中華人民共和国入国 前編

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7月31日 木曜日
【インド】 コルカタ
~ 【中国】 大理





飛行機はわずか1時間半ほどで降下態勢に入った。

本を読み始めてすぐだったので、インドと中国がそんなに近かったのかと驚いた。


時計を見るとまだ夜中の2時半。

時差を整えると表示が朝の5時に変わった。




時間が縮まり、夜が一気に朝になった。
つまり今日という1日を21時間と30分しか生きていないということになる。


この感覚がまったく新しいものだった。

今まで俺は常に西へ西へと移動してきた。
時差が発生するたびに時間が広がり、いつも1日を25時間、26時間も生きてきた。


西へ移動し続ける旅。
地球を一周するならば、同じ方角に向かわなければいけない。


しかし今、俺は時差という目に見えないものを通して自分が東へと向かってる事実に気づいた。

今まで広がり続けてきた時間のズレ。その帳尻を合わすように時間は2年前へと戻ろうとしていた。











飛行機は無事に滑走路に着陸し、みな降りて行く。

俺もドキドキしながら飛行機を出てターミナルの中を歩いていく。



緊張する。別にやましいことなど何もないのに手に汗がにじんで鼓動が早くなる。
相変わらず国境恐怖症は治らない。
中国という未知の国は一体どんな国境審査があるのだろう。









平静を装いながら歩いて行くと、イミグレーションカウンターが現れた。
みんなそこに並んで審査を受けている。
スタンプが捺されるバスンという音がまだ6時前の静かなターミナルに響く。

中国は入国にビザが要る。
そして俺はビザを持っていない。
インドの時のようにアライバルビザのカウンターを探す。
インドでは奥まったところに手続き場があり、そこでビザをゲットしてからイミグレーションに向かうという流れだった。



しかしいくら周りを探してみてもそれらしきカウンターは見つからない。
ビザ代とかどうすればいいんだろ?と思いながら、まぁイミグレーションで聞けばいいかなと簡単な入国カードをささっと記入して列に並んだ。




そして俺の順番が来た。

おばさん審査官にパスポートと入国カードを渡す。

ドキドキしながら質問されるのを待つ。
多分ビザはどうしたとか、出国のチケットとかを聞かれる。間違いない。



「中国はどこに行くの?」


「大理と成都に行きます。」


「…………」











バスン!!



パスポートにスタンプが捺されて、行っていいよと言われた。





え?





行って……いいの?






終わり?








1700円のビザ代は?



アウトチケットの確認は?






え?え?と戸惑いながらイミグレーションを抜ける。

え?終わり?







終わりです。

アウトチケットの確認もないです。

中国での滞在先ホテルの住所とかも聞かれないです。

ていうか証明写真を撮ってきたのに1ミリも必要ありません。

荷物のX線チェックもありません。

中国の入国、マジ余裕。



あ、一応何日滞在できますか?と聞いたら15日だと言われました。
そこは情報通り。

もしオーバーする場合は大きな街の警察署で延長できるという情報。


マジ楽勝。










photo:01



空港のデカさと豪華さにビビりながらターミナルを出ると、ひんやりとした空気が頬をなでた。


うわ、涼しい。
涼しいってなんて素晴らしいんだ。

あのインドのむせるような熱気から、一気に初秋の朝の爽やかな冷気へと変貌を遂げた。



明け方の空の白く寂しげな色がなんとも言えず胸に迫った。

しんとした静寂がまるでこの国の大地の広さを語りかけてくるよう。

ああ、ここは中国なんだ。





「コケー!!コッ!!コッコッ!!!クワーーー!!!」


その静寂を打ち破って、向こうのほうでニワトリの鳴き真似を本気でやってる変人がいた。

コッコッ!!コッ!!とかなりマジに真似している。

な、なんだあの人!!頭イカれてんのか?!と思ったらそのおじさん、すごい勢いでペッ!!と痰を吐き捨てた。

ニワトリのモノマネではなくただの痰切りでした。

そこらへんでやってます。

中国人は痰を吐きまくるというのは本当らしい。






ヤベェ中国怖えと思っていたら、今度は反対車線のほうから1人の中国人が歩いてきた。
シャツをはだけてタンクトップをさらしたジャッキーチェンの映画に悪役で出てきそうなおじさんがタバコをくわえながら俺のところにやってきた。


な、なんですか………何か文句でもあるんですか……




いきなり何かをまくしたててきた。
もちろん全部中国語。
1ミリもわからない。


ちょ、こ、怖い!!
いきなり中国人にアグレッシブに話しかけられて怖い!!




どうやらよく聞くと、タクシー、という単語が混ざっている。
なるほどタクシーの客引きか。

近くにあった昆明の街のマップを指差して、ここか?それともここか?と聞いてくる。
行きたい場所はどこかと尋ねてきているみたいだ。


その看板には中国語表記の横になんとかホールとか、トレインステーションといった英語表記も書いてある。

しかしおじさんは完璧に中国語オンリーしか喋ってこない。

空港で、外国人を相手にタクシーの客引きをしているのに、トレインステーションという英語もわからないという驚愕の事実。

そしておじさんはトレインステーションならこれだ、と自分の財布の中から100元紙幣を出して見せてきた。1700円。

ここから街までどのくらい離れているかもわからないし、中国の物価もまるでわからない。
ただアジア、インドから来た俺からすると1700円はとてつもなく高い。

中国ってそんなに物価高いのかな?という気持ちと、完全にボッてるだろという気持ちが混ぜこぜになりながら、今手持ちが50元しかありませんと言うと、OK、50元でいいよ!!と手招いた。



2秒で半額。

ぼったくり決定。




怖え……と思いながら歩いていると、バスのチケットブースを見つけた。
空港から昆明のトレインステーションまでのシャトルバスが25元、400円。
どうやらそんなに安くはないようだ。

photo:02










しかしやってきたバスを見て、その値段に納得した。

photo:03



インドだったら王族レベルが乗るようなピカピカの外装で、中はもう神の住居みたいな清潔感溢れるシート。

そして走り出しても驚きと嬉しさでアドレナリンが出まくる!!





photo:04



道路が!!!道路が綺麗!!!

みんな車線を守ってる!!!

誰もクラクションを鳴らさない!!


その全てが先進国のそれで、アジアとインドを抜けてきた身からすると快適この上ない!!

ああ!!嬉しい!!インドから解き放たれて嬉しい!!

インド人見てみろ!!クラクションはいざという時しか鳴らさないんだ!!









いや、普通なんだけどね。アスファルトに穴があいてなくて、みんな車線を守って走るなんて当たり前のことなんだけど、それがどれほど嬉しいことか。

もうこの時点で中国が好きになっているんだけど、街に入ってきてさらにドキドキがはち切れそうになる。

大きなビルが立ち並び、綺麗な歩道が伸び、ゴミがまったく落ちていない。
巨大スクリーンには美しいモデルの女性が映り、きらびやかなコマーシャルが流れている。

photo:05





興奮しながら駅前の大通りでバスを降りると、中国の匂いがブワッと漂った。

こんな文明国の整備された街並みだけれども、通りの食堂では大衆的なご飯の写真が貼られ、当たり前の小さな商店や洋服屋さんやカメラ屋さんなどの日常の光景が目に飛び込んできた。


歩いてる人たちはもちろん全員中国人。
日本人と同じ顔をした人々。


世界中を旅して、目の色や髪の色や顔の作りの違う様々な人種の地域に行ってきたが、とうとう俺と姿形の同じエリアに入った。

こここそが俺たちアジア人のホームグランド。
そのいたってシンプルな事実があまりに強烈に胸を叩く。

世界ってすげぇ。








photo:06



そんな街の中をドキドキしながら歩いていく。

大きな目抜き通りの車道にはたくさんの車とバイクが走っているんだけど、ふとあまりにも静かだなと思った。

バイクが俺の横を通り過ぎる時、エンジンの音がまったく聞こえない。

もしここで歌ったとして、反対側の歩道まで声が聞こえそうなほどに騒音がない。

そう、バイクが全て電気バイクなのだ。
まったく、まったく音がしない。

車もハイブリッドが多いのか、ほとんど音がしない。



中国は巨大な国だ。
恐ろしい数のバイクや車が走ってるはず。
環境に配慮するのが先進国の義務ならば、交通面においては中国は確実に世界トップのエコ意識を持ってる。








photo:07



昆明の駅はものすごい人ごみだった。

まず駅舎の前に大きなゲートが設置されており、1人1人全員の荷物と身体検査が行われていた。
こりゃ駅に入るだけでも時間がかかる。

なんとかゲートをくぐって中に入り切符売り場へ。

photo:08






うおおおおおお!!!!自動券売機いいいいいいい!!!!!

