなった。

彼女はスヴィアタ。
モスクワから親戚に会いにウラジオストクに来てるところだという。

スヴィアタ
「フミ、 write Russia song?If you want」

マジでー!
各国でそれぞれの国の曲を覚えたいと思ってたんだけど、いきなりかよ!

スヴィアタが書いてくれた曲は、彼女の祖母がよく歌ってくれたというロシアのとてもとても古い歌。
スヴィアタが歌ってくれた。


なんて美しい曲なんだ。
日本にはないメロディ。叙情。

歌詞を書いてくれたんだが、キリル文字なんで読み方もわからない。
でもなんとしてでも、辞書で調べてでもこの曲は歌えるようになりたい。

photo:02



スヴィアタ
「ヨーロッパ回ってからまたモスクワに戻ってきて。会いたいよ。」

俺も会いたい。
旅の孤独が恋を求めているのか。
いや、先に進まなければ。

Facebookの名前を交換し、彼女は去って行った。
スヴィアタ、またどっかで。



兄ちゃん
「よし!俺んち行ってウォッカ飲もうぜ!!」

さっきからずっと聴いててくれてた兄さんがそんな感じのことを言った。
この兄さん、名前をキルユ。
英語は小学生レベル。でもロシアじゃ喋れるほう。


いやー、電車の時刻まであと2時間しかないし、
乗り遅れたらシャレにならんし。
ちょっと早めに電車に乗っておきたいんだよなー。
やっぱ初めての海外だしさー。




………………




photo:03


うっひょー!
やっぱロシアならウォッカだよねー!
さすがに家に行くと電車に間に合わんなるので2人で駅前のスーパーに入ってウォッカ購入!
路上で飲むのかと思ったらキョロキョロしていて、なかなかビン開けないキルユ。
なんとロシアでは路上でウォッカを飲んだらいけないらしい。
ビールはいいけどウォッカはダメなんだと。

キルユ
「OK、フミ、come on.」

途中、ノリで加わった兄ちゃんも一緒に、3人で駅の倉庫群へ。
そしてお巡りさんに見つからないように隠れてこっそりウォッカを開ける。

いえーい!
カンパーイ!
ウッヒョー!
ぎゃぁぁぁー!!

大騒ぎしていたらいきなり倉庫のドアが開いて中から荒くれ者っぽいおじさんが出てきたのでヤバイ怒られると思ったら俺にも飲ませろ!いえーいカンパーイ!

さらにそこに運送のトラックが入ってきたかと思うと、荷下ろしの人たちが出てきて、お?日本人かこいつ?みたいな雰囲気でもうわけわからん大盛り上がり。

トラック運ちゃんのアントニオ
「フミ!Do you like ニルバーナ!?」

文武
「レイプミー!!」

いえぇぇーーー!!!
うっひょぉおぉぉー!!!
ポニョポニョー!!

ウォッカをイッキ!
喉が焼ける!
キルユに渡されたオレンジにかぶりつく!
これがロシアンスタイル!
美味い!

photo:04




そんな意味不明な大騒ぎも、いつまでもしてるわけにはいかない。
みんなそれぞれの仕事へ。
キルユだけ俺を送りに鉄道駅へ。

けっこう複雑な駅構内。
しかしキルユが全部ロシア語で駅員さんに聞いてくれるので迷うことなくプラットホームに着いた。
ホームにはすでに電車が止まっていて、見送りの人々がそれぞれの窓に手を降っている。
ロシアは北極に近いせいかとても日が長く、22時半になってようやく夜の闇が訪れようとしていた。


文武
「キルユ! I miss you. スパシーバ!スパシーバ!」

キルユ
「フミ!ユージャポニーズフレンド!」


電車は走り出す。

シベリア鉄道の始まりだ。

22時半の夕焼け

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7月4日 水曜日

広大な原野のただ中を走り抜ける電車。
空に続く草原の地平線。
ここはシベリア鉄道の中。


それにしても、

狭い……。
狭すぎる………

photo:02



シベリア鉄道の3等寝台にはプライバシーなどかけらもない。
膝を突き合わせる近さでおばさんと娘さんが座っている。
怪訝そうな目でチラチラ見てくる娘さん。
なんかヒソヒソ話してるけど聞こえてるけどね!
聞こえてるけどわかんないけどね!

