オーストラリア到着

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3月27日 木曜日
【オーストラリア】 シドニー






機内のモニターが飛行機がどこを飛んでいるのか表示している。

ニュージーランドの上を通過し、オーストラリア大陸にさしかかった。




世界には6つの大陸があると言われている。

ユーラシア、アフリカ、北米、南米、オーストラリア、そして南極。


大陸か島かという基準はオーストラリアよりも大きいかどうかで決まるとどこかで聞いたことがある。


これでついに5大陸目だ。






飛行機はガタガタと揺れながら高度を下げ、滑走路に着陸した。

一気に緊張が高まる。

俺はオーストラリアに入れるのか。





オーストラリアといえばアメリカやカナダと同じような先進国。

出国チケットを持っているか、滞在に必要なお金を持っているか。

まず間違いなく確認される。

俺はどちらも持っていない。お金なんて200ドルくらいしかない。


でも電子ビザのイータスは取得している。


どうなんだろう。入れるのか………
入国拒否なんてシャレにならんぞ。








ドキドキしながら飛行機を降りて建物の中へ。
通路を進んでいくと、いきなり入国のイミグレーションカウンターが現れた。

ちょ、ちょっと待って!!
まだ心の準備が!!!




ゲロ吐きそうになりながら外国人用の通路に並ばされる。

手に持っているのはパスポートと飛行機の中で渡された入国カード。

まぁどこにでもある内容を記入するだけなんだけど、税関のチェック項目は少し多い。



食品は持ってるか、植物は持ってるか、種子を持ってるか、

30日以内に農場に行ったか、動物と触れ合ったか、大自然の中に行ったか、


などなど。


もちろん全部NOにチェックするだけど、最後の項目が、



6日以内にアフリカや南米にいたか、というもの。



Yesでしかねぇ。




まぁでもこれがダメならこの飛行機に乗ってきた人全員ダメなので大丈夫だろ。

あとチェック項目の中に、250本を超えるタバコを持ってきてないか、というものがあった。
じゃあ250本以下は持ってきていいんじゃねぇか!!!
オーストラリアのタバコ死ぬほど高いって話なのに!!アルゼンチンで1ドルのタバコしこたま買い込んでくればよかった!!!(´Д` )





とまぁそんな入国カードを手汗で濡らしながら爽やかアジアンボーイの表情で列を進む。

そしてついに俺の順番に。

ゲロ吐きそう!!





「お、お、お、オラー、じゃなかった、ハロー。」



「…………」



チラリとこちらを見るだけで何も言わない審査官のお姉さん。

パスポートをパラパラめくっている。


「6日以内に南米のどこにいたの?」


「アルゼンチンです。」


「…………」












バスン!!





はい、イミグレーション終わり。

え、あれ?出国チケット持ってるかとか聞かないの?金はいくら持ってるのかとか、早漏なのかとか。



マジ2秒。





で、でもここからだ!!
オーストラリアは税関が厳しいとの話。


荷物を全部ひっくり返されて全てくまなくチェックされるはず。
テントとか、テントについた砂とかまで厳しく追及されるみたい。

俺はそんな突っ込まれるものは持っていないはずだけど、知らないうちに変なものが混入していないといいけど………





ベルトコンベアーで荷物をピックアップし、通路を進むとチェックポイントに到着。
俺のパスポートと入国カードをしげしげと見つめる女の人。
トロールをチラリと見る。

やべ!!その汚くて気持ち悪い人形はなんだコノヤロウ!!とか言われる!!



「6番通路を進みなさい。」



目の前には1から6までの入り口が待ち構えている。

地獄の入り口じゃねぇだろうな……とドキドキしながら6番に入る。


歩きながら見ていると、他の入り口に入った人たちは厳重な荷物チェックカウンターへと続いている。

6番てゴミ回収ゲートじゃねぇのか!?
1番厳しいところじゃないのか!!??











通路を進んでいくと空港のロビーに出た。


え?あ、あれ?

ま、間違った?


近くの職員さんに6番の鬼殺しチェックカウンターはどこですか?と尋ねる。


「6番?チェックなしだよ。じゃ、バイバイ。」


ポカーンとロビーに立つ。

え?終わり?



そう終わりです。

オーストラリア入国完了。














photo:01



勝利の葉巻。

クソまずい。







やったああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!

片道入国もぎとったぞおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!