文明ええええええ!!!!!




なんか久しぶりすぎて操作がよくわからなくて、でもそのよくわからないのが嬉しくてポチポチやりながら大理の文字を探す。



目的地……大理ね、

時間は……30分後の次のやつね、


うんうん、なにからなにまで親切。



シートは……硬座と硬臥ってのがあるな。
多分、硬臥ってのは文字からして寝台のことだろう。
ならば硬座のほうが安いはず。


そして値段が、64元。千円。




ここで気づく。

あ、お金ない。



えーっとどこで換金できるんだろう、と駅舎の中をウロウロしてみるがどこにも換金屋がない。

そうだ、昨日ハンが言ってた。中国では換金するためには銀行に行かないといけないって。


ぬおおお………なんて不便なんだ………

アジアなら換金屋なんてそっこらじゅうにあったのに。

仕方なくまたゲートを出て銀行を探し、近くにあった銀行へ。

まだ朝早いので開店するのを待った。











ようやく8時になってオープンした銀行で窓口に行き、ドルを出してジェスチャーで換金したいと伝える。

しかし帰ってくる言葉は全て中国語。
銀行の職員というそこそこの教育を受けているであろう人なのに英語ゼロ。

ここの銀行では替えられないというような雰囲気なので、どこなら出来ますか?と頑張って伝えようとするが、中国語であしらわれるのみ。


おおお………怖え……なんにも通じねぇ………


なんとかそこらへんの人に尋ねてみるが、みんな英語がわからず、まるで話にならない。

途方に暮れて立ち尽くす。
東南アジアならば、そしてこれまで訪れた外国の国々ならば、こうして途方に暮れていると必ず誰かが声をかけてくれたもの。

どうしたの?大丈夫?って心配してくれた。


しかしここは中国。俺は彼らと同じ顔をしている。
ここは俺のホームグランド。つまり今まで外国人ということで甘やかされていたことがここではもう通じないんだということに気づいた。


マジか………

こいつはなかなかハードだぞ………



どうしようもなくて銀行を出てとぼとぼ歩く。

話しかけようにも俺は中国語は喋れないし、いきなり英語で話しかけるのがすごく失礼なことのように思えて気が引けてしまう。

同じアジア人同士で英語で話すってのはどこか違和感があるもの。


しかし尋ねないことには何もわからないんだよ。ガイドブックなんて持ってない。
今まではどの国でもだいたい何がどこにあってどうやればいいかってのは感覚でわかったものだが、この国はどうやら様子が違う。
ここは今まで訪れてきたバッグパッカーご用達の国ではないようだ。
培ってきた旅の感覚がほとんど通じない。


旅に出た最初の、あのロシアに入った時の心細さと無力さと悔しさが入り混じった感覚が胸を支配する。

まるでスタート地点に立ったかのようなこの気分はとても新鮮な感情をもたらしてくれるが、同時にすごくタフな道のりになることを表している。








それからも勇気を出して何人かに声をかけて身振り手振りで換金する場所はどこかたずねてみるが、みんな中国語なのでまったく理解できない。

別に冷たくあしらわれるというわけではない。
みんな足を止めて時間をとってくれる。
しかしお互いまったく理解し合えずに終わるということを繰り返していると話しかけるのが申し訳なくなってくる。



歩き疲れてヘトヘトと座り込んだ。

はぁ……こんなに言葉の壁で苦労したのっていつぶりだろう。



疲れがドッとのしかかってくる。

そういえばもう24時間近く寝ていないし、風邪がまだ治っていないので意識が朦朧としてくる。

ああ………どうしよう………
こんなんで中国をどうやって旅していけばいいんだよ………







うなだれながらかなり絶望的な気分になっている時に、ふと街に溢れる看板に目をやった。


当たり前に漢字で書かれている看板たち。
そりゃそうだ、ここは中国だもん。


ん?漢字?

あ、書けば分かりあえるかも………

そうだ、俺も発音は聞き取れないけど、漢字で書いてもらえばほとんど意味はわかる。

そうだ、と思いノートとペンを出してまたおじさんに尋ねてみた。





おじさんはペンをとって、ノートに文字を書いてくれた。

photo:09



そこには「中国銀行」と書かれていた。
そして通りの向こう側を指差した。

シェイシェイと言って言われたほうに歩いていくと、そこにはまさに中国銀行があった。



うおおおおお!!!!
すげぇ!!筆談すげぇ!!

こんななんてことないことがあまりにも感動的だった。

漢字って、まさに漢民族の字。

やっぱここはホームグランドなんだ。












無事ドルを30ドル換金し、184元をゲット。

そのまま駅に戻り、また身体検査を受けてゲートをくぐって自動券売機で大理までのチケットをゲット。

売店で1.5リットルの水を4元、65円と、カップラーメン5元、90円を買って電車に乗り込んだ。

photo:10












photo:11



もう目に映るもの全てが新鮮な衝撃をくれる。

中国人はタバコが好きみたいで、どこでもそこでも吸っている。
駅舎の中のトイレの中でも吸ってたし、この電車の中でも吸っている。

飲み水コーナーが充実してるかと思ったらそれ以上にどこにでも公衆のお湯の蛇口があり、みんなそこでポットや水筒にお茶を飲むためのお湯をくんでいる。
おかげでどっこでもカップラーメンを食べることができる。



そして電車に乗り込んだものの座席が満席になってしまい、仕方なく連結部分のスペースに立っていたら車掌さんが小さなプラスチックの椅子を渡してくれた。

シェイシェイと言っても、真顔で去っていく車掌さん。

photo:12





中国人たちはみはそんなに笑顔を見せない。でもそれは不必要な干渉をしない彼らの距離感だ。
iPhoneをいじっていても、バカみたいに横から覗き込んできて勝手に画面を触ってくるというインド人みたいなことはもちろんしない。

その落ち着いた雰囲気がなんだかとても心地よい。
どんどん中国の印象が良くなっていく。









photo:13



しかし今のズタボロの体で座席なしの小さなプラスチック椅子はなかなかきつくて、6時間で電車が大理に到着したころには身体中がバキバキになっていた。

腰が痛すぎる………



photo:14




満席だった電車の中の乗客のほとんどが大理で降り、ものすごい人波になってゾロゾロと駅を出ると、そこにはたくさんのホテルの客引きたちが集結しており、口々に叫んで客をつかまえようとしている。

しかし誰も俺には声をかけてこない。
みんな中国人に的を絞っている。
汚いバッグパッカーに用はねぇってとこか。

アジアならいの一番に俺に群がってきてたってのに、本当何から何まで中国は外国人をあてにしてない国だ。



photo:15



大理も想像以上に大きな街で、いくつものビルディングが立ち並び、都会的に整備されている。

本当中国はどんな小さな街でもそこそこの人口があって、そこそこ栄えている。
1000万人都市がいくつもある。





この大理は古都として知られている街。
京都みたい、という話を聞いている。
しかしどこにそんなエリアがあるかわからないし、どうやって行けばいいかもさっぱり分からない。

しかし筆談という技を覚えた今、俺はほぼ中国人。漢字なら理解できる。
いやー、これ欧米人大変だろうなぁ。

まぁ俺も今まで散々欧米諸国やアルファベットの国を周ってきて肩身の狭い思いをしてきたんだ。
英語やスペイン語やヨーロッパの言葉がわからなくてどれほど苦労したことか………

ここは欧米人にも苦労してもらおう。
世界はお前たちの言葉だけで周ってるんじゃないんだぞ。







photo:16



駅前から2元、30円のバスに乗って大理の歴史エリアを目指す。

バスは街の中を抜けて郊外へと向かい、のんびりとした風景の中を走っていく。

遠くに大きな湖が見える。
山に囲まれており、湖の周りには瓦屋根の民家が並び、懐かしさがこみ上げてくる。

少しだけ作りや色合いは違うけれど、その町の風景はもうほぼ日本と変わらないノスタルジーをたたえていた。

中国から文化が入ってきたんだもんな。いわば母国みたいなもんだ。

photo:17













バスを降りると、わずかに観光地っぽい臭いがした。

photo:18



photo:20



巨大な城壁があり、その城壁沿いに人が歩いている方へと向かって行くと、どんどん食堂や土産物屋さんが増えていく。

そして城壁の途中に壮大な楼門が現れると、そこにはまさに一大観光地の様相を呈していた。

無数に行き交う人々、賑やかな食堂、目の前にある中国の歴史映画に出てくるような壮麗な城門。

photo:19



あまりの異国っぷりに震えがくる。
久しぶりすぎる、こんな感動。

本当、旅の初心者に戻ったかのようだ。
うー、やっぱり中国はどこまでも期待を超えてくれる!!!