俺は二段ベッドの下段なんだけど、下段はみんなの共有ベンチとしても使うので、それぞれがベッドに戻らないと俺は横になれない。
しかも上段にのぼるはしごがないのでみんな下段のベッドを踏み台にして新体操みたいな動きで上によじ登っている。

ちなみに電車内の設備としては、

★トイレ有り(無料、臭い)
★お湯有り(無料)
★喫煙スペース有り
★シャワーなし
★洗面所なし(トイレの水道で洗え)
★電源有り
★軽食・飲み物の販売有り
★プライバシーなし
★ついでに金もなし


そんな不思議な状況の中、なんだ?このアジア人は?みたいな感じで空気のごとく誰も話しかけてこないので、俺も空気に徹していたんだけど、1人の可愛い女の子が話しかけてきてから一気に壁が決壊。みんな気になってたんだよな。

アルチョン
「フゥミ!ピー!ピー!」

パシャ
「シガリョータ!」

ぬるいビール片手に言葉の教え合いからスタート。
身振り手振りで内容を伝えて、それをノートに書いてもらう。
この身振り手振りってのがもどかしくてしょうがない。
最初に話しかけてくれた可愛い女の子、アライサに可愛いいと伝えたいのだが、
「かわいい」
ってどうやって伝えればいいんだ?
プリティとかキュートとか言ってもそのレベルの英語でさえ理解してくんない。

文武
「あーかわいいかわいいねー(^_^)」

小さい子供をなでるジェスチャーをしてみるが、子供のことを言ってると思われる。あー!もう!

しかしこのもどかしさが楽しく、周りも巻きこんでビールとウォッカ飲みまくりで、俺もすっかり慣れて上半身裸で電車の中をウロウロ。
てか1人くらいアジア人いてくれよな。



photo:03



ウラジオストクよりもさらに日が沈むのが遅くなった。
22時半の夕焼けが空を真っ赤に燃やしている。
時間の感覚が狂うな。
赤く染まる荒野を走り抜ける列車。
その中には可愛い赤ちゃんを抱いたお母さん、紅茶を飲みながら本を読んでる老人、ケータイばっかいじってる若い女の子。

人間はどこにでも行けると感じた。



photo:01



ちなみにこの写真は、写真撮るからエロい格好してよとお願いしたものではない。
目のやり場に困るよね!
アライサ、かわいい!

ロシアの歌はAm~Dm~G~Eができれば大丈夫。

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7月5日 木曜日

アルチョンは軍人だ。
なのでアメリカが大嫌い。
言葉はわからないが、俺のノートに日本の国旗を書きグッドグッドと言い、次にアメリカの国旗を書いたかと思うとグシャグシャにバッテンで潰して親指を下に向けた。

レーニンもスターリンも嫌いみたいで親指を下に向ける。
するとアライサが、やめなさい、そんなことないよレーニンもスターリンも偉大な人よ、と訂正した。


ルーブルの計算がよくわからないのでゆうべアライサに数えてもらったんだが、ウラジオストクで路上をやって稼いだ金額は518ルーブルだった。
1300円ってところだな。
うーん、微妙。
食いつなぐくらいは出来る金額だが、これからヨーロッパでフェリーや電車に乗って動くことを考えたらなんとも心もとない金額だ。
まぁ最初の路上だったからな。
0円よりはマシだ。

なので、極力節約して過ごすために今のところ一日一食でなんとか乗り切っている。
出会った人にパンやハムをもらった時は、日本から持ってきたラーメンはおあずけ。
カップラーメンを1つと袋入りのチキンラーメンとサッポロ1番を12個持ってきており、袋入りのやつはカップラーメンの容器で食べるって寸法。
てかチキンラーメンはいいんだけど、サッポロ1番は鍋で調理しないといけないよね!
アホゥだよね(^-^)/
まぁ食えんことはないだろう。
水はウラジオストクの港で1リットルのペットボトルに補給したやつをちびりちびりと飲んでいる。なくなったらお湯を飲めばいい。

いい加減腹が空きすぎて空腹が慢性的になっているので、もはやどんな状態が空腹状態なのかってのがよくわからないという面白ゾーンに突入している。
お遍路の時でもこんなのなかったなぁ。

いつ金がなくなるかわからない。
節約するに越したことはない。





それにしても………


ぅぅぅぁぁぁぁああああ暑いぃぃぃぃーーーーーーー!!!!!!!

もうほんと灼熱地獄!!!
汗が吹き出して止まらねー。
上半身裸でベッドに寝転がって、崇史から餞別でもらった扇子をパタパタパタパタ。
電車の中はうんざりムード。
みんな退屈そうだ。
あー、さすがに俺も退屈。




そんな退屈な電車なので、たまの停車駅ではみんな外に降りて体をのばす。
田舎の町ののどかな駅。
どこまでものびるレール。

photo:03



するとアライサがなにやら若者の集団を連れてきた。

アライサ
「フミ!イボンスク!」

兄ちゃん
「コンニチハ。アナタニホンゴワタシワカリマス。」

うおー!!
めちゃくちゃな日本語だけど話せるロシア人ゲット!!
大学生の兄ちゃんたちで、日本語を勉強しており、これから電車に乗るそうだ。


彼らの出現により、電車の中での俺の知名度がヤバイことになる。
日本から来てるギター弾きがいるみたいな噂が駆け巡り、色んな人がやってきて声をかけてくる。
そしてあちこちの部屋をギター片手に巡業。
おかげさまで飯にありつく。