えーっと、じゃあとりあえず街の中心部へ行こう。

ここはシドニーってのは分かってるけど、空港と街がどれくらい離れてるのか皆目見当もつかない。

まぁだいたいどこも空港から街ってのはバスで2ドルくらいのもんだ。

高くても5ドルもしないだろう。



「オラー、じゃなくてハロー。街までどうやって行けばいいですか?」


「電車が17ドルよ。」


「へー安いですね!!1.7ドルですか!!オーストラリア最高!!マジカンガルーとかヤベッス。はぁあ17ドルウウウウウウウ!!!!!!!????」


頭おかしいんじゃねぇかコノヤロウ!!!

なんか時間見たら15分でセントロ、じゃなくてシティーセンターって書いてるじゃねぇか!!!

15分の距離が17ドルってカンガルーなめんなよ!!!!


「バスなら15カンガルーよ。」




へほへ……………

じ、冗談ですよね………?


たかがそこまでの移動で15カンガルーとか南米の人に謝ってもらっていいですか?



そ、そうか!!
レートだ!!

きっとレートが安くて1ドルが20円くらいなんだ!!
てことは17カンガルーで350円くらいのもんだよね!!

そっかそういうことか!!

早速そこらへんの換金所へ。





photo:03



はい、30アメリカドルで29カンガルー。
ほぼ変わらん。



オーストラリアって物価高いよとは聞いていたけどまさかここまでとは…………

震える手で15カンガルーを払って南米なら大統領が乗るようなレベルのピカピカのミニバンに乗り込んだ。










「ヘーイミスター、ここがセントラルステーションだぜー。ホテルには行かなくていいのかい?」


「あ、ここで大丈夫です。」


運転手さんが陽気に俺の荷物を降ろしてくれる。

今までラテンアメリカで英語喋ってくれよーってさんざん嘆いていたのに、いきなりネイティブな英語すぎて逆にすごく聞き取りにくい。





走り去るバンを見送る。

取り残される俺。

目の前には信じられないような巨大なビルが空をジグザグに切り取っていた。

photo:02



ひっきりなしに行き交う高級車、ブランド物で着飾ったパーティーに行くんですか?っていう人々、ゴミひとつ落ちていない道路、ショーウィンドウとカッコいい看板。

photo:04





あ、あれ?爆音で垂れ流されるラテンの音楽は?

バンパー取れかけのオンボロ車は?

ゴミだらけで野良犬が交尾してる歩道は?

俺のことをジロジロ見てジャッキーチェン!!とか言ってくる人たちは?







誰も俺を振り返らない。

当たり前だ。俺はただここに立ってるだけだもの。

でもなんで話しかけてこないんだよ?

わけわからないスペイン語でニコニコ話しかけてきて優しく肩を叩いてこないのかよ?


と、とりあえず街の中心部へ行かなきゃ。





あ、その前に何か飲み物を買おう。
喉乾いた。


photo:05



photo:06




う、嘘だろ……?