後編へ続く………







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中華人民共和国入国 後編

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後編スタート……





~~~~~~~~~~~~~







photo:01



興奮が止まらないところだけど、体はもうずっと悲鳴を上げている。
徹夜明けと風邪でボロボロだ。
早く荷物を降ろしてすぐにベッドにぶっ倒れたい。



この南門と呼ばれるエリアにはたくさんの安宿があるという情報。

「客桟」という看板をかけた建物がたくさん見られるがどうやらホテルという意味らしい。

ネット上に中国の情報が本当に少なくて、何年前の情報かもわからないがとにかく何軒か安宿の名前は調べている。


漢字を見せながら人にたずね、ウロウロと歩き回った。

そして見つけたのがここ、三友客桟。
んー、この古い歴史的な建物、最高だ。

photo:02



スタッフが英語が喋れて、今日久しぶりに言葉を発した。

ネット上の情報ではここのドミトリーが15元、250円とのこと。
中国も安宿はこんな値段で泊まれるみたいだ。


ああ、やっと荷物を降ろしてゆっくりできる………



「はいー、ドミトリーは1泊40元ねー。」




おい、話が違う。


660円て。ドミトリー660円て。


ニコニコしてる女の人。
ご、ごめんなさい、他もちょっと見てきますとまた荷物を担いで歩いた。







photo:03



根性で歩き回って色んな宿に飛び込んで値段を聞いてみる。

しかしどこもドミトリーはなく、シングルで60元とか70元。
千円超えてくる。

宿が千円を超えたら野宿というライトが光ります。

しかしこの未知の国でいきなり野宿は避けたい。治安は良さそうだけど、もう少し様子を見たい。


ああー!!もう疲れたー!!









くたびれ果てた顔をして路地裏に入り、また目についた宿に入って値段を聞いてみた。

しかしスタッフの兄ちゃんはまったく英語がわからない。

筆談でなんとかコミュニケーションしたいが、ドミトリーを漢字でどうやって書けばいいかわからなくて困っていると、その兄ちゃんがこっちに来なと俺を外に連れ出した。

そして路地裏の先にある別のホテルに連れてきた。



ホテルの中から背の高いたくましい男の人と可愛らしい若い女の子が出てきた。


「メイアイヘルプユー?」


やった!!若い女の子が英語が喋れる!!

安心して喋ると、照れ臭そうに笑いながらスロースロー、プリーズと言う。

うん、可愛い。

photo:08




聞いたところ、どうやらこの辺りの宿はどこもそれなりの値段がするらしく、もちろんドミトリーもなし。

ここもダメだったか………と肩を落としてシェイシェイと外に出ようとすると、たくましい男の人が何か紙に書いて渡してくれた。

どうやらここがこの町で最安値のホテルなんだそう。


どうやって行けばいいですか?と尋ねると、英語がわからなくて上手く説明できない男の人。

向こうの方、と指差している。

まぁ宿の名前もあるし人に尋ねればわかるだろうと、シェイシェイありがとうと言って宿を出た。


すると後ろからさっきの男の人が走って追いかけてきた。



「あなた日本人デスカ?」


「え!そ、そうです。」


「私日本語喋れます。宿まで案内します。荷物持ってあげます。大丈夫!」


なんとこのたくましい男の人、流暢とは言えないがかなり上手な日本語を喋った。

まさか!!中国では英語よりも日本語の方が通じるという事実。


そしてこの兄さんは俺が日本人とわかるやいなや追いかけてきてくれ、道案内をしてあげると言ってくれた。
この兄さんの名前はカンさん。


ほんのささやかな出会い。
しかし、まさかここから濃密な大理の日々が始まるとは想像もしていなかった。










photo:04




「タバコは吸いマスカ?はいどうぞ。」


自分のタバコを差し出してくれるカンさん。


「あ、大丈夫です。自分で買います。」


「はい、そこの商店で買えマス。でもこれは吸ってください。」


カンさんが差し出してくれたタバコをもらって火をつけた。
久しぶりにまともなタバコがとても美味しい。インドのタバコは本当ひどかった。

中国のタバコは安いやつで20元した。330円。
結構高いな………








カンさんと一緒に城門の中に入った。
そして声を出して驚いた。


photo:05



城門の中は完全に時代劇の中の光景で、全ての建物が古く、何百年も変わっていないであろう姿を残していた。

柳が揺れ、水路が張り巡らされた風情のある町並みがどこまでも広がっており、その真ん中に大きな楼台が現れたりするのでたまらない。

中国の観光地のクオリティの高さ、半端じゃない。



「ここは銀の産地だったので古くから栄えていまシタ。2500年前の町デス。」


2500年前て。
キリスト生まれる前て。
日本で神武天皇が即位したあたりやし。

中国の歴史やべぇ。

なのにこの大理は世界遺産じゃないそう。おそらくここレベルの遺跡なんて中国には腐る程あるんだろうな。

ここが世界遺産じゃないのに石見銀山が世界遺産という不思議。

photo:06












そんな古城の町の中にも安宿はたくさんあるみたいで、カンさんが連れて行ってくれた宿は30元のところ。500円。おそらくこれが大理の最安。春夏秋冬って宿。

しかし残念なことに人気の宿みたいでドミトリーは空いていなかった。


もう仕方ない。これ以上カンさんに迷惑をかけるわけにはいかない。






さっき最初に行った三友客桟に戻ってきた。

値段は40元だが、根性で歌えばきっとなんとかなるだろう。


「フミサン、フミさんさえ良ければウチのホテル、サービスします。タダでいいです。泊まってくだサイ。」



ちょ、な、何を言ってるんだこの人!!?

さっき会ったばっかりの俺を宿にタダで泊める!?

アジア、インドで、親切は必ず疑わないといけないという習性が染みついてしまってる今、このうますぎる話が怪しく思えて仕方がない。

何か裏があるんじゃないのか?後で有り金むしり取られるんじゃないのか?

いや、カンさんの笑顔はそんな悪人には見えない。

わ、わからん!!まだ中国に入って10時間くらいしか経ってないのに!!


どちらにしろ、いきなりヤッター!とアホヅラで泊めてもらうのは失礼すぎる。

また遊びに行きますからと、今夜は三友客桟に泊まることに。




「じゃあ良かったら今からウチに遊びに来ませんカ?みんなで遊びましょう。」



なんでこの人は、さっき会ったばかりのどこの馬の骨とも知れない日本人にこんなに優しくしてくれるんだろう。
あまりの展開に頭が着いていかない。

でもなんとなく心が温かくなってきている。

東南アジアで荒んだ大地に水がまかれていく。









荷物を置いてギターだけ持ってカンさんのホテル、角落客桟にやって来た。

photo:07



中庭に置かれたソファーではスタッフやお客さんたちが楽しそうにお喋りしていた。

緊張しながらニーハオと挨拶するとみんな笑顔でこっちに座りな!!ホラこっちこっち!!と呼んでくれる。

photo:09



お茶を出してくれ、果物やお菓子を次々と渡してくれる中国人たち。
若者たちはみんな英語が喋れるので、彼らが通訳してくれあっという間に会話が盛り上がった。



「明日俺たちバイクでツーリングに行くんだけど一緒に行こうよ!!」


「俺たちも船で湖に遊びに行くからどうだい!!?」


みんなが一瞬にしてこの迷い込んだ1人の日本人を仲のいい友達のように扱ってくれる。

ほらほら食べなさい!!とおばちゃんが中国語でブドウを差し出してくれる。




な、なんだ、なんだこれ、

ちょっと、どういう状況か整理ができない。



そんな和気あいあいとした俺たちをニコニコと見ながら、カンさんがバーベキューコンロを出してきて火をおこしだした。

photo:10





「ば、バーベキューするんですか?」


「今夜は新しい友達ができまシタ。お肉たくさん食べてくだサイ。ビールは好きですか?」



も、ちょ、もうダメ!!もう勘弁して!!

なんなの!!中国人なんなの!!?



慌てふためく俺にみんながニコニコしながら、座ってなこれが中国なんだから、と奥からコーラを出してきて勧めてくる。

可愛い犬がテクテク歩いてきて俺の足元にペタンと座り込んだ。

photo:11



photo:12












photo:13



photo:14



photo:15



久しぶりに食べたまともな肉は涙が出るほど美味しかった。

ビールをあけ、みんなでカンペー!!とボトルを打ち合わせてあおった。


ベジタリアンの国のインドではたまにチキンを食べたくらいでほとんど菜食ばかりだったし、ビールにいたってはデリーからだから10日は飲んでいなかった。


タレをハケでお肉に塗りながら焼き、薬味をつけて食べる。
その味付けの絶妙さがたまらなく親近感が湧く。