アレクサンダー
「フミ、コノオンナノヒト、ヨンデマスカラ。」

ミーシャ
「フミ、ニホンノウタウタイマス。」

しまいには車掌さんまで加わって大合唱。みんなの手にはもちろんウォッカ。
ばちあたりもんが異常なウケをみせる。



言葉が通じなくて話せなかった鬱憤が一気に解放され、色んな話題で盛り上がった。

セルゲイ
「サハリン、ワカリマスカ?」

文武
「わかります。樺太といいます。」

セルゲイ
「ハイ、ワカリマス。ロシアノシマ。」

文武
「そうだけど、そうだけど、日本は日本のものだと思ってます。」

セルゲイ
「ハイ、ワカリマス。ソレハニホンガワルイコトイイマス。」

文武
「ロシアでは、日本が悪いと言うけど、日本ではロシアが悪いと言います。」

セルゲイ
「アーアー、ハイ。ワカリマス。デスカラ、ニホントケンカ、イヤデス。」


みんな優しい。
こんなデリケートな話、ヤバイかなと思ったけどみんな冷静で友好的だ。
他にも、ロシアには色んな民族がいるとか、ロシアの家庭料理の話とか、色んな話をしたはずなんだけどウォッカが効きすぎてあんまり覚えてない(´Д` )



列車中を動き回ったせいで、俺が乗ってる3等車がいかに貧乏人たちの車両かがわかった。
だって前のほうの2等車、

クーラーきいてんだもんーーーーーーー!!!!!!!

めちゃ綺麗だし。
乗ってる人、みんな上品そうだし。
いやー、3等車、ひどいわ。マジでサウナみたいに暑いし、臭いし。
野蛮そうな人が多いし。
女の人にはオススメできないな。



怖そうなおっさんに腕を掴まれたりしながらも、アライサが助けてくれ、なんとか自分の席に戻ってきた。
信じられんくらい暑くて臭いけど、2日間もいたらとても落ち着く空間になっている。


アライサ
「フミ、ニャムニャム。」

photo:01



そう言ってお菓子をくれるアライサ。物を食べる擬音語、日本ではモグモグだけどロシアではニャムニャムと言うみたい。
これをアライサが言うと可愛くて仕方が無い。
アルチョンもパシャも、無口なおばさんも、ウォッカで疲れた俺を周りのおっさんたちから守ってくれる。

photo:02



窓の外の風景は相変わらず牧歌的。夜の8時だというのに鮮やかな緑と白樺の幹の清冽さが、目を見張るほどに美しい。
あの草原の向こうには何があるのかな。
あの小さな村ではどんな生活が営まれているのかな。



明日の夕方、イルクーツクに着く。

バイカル湖が見えてきた

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7月6 金曜日

夜中の2時。
慌ただしい物音で目を覚ます。
アライサたちが荷物をまとめていた。
もうすぐチタの街に着く。
アライサ、アルチョン、パシャ、そして優しいおじさん、
6人部屋の中の4人がここで列車を降りる。

これだけ長い時間、狭い空間の中で寝食をともにしていると不思議な連帯意識が生まれる。
6人部屋のメンバーが家族のように、そして1つの車両が町のような雰囲気となる。
4人が降りたらまた新しい人が乗ってくる。変な人じゃなきゃいいけどなぁ………

アライサ
「ピロシキピロシキマトリョーシカ。ハラショー。(ハラショーってのは本当に言ってる)」

そう言って俺のノートに何やらメッセージを書いてくれた。
みんなに回してそれぞれが名前を書いてくれた。

アライサ、ちょっと好きだったな。
たぶん彼女も俺のこと悪くは思ってないはず。
でも別れは別れ。
みな荷物を抱えておりて行く。
俺も見送りをしようと後について行き、電車を降りた。
夜中のプラットホームにはたくさんの人々がお出迎えに来ている。


文武
「アルチョン、体に気をつけて!」

アルチョン
「フミ、ハラショー。」

文武
「パシャ!飲み過ぎ注意だよ。」

パシャ
「フミ、フレンド。イボーニャ!」

さぁ、アライサと感動的な抱擁を………





イケメンな男と抱き合ってさっさと帰って行くアライサ。



………いいもんね!別にいいもんね!!