水が300円以上する………


ポケットの小銭を握りしめて店を出た。









photo:07



重たい荷物を抱えて歩く。

人通りが半端じゃなくて、誰もが足早に先を急いでいる。


iPhoneをいじりながら歩く人、イヤホンをして無表情に歩く人、


な、なんだよこれ………

なんだこの希薄な空気は。

この無機質な人工物の街の中、まるで人さえも同じビルの一部みたいに生気が感じられない。

笑って歩く人々のその笑顔も作り物のように見えてくる。



photo:08



空はどこまでもビルがそびえ、信じられないような大きさのガラスが通りに面しており、中を歩く人々を見ることができる。

ズラリと並ぶ飲食店の多さ、隙間ひとつないタイルの歩道。

アジア人、インド人、イスラムの女の人、ものすごくたくさんの人種が行き交い、何が本物なのかまったくわからないけど飛び交う言葉は流暢な英語。



たまらない。

息苦しくって俺の歩くスピードも上がっているような気がする。







カナダを思い出す。

あの芳醇な歴史をたたえたヨーロッパから北米のトロントに着いた時の変わりよう。

全てが新しく、薄っぺらく、入れ物だけはとてつもなく大きくて、そこにいる意味を見出せなくなりそうなほどだった。


少しはそんな北米に慣れたものの、すぐに中南米に入り、あのいきいきとした生気に満ちた人々の中で生きてきた。

人間臭さの塊のようなラテンアメリカの人たち。
彼らの暮らす町もまた生き物のように人々を飲み込んでいるようだった。



今、このオーストラリア、シドニーという世界屈指の大都会に立ち尽くし、虚無感だけが体全体を包む。

すげぇ、これがカルチャーショックか。

photo:09










あまりの冷たさに逃げ出したくて歩く。
こんなとこ人の住む場所じゃないとさえ思える。
魂がまったく感じられないよ。



でも………負けるわけにはいかないんだよ。

ここもまた地球の上だし、これも旅の一部。
今まで通り、旅をしていかないといけない。
こんな街の中でもやるべきことは分かっている。



マーチンプレイスっていう巨大ビルが並ぶ足元のストリートにたどり着く。

地下道を見つけ、そこに降り、きらびやかな通路でボロボロのギターを抱えた。

心細い。不安ばかりが胸に迫る。
ここはもう南米ではない。


でもやるんだ。
やらなきゃ何も始まらないぞ。











30分後。






立ち止まってくれた人、ゼロ。






拍手、もちろんゼロ。




人だかり?言うまでもなく。






足元には数枚のコイン。

しかしそれを数えてみると10ドルほどあった。

ほんの数枚なのに入れてくれる単価がでかい。





途中警備員さんに注意され、向こうの方なら自由にやっていいよと言われ場所を移動。

しばらく歌ったがここは何も言われないみたいだ。




喉の調子はいい。
綺麗に歌える。

場所も申し分ない。




しかし誰も足を止めない。

人々は何かに追われるように歩いていく。

どんなにいい声だと自分で思ってもこちらを見もしない。

通り過ぎる瞬間に真顔でコインを落として行くだけ。

ありがとうと言っても、その時にはもう歩き始めた背中しか見えない。

歌っている自分が壁の模様の一部になっているかのように思えた。




photo:10



2時間歌った。

足元には4枚の5ドル紙幣とそれなりのコイン。



ギターをしまって地下道から地上に出ると、すっかり街は夜になっていた。


アスファルトに足音を響かせながら歩く。
明かりのついたビルが空高くのびている。
その先に見える夜空には南米で見た星は欠片もない。











どこまでも歩いた。

街から逃げるように、ひと気のない暗い方へ。

そして2時間ほど歩き回ったころに、湾に面した公園を見つけた。


体を熱気が包み、汗がしたたる。
足も腕も肩も悲鳴をあげている。


音のない暗い公園の中、犬の散歩をする人の影が動く。







奥へ奥へと入っていくと公衆の水飲み場があった。

頭にかぶると火照った体が冷えていく。

そしてすぐ横にベンチを見つけてそこに荷物をドサリと置いた。








photo:11



目の前には暗い湾が広がり、そのすぐ無効に巨大なビルがそびえ立っている。

その先にはライトアップされた大きな橋と何かの変わった形の建造物が夜の中に輝いている。




ぼんやりと眺める。

胸ポケットを探るがタバコはない。

静かな公園の中、どこからかオペラの歌が聞こえ、歌が終わると拍手がしばらく鳴り止まなかった。







どこにも居場所なんてない。

まったく知らない新しい国、新しい大陸。

寄り添うものがなにもない。
心細くて周りを見回す。

お腹空いたな。






さっき稼いだコインを数えた。

56ドルある。


コインを握りしめる。

この金額だけが俺がここにいる証明。




ここはもう南米じゃない。

オーストラリア編スタートだ。

photo:12



photo:13









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この旅最大のバカ

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3月28日 金曜日
【オーストラリア】 シドニー





ガサガサ………ガサガサ…………






ガサガサガサ!!!








「うわああああ!!!」



一瞬で目が覚め、声をあげて飛び起きた。



泥棒だ!!荷物をあさってる音!!


眠気が吹っ飛び、緊張と恐怖で身体中の毛が逆立つ。

真夜中の公園のベンチ。周りには誰もいない。


ガバッと体を起こして荷物を見た。







こんばんはー。

photo:01






お、おお、お前、何してんだ(´Д` )

枕にしてるバッグをガリガリこじ開けようとしているなんか変な生き物。


でけぇ!!
ちょっとしたネコより大きい!!