大理ビールというここの地ビールもさっぱりとした味でバーベキューに良く合う。



そしてみんなよく乾杯をする。
話が止まったり、誰かが来たりすると必ずカンペーでボトルを打ち合わせる。

そしてみんなでタバコのあげ合いをする。
俺のタバコを吸ってくれ、いや俺のを先に吸ってくれといった感じで、周りの人全員に配る。

これは習慣らしく、何をするでも自分だけがやるのではなく周りの人に勧めるのがマナーらしい。









photo:16



パーティーは盛り上がり続け、カンさんのお友達や近隣の人たちもどやどやとやってきて、中庭は人でいっぱいになった。

みんな笑顔でお喋りをし、楽しそうに笑っている。



「フミさん、良かったら何曲か歌えませんカ?」



カンさんがニコニコしながら言ってきた。
すでに40時間以上起きているし風邪で喉もボロボロ、さらに久しぶりすぎるビールでかなり酔ってしまっているが、ここで歌わなかったらギター持って旅してる意味がない。

photo:17




これまた中庭の端にステージがあり、しかもジャンベまで置いてあり、若いクールそうな女の子がやってきてジャンベを構えた。

ステージに上ると、フゥーーーー!!と歓声が上がり、みんながこちらに向き直ってすぐにライブ会場が出来上がった。



中国最初の演奏はまさかのパーティーのステージ。

そして1曲歌い終えると近隣に響き渡るような大喝采が起きた。







photo:18



それから喉が潰れて声がまったく出なくなるまで7曲ほど歌ってステージを降りると、みんなが一緒に写真撮って!!と集まってきた。


「フミさんすごい!!」


「フミさんは日本でプロのシンガーなの!?」


「すごくセクシーだったわ!!」


こんなボロボロの喉で不甲斐ない歌だったけど喜んでくれたみんな。
またすぐにビールとお肉が運ばれてくる。

そしてカンさんがやってきて例のごとくタバコを差し出してきてこう言った。



「フミさん、明日ホテルを出てウチに来てください。無料で泊まってください。みんなフミさんともっと話したいです。これはお願いデス。」


「もう……なんでこんなに………ありがとうございます……ありがとうございます………」


「フミさん、ありがとうは言わないでくだサイ。私たちは友達です。友達同士だからありがとうは必要ありません。」







な、なんなんだ………

なんなんだこれ………


まだこの状況が信じられない。

夢でも見てるのか?町の建物にしてもここは竜宮城か?




中国は反日の国で危ないから行くなって今までずっと言われてきた。

でも絶対そんなことねぇって信じ続けてきた。


何も言えない。
彼らの笑顔には嘘などカケラもない。

体の底から嬉しさがこみあげてくる。



憧れ続けた中国の旅、信じられないほど最高のスタートだ。


photo:19









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まだ心は風の中

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8月1日 金曜日
【中国】 大理





真夜中、身体中が痛くて目を覚ました。

ベッドの上、四方から両手両足を引っ張られて引きちぎられそうになってるような痛みでベッドの上でのたうちまわった。

思わずうめき声が漏れてしまう。



そして同時にお腹が痛くてトイレに向かう。
ひどい下痢で、水だけが出てきた。
またかよ………せっかく治ったと思ったのに………


フラフラと倒れそうになりながらまたドミトリーの部屋に戻りベッドに横になるが、まるで万力で締めつけられてるみたいに全身に鈍い痛みが走り続ける。

どうしようもなくてただひたすら悶えていると、また下痢が出そうになってトイレに向かう。

トイレは部屋の外にあるので、寝静まった宿の中庭を何度も何度も行き来する。


なんでだ…………もう勘弁してくれ………

もうこんな体調いやだ…………











photo:01



ろくに眠れないまま朝になり、ドミトリーの他の中国人たちが荷物をまとめて出て行ったのをぼんやりした意識で見送った。

起き上がることもできず、薄れる意識の中で早く宿を出なければと思った。


昨日のあの信じられないような中国初日の夜。
たくさんの中国人たちに迎えられみんなで語り、歌い、飲んだ。

そしてカンさんが、明日ウチのホテルに必ず来てくださいと言ってくれた。

ここまで言われて行かなかったら逆に失礼だ。

大盛り上がりで仲良くなったみんなも、待ってるからね!!と言ってくれた。

なんとしても行かないと。









photo:02



10時になってなんとか体を起こし、ふぅとひと息をついて立ち上がる。

トイレでまた水を出してから荷物をまとめてバッグをかつぐと、ズシリと重量がのしかかった。

うおお………バッグだけで足腰が砕けそうだ………
かなり弱ってるな………



レセプションでお金を払い外に出るとタイミング悪く雨が降り出し、その下を濡れながら歩いた。

キャリーバッグを引く手に力が入らない。
やばい、倒れそうだ………

下痢が漏れそうになって肛門に力を入れる。
カンさんのホテルはすぐそこなのに、とても遠く感じた。











路地裏に入ってなんとか宿に着くと、カンさんや可愛い18歳の女の子のワンちゃん、何かと気のつく働き者のスタッフのチャンさんが、中庭のソファーでくつろいでいた。

photo:03




「おー!!フミさん、よく来てくれました!!」


「ハーイフミ!!グッドモーニング!!」


「ニーハオ!!」


みんなの昔からの友達を迎えるかのような笑顔にホッとした。どうやら夢ではなかったみたいだ。

ドサリとソファーに座るとチャンさんがお茶はどれがいい?とたくさんの種類のお茶が入った箱を持ってきてくれた。

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なんだか珍しいお花とかが入ってるやつを選んで飲んでみた。
温かいお茶が優しく体に染みる。

ああ、やっぱお茶の文化っていいなぁ。

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ちなみにこの子はカンさんの子供ではないです。









「え?風邪ひいてますか?大丈夫ですか?ゆっくりしててください。今から食べ物作ってあげますから。」


料理上手のチャンさんがパパッとうどんを作ってくれ、みんなで台所でテーブルを囲む。

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トマトが入った優しい味のうどん。

その家庭的な味が嬉しくて箸を進めるのだが、あまり食欲が湧いてこず半分も食べる事が出来なかった。



「チャンさん、カンさん、ごめんなさい、本当に美味しいんですけど、どうしてもこれ以上食べられないです。」


「大丈夫です。無理はしないでください。風邪をひいていたらそんなに食べられないですから。」


そしてワンちゃんが奥の部屋に入っていき、何かを持って戻ってきた。



「フミさん、これ薬です。こっちを3錠、こっちを1錠飲んでください。」



も、もう…………なんでこんななにからなにまで………
やっぱり中国人優しすぎる。

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それから部屋に連れていってもらった。
カンさんからあてがってもらった部屋は、信じられないほど綺麗なダブルベッドの部屋だった。

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全ての家具が新しくピカピカで、液晶テレビがあり、ゴージャスなカーテンがかかっている。

洗面台もシミひとつなく、シャワーヘッドには炭のフィルターなんてオシャレなものがついているし、シャンプーもボディソープも備え付けてある。

もうただの高級ホテル。

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インドの宿はなんだったんだ。
あれ人間の寝る部屋じゃねぇよ。






うひょおおい、とはしゃぎたいところだけど体がそれどころじゃない。

せっかくのこんなゴージャスな個室だから麻美ゆまちゃんを……と言いたいところだけどやっぱり体がそれどころじゃない。

少し休みますとカンさんに言ってベッドに潜り込んだ。

清潔なシーツの肌触りがとても心地よかった。







体がおかしい。
ここ最近の下痢と体のダルさはどう考えても異常だ。

キチンと治る前に体を酷使するのでいつまで経っても治らないでいるだけなのか。
それだったらいいんだけど、ここまでひどいと他の可能性まで考えてしまう。

ガンジス川に足首だけでも入ったのがいけなかったのかな………

インドの不衛生極まりない屋台で飯を食べたのがいけなかったってのは当然なんだけど、それにしても俺の体弱いなぁ。

なんとか中国のご飯で減った体重を取り戻したいな。