はぁあ、寝よ。


真夜中のシベリア。
原野をこうこうと照らす月。
夜霧が川を包み、列車は走って行く。
寝静まった車内。
詩を書かずにはいられない、幻想の夜。
一編、書き終えて眠りについた。

穏やかな眠り。


のはずだったのが、このあと結構怖い出来事に見舞われた。



ベッドに何かが激しく座った衝撃で目を覚ました。
そこには、昼間俺の腕を力まかせに掴んで横に座らせた乱暴なおじさんがいた。

なにやらまくしたてている。
もう1人アジア系の顔の男もいてそいつが片言の英語を喋ってくる。
向こうでビールを飲もう、と言う。
時計を見るとまだ朝の5時。
みんな寝静まっている時間。
やべーチョー怖い。

「ノー、I want sleep 」

眠りたいからごめん、と断るが笑いながらしつこく腕を掴んでくる。
屈強なロシア人の握力には有無を言わせぬものがある。
朝の5時、乱暴で下品なロシア人とアジア人。ゲイじゃないのか?パスポートを奪われるんじゃないのか?という不吉な予感を連想させるは充分すぎるシチュエーション。

やばいどうしようどうしよう!
と思っていると、横のベッドに寝ているいつもはムスっとしている無愛想なおばさんが助けに入ってくれた。

あんたたち何時だと思ってんの?
眠りたいって言ってるでしょ!
かわいそうでしょうが!

たぶんそんなようなことを言ってくれたんだと思う。
彼らはすごすごと帰って行った。

文武
「スパシーバ。」

おばさん
「フン、パジャールスタ。」

おばさんは横になったままそう言った。
怖かった。ドキドキしてしまって目が冴える。
また来るんじゃないかと思うと緊張して眠れなかった。



朝、肩を叩かれて目を覚ますと、おばさんがパンとローストビーフとトマトを切ってご飯を作ってくれていた。温かい紅茶まで。


アライサたちが降りて空いたベッドには新しい人たちが入っている。最初からのファミリーはママだけ。何かと気にかけ、面倒をみてくれる。

無愛想だけど優しいママ。太っちょで愛らしい、お母さんって感じの雰囲気に心が安らぐ。ロシアのママはみんな料理が上手らしく、ピロシキやボルシチはお店のものではなくママが作るものが1番美味しいんだって。

やっぱり男はお母さんが大好き。


今日も色んな席の人たちにつかまってウォッカを飲んで歩く。
陽気な人、シャイな人、無愛想な人、
人間の性格なんてどこの国でも一緒。

photo:01



窓の外にはバイカル湖が見えてきた。
余裕で水平線。
そりゃそうだ。
日本の本州くらいの広さの湖だもんな。
ロシア人はみなロシアの風景、自然を愛している。
みんなが口を揃えて美しいだろ?と自慢してくる。

「ダー、ハラショー!」

と言うと何やら鮎みたいな魚の燻製を進めてきた。
イルクーツクにはオーモリという魚がいて、それが最高に美味いんだよとみんなが言っていたんだが、そう、これがオーモリ。美味い!


ウォッカを飲んだり歌を歌ったりして盛り上がっていたら、ママが呼びに来た。
もうすぐイルクーツクだから準備しなさいって。

4日間散らかした荷物をまとめ、やっとイリクーツクの駅に列車が入る。
たくさんの人が列車を降りて見送ってくれた。
手紙やチョコレートをたくさん持たせてくれる。
ロシアの軍人さんから兵隊帽子までもらった。
みんなありがとう。スパシーバって何回言ったかな。

photo:02



別れを惜しんでいると、ママがついてきなさいと言った。
人ごみの中をママについて歩く。イルクーツクは都会だ。駅は大混雑。ママは俺がはぐれないよう何度も振り返り俺がちゃんとついてきてるか確認しながら歩いてくれる。
駅前に出ると、そこにはママの息子さんらしきお兄さんがいて、なんと車でホテルまで送って行ってくれると言う。
やったー!
イルクーツクはとても危険な街らしく、この鉄道駅からホテルまで歩く2kmの間に強盗被害に遭う人が多いって話を旅行会社からもロシア人からも聞いていたので少し怖かったんだよな。

これがアンガラの川、これが1番古い教会、そんなふうに街の案内をしてもらいながらホテルに着いた。

ママ、本当にありがとう。
いつもムスっとしていたママが最後に照れ臭そうに笑った。
泣きそうになりながら車を見送った。あー、ママの作るピロシキとボルシチが食べたかった。きっともう二度と会えないんだろうな。


日本人のみんなにお願いがあります。
もし日本で外国人を見つけたら優しくしてあげて下さい。
日本語でいいから挨拶をしてあげて下さい。
1人でいたら話しかけてあげて下さい。
日本の食べ物をご馳走してあげて下さい。
少し強引でもいいからお酒に誘ってあげて下さい。
何かお礼の物をもらったらその倍はお返しして下さい。
礼儀正しくして下さい。
決して見下さず対等な目線で接して下さい。

そうすれば、相手にも、自分にもより深い慈しみが生まれ、世の中にある悲しい出来事が少しは減るはずだから。
そう願います。



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