夕方に目を覚まして、トイレに行き、それから中庭に降りると、雨の中でカンさんが今日もバーベキューの火を起こしていた。


「昨日たくさん作りましたから材料が余ってますからね。全部食べてくだサイ!」


「ハーイフミ!体調はどう?良くなった?」


「フミさん、バイクでツーリングに行ってきたけど雨で結構大変だっよ!!」


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みんなの輪の中に入り、彼らの嘘のない笑顔に触れると少し元気が出てきた。
薬もきいてるようだ。

みんな俺を気遣ってくれ、果物をくれたり、生姜湯を作ってくれたりする。
生姜が体を温めてくれる。

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例によって次々とタバコが差し出される。
あ、いいよいいよ!って遠慮しても、際限なく差し出される。

自分が何かを楽しむ時は周りに勧める。中国人たちの大事なマナー。











今日も美味しいバーベキューのお肉を食べ、お茶を飲みながらみんなと笑った。

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俺が中国ではFacebookとかGmailが使えないねと話すと、ウィチャットとかQQという中国国内でも使えるSNSを教えてくれた。

これならばメールのやり取りが出来る。

しかしこうしたSNSのアカウントを取る際、まず自分の電話番号にアカウントを送信してもらわないといけない。
俺のiPhoneには電話番号がない。

だから無理なんだよと話すと、そんなの簡単だよ!!と大学生のチェン君が自分の電話番号を入力してそこに登録ナンバーを送信してもらい、俺に教えてくれ、見事あっという間にQQに俺のアカウントが出来上がった。

すげー!と喜ぶ俺のiPhoneをみんながそれぞれ回して、そこにいるみんなが俺のQQフレンドになってくれた。


そして彼らから最初のメールが送られてきた。


「歓迎光臨中国!」


中国にようこそ!!という意味だった。










バーベキューもひと段落して、ソファーでくつろいでいると、お肉係りをやっていたカンさんが隣に座った。

カンさんの出身は北京の北西部、モンゴルとの国境にほど近い小さな町だそう。

何もない寂しい田舎で、冬になるとマイナス50℃近くまで冷え込むような僻地。


この辺りのことを内モンゴルと言い、現在のモンゴルのことを中国人たちは外モンゴルと呼び、毛嫌いしているんだという。
同じ民族なのに不思議ですと笑うカンさん。



「モンゴル人は昔からケンカが好きです。今も彼らは人と出会うとまず相撲をしてどちらが強いかを決めたがる。大理も昔はタイの国土の半分くらいを支配していた強い国でしたがチンギスハンに負けてなくなってしまいました。」


カンさんの故郷を地図で見せてもらうと、本当に周りに何もない取り残されたような小さな町だった。

こんな場所で、厳しい気候の中、カンさんは育ったんだな。



「中国にはふたつの有名な草原があります。そのひとつが私のふるさとです。どこまでもずーっと何もなくて草原だけです。何もないから、風が強いです。そして狼がいるからとても危ないです。でもいいところですよ。夜になると星がとても近いです。」



想像するだけで胸を締めつけるようなノスタルジックな風景が浮かぶ。


暗く立ち込めた空の下、緑の海が揺れ、風が形を表す。

寂しく、虚無で、気高い風景。


たまらなくロマンがある。
そういう寂しい孤独を見つけることこそ夢に描いてきた旅。

そんな名もなき小さな町にたどり着いたら、一体どんな気持ちが吹き抜けるだろう。






ふと行きたいという衝動に胸が震える。
この震えに従いたい。
どこまでも遠くに行ってみたい。


しかし、あまりに行き先が反対すぎる。
目指さなければいけないのは香港。
真逆だ。北を目指せば時間が足りなくなる。




今まで、この時間の制約でどれだけの場所に行くとこができなかったか。
しかしだからこそ俺はここにいて、たくさんの笑顔に囲まれている。

それでいい。選択に間違いはなかった。



でもやっぱり思う。


もうすぐ旅は終わる。

遠く見果てぬ場所を目指してどこまでも進んできた。


俺はまだ、もっと遠くへ行けるはず。

まだ、きっとこの世界のどこかに会うべき人がいる。

まだ心を日本に向けるのは早いよな。









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ツンデレとは

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8月2日 土曜日
【中国】 大理





なんて快適なんだ。

快適にもほどがある。


ノリのきいたシーツ、広すぎるベッド、クッション抜群の枕、


そして何よりちょうどいい気温。

あの灼熱のインドから一気に初秋の気温となり、この気持ちよすぎるベッドで布団にくるまって寝ることの快感があまりにも贅沢に感じられる。

エアコンもファンももちろん要らない。
アジアに入ってからろくなホテルじゃなかったので最高の寝起きだ。






とは言っても、体調はまだひどいもので、夜のうちに何度もトイレに入って下痢をした。

下痢をしていると体力を消耗してしまい、ベッドから体をおこすのも億劫なくらいに弱っている。

昨日カンさんたちからもらった薬のおかげで風邪の症状はだいぶ良くなってる。
でもまだ歌をうたうには程遠い体調。
インドの呪縛はまだ解けないままか。







photo:01



中庭に降りるとソファーでカンさんがぼんやりと宙を見つめていた。
何か考え事をしているみたいだ。


「何かありましたか?」


「あ、は、はい………お金のことデス。ホテルの経営をどうすればもっと良くなるかなと考えていマス。」



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カンさんはこのホテルの他にも古城の中に自分のお店を2軒持っている社長だ。

さらに今契約を進めているテナントもあり、いずれは他の町にも進出したいと考えているような、まさにキレモノの中国人ビジネスマン。

この角楽ホテルはまだオープンして半月ほどなのでもちろん認知度も低く、飛び込みのお客さんしか狙えない状況だ。

カンさんのことだからこれからどんどん戦略を増やしていき、軌道に乗せることができるだろう。

その戦略を考えてるところなんだろうな。


しかしカンさんが悩んでいるのはそれだけではなかった。





1年前にカンさんのお友達の弟さんがとあるトラブルにより何者かに殺されてしまったんだそう。

そのお兄さんはなんとかして犯人を捕まえたい。

しかし中国の役人というのは杜撰なもので、ろくな働きをしないんだそうだ。


そこでものを言うのがお金だ。
お金を積めば積むほど役人たちは動いてくれる。つまりお金のある人があらゆることを自由に行えるというわけだ。


警察もそう。結局はお金。

しかしそのお兄さんはお金を持っていないことでろくに捜査もされずに悲しみにくれていたんだそう。

友達の悲しみを見ていられないカンさん。

自分の貯金を全て差し出して彼のために使ったそう。

その額なんと80万元。1300万円という途方もない金額だ。

おかげで犯人は捕まり、死刑にすることができ、お兄さんの無念は晴らされた。



それから1年。
そのお友達はカンさんに1元も返してくれないんだそうだ。


「とても大きなお金です。若い頃から一生懸命貯めたお金だったんです。でも僕がいけないんです。利子も期限も決めずに貸しました。契約書もないです。本当にバカです。」



ただのお人よしだよ………
これまでも3回そんなことがあって、3回ともお金は返ってきてないんだそうだ。



「カンさん、いい人すぎますよ。お金のことはちゃんとしないと。」


「そうです。分かってるんですけど、バカなんです。また頑張って一生懸命働きます。ホテルもこれからどんどんお客さんを増やします。」




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雨がしとしと降っている中庭で2人でソファーに座ってずっと喋っていた。

色んな話をした。


中国のテレビも日本と同じように日本のことを悪く言っているという話。

でも人々は別に日本のことを大嫌いというわけではないということ。

中国の都会の人々の平均給与が月4万5千円くらいで、7万円はないと生活していけないということ。




そしてこんな話も。


俺はご飯を食べる時に、いつも最後の一口というところでお腹がいっぱいになって少し残してしまう。

お残しがいけないのはわかっているがどうしても最後の一口が食べられない。

日本にいる時、彼女にいつもそれを怒られていた。


そんな時に俺が決まって言う言葉。


「中国では満足しましたという表現のために最後の一口を残すんだよ。」


お皿のご飯を全部食べてしまったら、もてなしてくれた側に、あー彼を最大限に満足させることができなかったという気持ちを与えてしまうので、あえて少し残すことで、もうこれ以上食べられません、最高にもてなしていただきました、という意思表示をするのが中国のマナーだと聞いていた。

なのでいつもこれを持ち出して、もう食べられない!!ありがとう!!と伝えてるんだよ!と彼女に言っていた。


これをカンさんに話したら笑われてしまった。


「そんなこと全然ありまセン。ご飯を残さず食べるのが礼儀です。残してしまうと親のことを悪く思われます。」



も、もうこの言い訳が使えねぇ(´Д` )









カンさんと話しているとたくさんの人がやってくる。
ワンちゃんやチャンさんはスタッフなのでいつも顔を合わせているが、その他にもおばちゃんおじちゃん、兄ちゃん姉ちゃん、とにかく色んな人がホテルを出入りしている。
宿泊客というわけでもなさそう。

きっとカンさんの友人や近隣の仲のいい人たちなんだろうけど、それを見ているとカンさんが地域の人たちと良い関係であることがよくわかる。

お金に頓着のないカンさんはビジネスマンとして不合格なのかもしれないけど、人との繋がりを大事にする優しい人だからこそこうしてたくさんのお店を成功させているんだろうな。





「フミさんはこの旅でどんな気持ちを得ることができましたカ?」


「んー、人間はみんな一緒だということを知りました。そしてみんな優しいです。たくさんの人に助けてもらいました。だから僕も多分人に優しくなれると思います。」


「それは心の食料デスね。」


「ん?心の食料?」


「中国でよく言う言葉です。口で食べる食料じゃなくて、心が食べる食料です。それで心が豊かになるのです。」


うん、やっぱりここでも人間は一緒だな。








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おばちゃんが作ってくれたご飯をみんなでテーブルを囲んで食べた。

大皿に盛られた料理をみんなでつつきながら食べる。

もうこれが涙が出るほど美味かった。

photo:05



豚骨を煮込んださっぱりとしたスープの優しい味!!

薄味で全身を包んでくれるような暖かさだ。

全ての料理が今まで中華料理屋さんで見てきた馴染みのあるもの。
しかしそれをこんな家庭料理として食べることができるなんて。

ホチュ!!ホチュ!!美味しい美味しい!!とご飯をかきこむ。
みんなニコニコともっと食べて、とお皿を近づけてくる。



テーブルを囲んでみんなでお箸を使って大皿をつつく。
温かいお茶があって、椅子の横の保温ポットにはいつもお湯がキープしてある。

懐かしいこの風景。
しかしほんの少し違うのはここが中国だから。

その違いが嬉しい。
違いが大きければ大きいほど、みんな一緒だと思える瞬間の喜びは小さくなる。
反比例だ。

中国と日本の違いはそんなにない。

なので違いが小さい分、彼らと分かり合えた時の喜びはとても大きい。



中国は反日の国、という固定観念は日本人ならば拭うことはできない。

おそらく中国人も、テレビで日本の悪いイメージを刷り込まれているだろうから、日本のことを良く思ってはいないはず。

でも個人レベルの付き合いになった時に、そんな歴史や政治的な関係を持ち出してくるようなことなんてまずない。

みんな同じ人間。
そして中国人の優しさは半端じゃない。

もう地球上の優しい国民っていったら、トルコ人か中国人だよ。


もうすっかり固定観念は消え去っている。
美味しいご飯に体に力が湧いてくる。

明日になったらきっと歌えるぞ。












まだ体はダルくて、トイレにも1時間おきに行かないといけないくらいの下痢だけど、雨も止んだことだし少しリハビリもかねて散歩に行くことに。

まだゆっくりと見ていなかった古城の中を回ってみた。




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空にそびえるいかにも中国といった唐風の楼門をくぐって中に入ると、そこには完全に時代が止まってしまった町並みが広がっている。

瓦屋根に土壁、白漆喰といった日本でも城下町のなどでよく見られる伝統的な家屋がどこまでも連なり、その向こうにまた大きな楼門が見える。

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たくさんの水路が張り巡らされており、緑の柳が細い路地に並んでいる明媚な光景は日本人として懐かしさを覚えずにはいられない。

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そんな美しい町なので、まぁとにかく観光客が多い。
うっじゃうじゃ。
どの道にも埋めつくように人がひしめいている。

家族連れもカップルも老夫婦もあらゆる観光客がいるんだけど、外国人はほぼ見かけない。

京都よりも少ない。

わずかに欧米人がいるだけで、日本人観光客の姿は皆無。

んー、もったいない。なんでみんな中国来ないんだろうな。

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photo:18





人波にもまれながら歩いていると、路上にたくさんの露店が出ているのを見かける。

中国的な土産物から写真、似顔絵、食べ物、本当に様々なものが売られている。


そんな中で目立ったのは、お花だ。

なにやらそこらじゅうでバラの一輪挿しやブーケ、花冠などが売られている。

そして歩いている女の人みんながそのお花を持っている。




さっきカンさんから聞いたけど、どうやら今日は中国暦の七夕にあたる日で、バレンタインデーにもなっているそう。

恋人たちがイチャイチャする日ってわけだ。

このお花もプレゼントとして送られるんだな。


俺も一輪挿しを買った。5元、85円。

photo:19













宿に戻るとみんながご飯の支度をしていた。

カンさんはソファーに座ってお仕事のお話をしている。


キッチンに行って英語が少し喋れる紅一点のワンちゃんに中国語を教えてもらった。



可愛い
可愛
クアィ


美しい
美人
ピャオリャ


美味しい
美味
ホチュゥ


はい
チュエティ


いいえ
プー


いいね
ハオ


ハウマッチ
トゥオシャチェン


電車の駅
ホォァチュオジャ


バスステーション
チーチュオジャ


アイライク
ゥオォシィイフワン


お金
チエン


お金がありません
ウォーメイヨーチエン


盗人
シャオトウ
ツェイ


女の恋人
ヌュゥエポウヨウ


ボーイフレンド
ナーポウヨウ


私は恋人がいます
ウォーヨーヌュゥエポウヨウ


私の名前は金丸文武です
ウォーダミンツシュチンワンウェンウー


くそ!!
ツァッ!!


シンガー歌手
ダンシュン


大酒飲み
ハイリャン


どういたしまして
ブゥクゥチ




思いつく限りに色々と教えてもらった。
こうしてカタカナで書いてはいるが、中国語ってやつはそんなに単純なものではなく、とても書き表せるような発音ではないし、語尾が上がったり下がったりして意味がまったく変わってくるのでこのまま読んだとしてもまず伝わらない。

でもまずは第一歩だ。
この愛すべき中国の言葉を覚えたら、きっともっと中国の人と距離が縮まるし、もっとこの国のことが好きになれるはず。


「ワンちゃん、プリティーってなんて言うの?」


「こうやって言うの。クアィ!!」


「ちょ、待って!!何そのポーズ!!可愛いすぎる!!もう一回やって!!」


「えー、もう一回ね!」



手に持っていたペットボトルをテーブルに置いて、全力で可愛いのポーズをやってくれるワンちゃん。

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「クアィ!!」



不覚。

不覚にもキュンとしてしまった。


ワンちゃんにさっき買ったバラの一輪挿しを上げると、弾けるような笑顔でシェイシェイ!!と喜んでくれた。












みんなで美味しすぎるヌードルを食べているとカンさんが嬉しそうに話してきた。


「今日の夜、私の彼女が来ます。昆明から来てくれます。なので今夜はみんなで飲みに行きましょう。」


あ、やっぱりこの愛に溢れた青年実業家をほっとく女の人なんていないか。


背が高くてハンサムでオシャレで優しくてめちゃくちゃ仕事のできる社長であるカンさんの彼女っていったらどんな女の人なんだろうな。

きっと清楚な美人で、カンさんを影から支える内助の功を地でいくような優しい女性なんだろうな。



「あ、フミさん、彼女が来ました。」


20時くらいになってスーツケースを転がしながらやってきた彼女さんは…………



うん、可愛いらしいお嬢さん。



なのだが、顔に気の強い性格がバシバシ表れている。


着いた瞬間からカンさんに冷たい口調で何かをまくしたてており、カンさんは早速なだめることからスタート。

でもニコニコしながら彼女の荷物を部屋に運んであげている。



「カンさん、か、彼女さん怒ってるの……?」


「うーん、僕が何もプレゼントを用意してなかったから不機嫌です。でもいつものことです。」


「春巻餃子万里長城!!!」


カンさんと俺が日本語で話していると、わからないわ!!と言った感じで怒る彼女。


そしてめちゃ怒った顔をしながらカンさんの首にしがみついている。


ツ、ツンデレ(´Д` )


嬉しそうなカンさん。


なんかイメージ通りの気の強い中国人女性。
そしてカンさんが中国の女の人と付き合うのは大変ですと言ってた意味がわかったな。










彼女さんもやってきてみんなで古城に出かけた。

photo:21



photo:22



夜の古城内は、人でごった返していた昼間よりもさらにものすごい人出となり、こうこうと明かりが灯ってどのお店も活気に溢れて大盛り上がりだった。


路上で物を売るお婆ちゃんお爺ちゃんや、写真を撮らせてお金をもらう銅像パフォーマンスもかなり多い。

孫悟空や猪八戒のコスプレをした人、少数民族の白族の民族衣装を来た人々もいたりして、夜空にそびえるライトアップされた楼台の怪しさとあいまってまさに一大テーマパークのような浮かれっぷりだ。


誰もが明かりに照らされながら笑っていた。







カンさんはそんな大混雑の古城内にジャンベ屋さんを2軒持っており、どちらも大繁盛していた。

珍しいものが大好きな中国人。
みんな楽しそうにジャンベを叩いており、大撮影会となっている。


あ、ここでコロンビアのメデジンのカオリさんを発見しました!!

カオリさんこんなとこでなにやってるんですか!?

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カオリさん、お元気でいますか?









彼女さんたちがスタッフのみんなと話してるときにカンさんがこっそり声をかけてくる。


「ヒソヒソ……フミさん、プレゼントって何を買えばいいですか、ヒソヒソ……」


「ええ……わかんないですよ……ヒソヒソ」


「僕もわからないです……何がいいんだろう……」



そしてカンさんは外に出て行くと、路上で売っていたバレンタインデーのお花を買ってきた。

俺と同じ一輪挿しなんかではなく、大きなバラの花束のブーケ。

photo:24



それを照れくさそうに彼女に渡そうとするカンさん。

ヒュー!と周りのスタッフたちが盛り上げる。

こりゃ喜ぶだろうなぁと思ったら、彼女は怒った顔でソッポを向いてブーケを押しのけた。

いくら渡そうとしても背中を向けてカンさんの手を振りほどき、とうとうあっちへ行ってしまった。

ブーケを持ったまま苦笑いしてるカンさん。


彼女怖えぇ(´Д` )

photo:25











それから太鼓屋さんのスタッフたちも引き連れてみんなで飲みにバーへ向かった。

photo:26



古城の中で夜に1番の盛り上がりを見せるのが人民路という通りで、いくつものオシャレなバーやレストランが並んでおり、たくさんの人で溢れかえっている。

中国は中国人相手の商売で充分成り立つので、外国人相手の商売というのはほとんど見かけない。
換金屋さんがどこにもないというのがいい例。



そんな外国人に媚びない姿勢の中国だけど、この人民路には欧米人が集まるバーがあった。

欧米人だらけで、そこに混じっているイケてる中国人の若者もみんな英語を喋っていた。
日本にもたまーにこういう場所ってあるよな。


バーに向かう途中でソフトクリーム屋さんがあったので、カンさんが全員分のソフトクリームを買ってくれたんだけど、彼女に差し出すと、今そういう気分じゃないし、みたいな感じでソフトクリームを受け取らない。

両手にソフトクリームを持っているカンさん。
仕方なく通りの土産物屋さんのおじちゃんにソフトクリームをあげると、おじちゃんがニコニコして喜んでいた。


彼女の扱い大変すぎる………







photo:27



photo:28



そんなこんなでこの夜はみんなでオシャレなバーに行き、ヒマワリの種を食べながらチンチロリンみたいなゲームで盛り上がった。

ふと見るとカンさんの手をずっと握っている彼女。




いやー、これぞまさにツンデレだな。








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中国で初路上

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8月3日 日曜日
【中国】 大理





金丸家では日曜日のお昼は家族揃って外食をします。

定例行事です。


美々津の田舎から日向の町へ出て行き、スーパーでお買い物したりしてから食べに行きます。

子供ながらにやっぱり日曜日の外食はとても楽しみなものでワクワクします。


選択肢は3つです。



天領うどん、
五椀堂、
寿飯店、





全部マジで美味いです。
誰にでも故郷の馴染みの味があると思いますが、日向市民にとってはこの3つは外せない場所です。


天領うどんとか400円とかで食べられるので、親からしたら安上がりな外食でしたね。

子供の頃から現在でもめちゃめちゃ行っているので、店員さんはみんな顔見知りで、僕の成長を見守ってくれています。

日本に帰ったら食べに行って、今世界一周から帰ってきたんだよって報告したいと思います。




五椀堂はあんかけ焼きそばのお店です。大盛りを食べてました。
海鮮のまろやかなスープと紅ショウガの相性が抜群で最後にスープも飲み干してしまいます。

いつも奥の座敷で食べていました。






そして最後が寿飯店です。

ここは中華料理店で、とにかく坦々麺が美味しすぎます。
ただスタッフの中国人のおばちゃんが怖すぎて、いつも新人の子を怒鳴りちらかすので見てられないです。

坦々麺はもう安定の美味さなんですが、他の料理も全部美味しいです。

麻婆豆腐もチンジャオロースもホイコーローもヤバイです。
いやー、中華料理っていいですよね。






んで、今僕中国の食堂にいます。

当たり前ですけど、みんな中華料理を食べています。


日常のご飯なんですよ。中華料理が。

またまたぁって思うかもしれないですが、彼らは中華料理を毎日食べています。


んで、今食堂でメニューがわからないから、とりあえずチャオファン!チャオファン!と言いました。
炒飯なら間違いないと思ったので。


しかし僕の発音が悪くて炒飯すらなかなか伝わりません。
同じ漢字なのに読み方がまったく違います。なので会話レベルではもう1ミリもわかりせん。

しかし今日はおじさんの言葉の中に聞き取れる言葉がありました。



「ブルースリージャッキーチェンホイコーロージェットリーマジツエエ。」



ん?い、今ホイコーローって言わなかったか………


試しにホイコーロー!と親指を立てたらホイコーロー出てきました。

photo:01



これが本場のホイコーローです。
ご飯の上に具材が乗ってるのではなく、米と一緒に炒めてありました。

日本に帰ったら寿飯店の怖いおばちゃんにこの話をしたいと思います。




ああああああああああああああああああああああああああああああああブルースリー強ええええええ!!!!!!と絶叫するほど美味しかったです。


たったの10元。170円。スープ付き。







関係ないけど中国人ってご飯食べるときクチャクチャ音を立てます。


ニッチャクッチャペッチャニッチャ


可愛い女の子でもエグい音を立ててご飯を味わっています。

その後で、コアアアアアアアアアアア!!!とパワーをためる時みたいな声を出して地面に痰を吐きます。


文化の違いですね。













そんな文化の違う中国、最初の路上演奏です。

photo:02




ぎょ、餃子投げつけられたらどうしよう!!



ていうかリアルに怖いです。

いくらカンさんやほとんどの中国人が優しいとは言っても、さすがにいくらかは日本のことを大嫌いな人もいるだろう。

中国人が日本で歌って稼いでいたら石投げる日本人って多分いる。

バーカとか言う人、いるだろうなぁ。

俺がここで歌うことはそういうことなんだよなぁ。


でもやる。
やらんと何もわからん。

中国と日本の間には深い溝があるし、メディアから擦りこまれた対抗意識はどうやっても取れん。

でもビビってたら何もわからん。
俺はすでに中国のことが大好き。
もっとこの国のことを知るぞ。


古城のど真ん中、メインストリートの中心にある1番人が集まる楼台の足元でドキドキしながらギターを鳴らした。

photo:03




ていうか中国人、日傘さしすぎ。

photo:04











うん、分かってた。

こうなること分かってた。


餃子投げつけられたりしないって分かってた。





お金が紙吹雪のように舞った。

ものすごい人だかりが出来て、拍手と歓声が起きて、たくさんの人がお金を置きながらアリガトウって言ってくれた。

みんな笑顔で、何か文句を言ってくる人なんて誰もいない。
たまに英語を喋れる若者がやってきて、観衆のみんなに通訳してくれる。

今朝、ワンちゃんに教えてもらいながら書いた中国用の看板も大活躍。

photo:05





やっぱり、やっぱり人間はみんな一緒だし、中国人だからといって違いはない。
むしろ同じ東アジア人同士の親近感すら感じてくれているように思える。
とにかく優しい。

分かってたよ。
中国人だからって怖がることないって。









とにかく大盛り上がりでえらいことになったんだけど、いきなり地元の銅像パフォーマーがやってきて何も言わずに俺の真横に立って仕事を始めてくれたのでお客さんの奪い合いになり仕方なくギターをしまった。

photo:06




まぁまだ初日だから地元パフォーマーの定位置がわからん。ここは邪魔しないようにやらないとな。






「ヘーイ!グレイトだよ!!中国は他にどこに行った?」


そこに話しかけてきたのは、向こうのほうでずっと歌を聴いてくれていたカップル。

2人とも英語が喋れる上に美男美女というイカした夫婦だった。


「え?!大理が中国最初の町なのかい?あ、まずどこかにご飯食べに行こう。おもてなしさせてもらうよ!!」


も、もうなんなんだ中国人………


ちょうど場所を変えるところだったのでお言葉に甘えて3人で少しお話がてらお店に行くことに。







そして連れてきてくれたのは、人民路の路地裏にある日本の居酒屋さん。
あまり日本人観光客の来ない大理にもこんなお店があるんだな。


「あ、いらっしゃいませ。ご旅行ですか?どうぞどうぞ座ってください。」


ご主人がまた流暢な日本語を喋る優しい方で、日本に長く住んでいたこともあって、お店には日本から仕入れている食材がたくさんあった。


「好きなもの食べてね。あ、飲み物は梅酒でいい?」



photo:07



中国のちょうど真ん中あたりにある武漢という街から来ているというチャンさんと奥さん。

俺が成都の後に武漢に行こうかと思ってたんだよと言うと色んなことを教えてくれた。



「武漢がある県は三国志の故郷でね、三国志の歴史の70%がこの県にあるんだ。黄山も近くてとても素晴らしいところなんだよ。」



うう……また面白そうな場所………
中国、見所が多すぎて的が絞れない!!

成都から香港までどういうルートで行こうかなぁ。



photo:08



たくさんの小皿料理、そして美味しい梅酒のおかげでほろ酔いになりながらたくさん話していたらいつの間にか2時間も経っていた。

いかんいかんとお会計を聞くと、もう支払っているという。



「フミさん、お金の話はしないでください。いい歌を聴かせてもらいましたからね。」


まだ何日か大理にいるので、歌ってるところ探しますねと言う2人と分かれて俺は路上へと向かった。

チャンさん、奥さん、ありがとうございました。











photo:09



実は昨日、カンさんたちと夜の人民路を歩いている時に日本人の男性と会った。

その方は路上に屋台を出しており、物を売りながらすでに大理に1年住んでらっしゃる方だった。

中国自体には3年以上住んでおり中国語もペラペラ。そして大理に基盤を作ってこの年末あたりにお店をオープンさせるとのことだった。


世界中どこにでも日本人はいるものだけど、大理にはわずか10人ほどしか住んでいないらしく、その中の数人が路上で絵を描いたり、音楽を演奏したりしてお金を稼いでいるパフォーマーなんだそう。


日本人のパフォーマーがこの大理に住んでるんだなぁと嬉しくなるが、このお兄さんさんから結構気になる情報を聞いた。

大理でのパフォーマンスには十分気をつけて下さい、とのこと。


なにやらこの大理の古城内は全面的に路上でお金を発生させる行為が禁止されているとのこと。

つまり路上演奏ダメ。



はい、終わり。




お兄さんも最初知らずにメインストリートで屋台を出していたら警備員に捕まって商品を没収されてしまったという。

しかしお兄さんが言うには、別に外国人だからというわけではなく、同じ中国人でも禁止されていることだし、警備員に隠れてこっそり物売りをしている若者たちもたくさんいるとのこと。



大理はヒッピーが集まるような町であり、中国人にもヒッピーはたくさんいる。
そんなヒッピーたちが自作のアクセサリーなどを路上で販売して旅費を稼ぎながら旅をしている。

そんな彼らはなんとか警備員に見つからないように神出鬼没に商品を持って歩いている。


こればっかりは運で、どこでやっても注意されない時もあるし、注意で済む時もあるし、下手をしたら物を没収、かなりでかい罰金、最悪強制送還になるって具合だそう。


そいつはヤバイ。


お兄さんが言うには、古城の中でも1番の盛り場である人民路だけがこうした路上営業を解放している通りらしく、ここならおそらく大丈夫とのこと。

なるほど。



でも実際のところはやってみないとわからない。

さすがに一発罰金とか一発強制送還にはならないだろう。






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試してみるために、町の人が集まる色んな場所で演奏してみた。


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すぐに人だかりか出来てお金が入る。
そしてみんな上品だ。
キチンとある程度のスペースを保って聴いてくれて、インド人みたいに歌ってる俺の顔の真横でガン見してきたりしない。




そんな感じで3ヶ所でやってみて、その結果は、








うん、警備員に止められる。

そしてみんながみんな口を揃えて、人民路に行けと言う。

ここまで言うということは人民路は完全に許可された通りなんだろうな。











というわけで夜の人民路にやって来てみるともうすごい。

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そりゃこの通りしか路上販売が許可されていないだけあって、ものすごい数の露店が隙間なくひしめいており、まともに歩くこともできないほどの大混雑。


アクセサリー売りやヘナタトゥー、髪の編み込み、絵描き、その他にも様々なアイデアを凝らした物が売られており、ヒッピー風の若者が多い。

もちろん音楽のパフォーマーもたくさんいて、ギターの弾き語りをやってるやつらがそこらじゅうでマイクとスピーカーを使って中国の歌を熱唱している。

この夜の人民路はまさに若者たちのアートストリートと言った雰囲気だ。

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自由なこの空気はとても楽しいが、なんせみんながこの人民路に閉じ込められているので本当にやる場所がない。

かろうじてかなり遠くまで離れたところにやれそうなスペースがあったのでギターを置いてみると、後ろのお店のスタッフが出てきて、ここでやるならお店に50元、850円払わないとダメよと言ってきた。

50元は高え………



人民路は路上営業の大激戦区。
そうやすやすとは潜り込めそうにないな。

こりゃ大理の路上は厳しそうだなと思いながら、最後にメインストリートでもう少しだけ歌って宿に戻った。

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「フミさん!どうでしたか?稼げましたか?」


「フミー!稼げたー?!」


宿に戻ると、中庭のソファーでビールを飲んでいたみんなが興味津々で路上の出来を聞いてきた。

自慢げにバッグの中からあがりの袋を取り出すと、オー!!とみんなが驚いた。

あまりの紙幣の枚数にパンパンになっていた袋から、お金をテーブルに出した。

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そしてみんなでワイワイ言いながらお勘定。

さすがにみんな手際がいい。

中国人にお金を数えてもらうことの信頼感がスゴイ^_^





ドキドキの中国初日の路上のあがりは…………






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586元。換算すると9800円!!





すげえええええええええ!!!!!


実質の演奏時間は3時間ってところ。
久しぶりにこんなに稼げた!!!

こりゃ場所さえ見つけてキチンと歌えたらかなりいきそうだぞ。



「フミさん、警察のことは心配いりません。私は大理の役人とか色んな人のこと知ってます。フミさんのこと守れます。フミさんの好きなところでやってください。ハイ、ビール飲みましょう!!」



カンさんが渡してくれた大理ビールでみんなとカンペー。

もうすっかりみんな友達であり、仲間になっている。
俺もタバコを吸う時に、自然とみんなにタバコを配っている。






人が優しい、文化が面白い、見所が多い、飯が美味い、治安がいい。
それに加えて路上が稼げるときた。


ここまで全てを兼ね備えてる国が今までにあったか?

もうヤバイ。どんどんハマってる。


今俺は声を大にして言える。
批判を恐れずに言える。


中国に行かない世界一周はあり得ない。

異文化を味わうことこそ海外旅行の醍醐味。
こんなに面白すぎる国はそうそうない。




最高だ。

旅が面白い。

それを思い出させてくれた中国。

最高だ。








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