「うわああああ!!!あっちいけええ!!!」


怖くて直接叩けないので、ベンチをバンバン叩くけどガン無視でバッグをガリガリやってる変な動物。

photo:02




この野郎……と写真撮ってやったら、フラッシュに驚いたのか何も持ってねぇじゃねぇかと思ったのか、ノソノソ去っていきました。




はぁああ………久しぶりの野宿でいきなりこんなネタいらねぇよ………











photo:03



次に目を覚ますと、目の前の歩道をたくさんの人たちがランニングしていた。

おお、この異常なまでの朝のランニング、欧米の象徴だな。




photo:04



寝袋をたたみながら、湾の向こうに並ぶ摩天楼を眺める。


あれに立ち向かうのか。

こんなボロボロのギターだけで。

不安で押しつぶされそうになりながら荷物をまとめ、ベンチを後にした。










公園の中に公衆トイレがあったのでそこでまずは顔を洗いシャンプーをする。

おお………久しぶりだな、この蛇口の下に頭を持っていく感覚。

ていうか蛇口からお湯が出てくるんですけど?すげぇ………


そして荷物が多すぎてバッグに収まらなくなってきていたので、何か捨ててしまうことに。


そして選んだのはこれ。

photo:06



フィンランドでオンニと一緒に買ったH&Mのニットとジーパン。


ああ、このニットずっと着てたなぁ。

もうボロ雑巾みたいになってたけど、まだ着ていたかった。

また戦友がいなくなった。








雨が降る公園を抜け、街へと向かう。

そそり立つ高層ビルがとても窮屈に感じられる。

photo:05



地下、地上、中二階、スロープ、ガラス張り、

もう全てが迷路すぎて自分がどこを歩いてるのかわからなくなる。

photo:07



photo:08








とりあえずお腹が空いたので、そこらへんにあるセブンイレブンに入った。

カップラーメンくらいなら安いだろう。



photo:21




はい400円。

バカ?イースター島はるかに超えてるとかバカ?




じゃ、じゃあコーラを………




400円。

ここマチュピチュ?






せ、せめて水を!!





300円。

ここ砂漠?






仕方なくカップラーメンと食パンを購入。7カンガルー。700円。


コーヒーディスペンサーでお湯を入れてコンビニの前で立ち食い。

雑誌からそのまま出てきたようなオシャレにもほどがあるレディース&ジェントルマンがゴキブリを見る目で見てくる。




よーしよーし、なるほどね。

ついおとといまでアジア人だ!!お金持ち!!と思われていたのに、今は完全に貧民を超えてゴミです。

photo:09




周りにはジェニファーロペスとジョージクルーニーみたいな人ばかり。

いいもん、別に。カップラーメン美味しいし。
あ、麺を吸ったらスープがほっぺたについた。いけね。






ほおおおおおおふふうぅぅぅ………


大丈夫、俺大丈夫だぞー………
そんな変じゃないぞー………

中米の人たち思い出せ。
5人に1人くらいメッシのユニフォーム着てたじゃないか、オシャレ着で。

カッコいいスーツ着てるからって偉くないもん!!









泣きながらカップラーメンを食べて、街を歩く。

そしてマクドナルドの前でWi-Fiを繋いだ。

別に南米でもWi-Fiはそこまで困らなかったけど、この大都会ではマジでどっこにでもフリーWi-Fiが飛んでいる。

いくらでも繋ぎたい放題だ。







実は数日前からある人とメールのやり取りをしている。

イクゾウ君という若者。

彼も旅をしているんだけど、なにやら俺に会うために先回りして今シドニーにいるらしく、今日待ち合わせをしているのだ。


ギターを弾くみたいで、このシドニーで路上演奏をやって稼いでるみたい。

どんな人かわからないけどとりあえず会ってみよう。









photo:10



昨日歌ったマーチンプレイスへと向かう。
ビジネス街の中に伸びるストリートにスーツをビシッと着た人々が行き交っている。

俺ういてるなぁと思いながら歩いていると、そのサラリーマンたちの中に俺よりもういてる1人の日本人を発見。


大きなバッグとギター、頭にタオルを巻いて、どっからどう見ても血迷ってるやつにしか見えない。

あ、俺もだ。






「うわ!!うわ!!すげー金丸さんだ!!はじめまして!!イクゾウです!!すげー!!」


まだ若者のイクゾウ君は22歳。

俺に憧れてギター持って出てきたんです!!と言ってくれる。



実はこのイクゾウ君、1年ほど前に俺にメールをくれていたみたい。

ギター持って旅したいんです!!という内容だったんだけど、結構そういうメールはたくさんもらうので覚えていなかった。



「うわー……会えたー……俺日本からオーストラリアに最初に来たんですけど、この2ヶ月マジで死にかけだったんっす。」


「え?日本出る時に持ってたお金は?」


「いやー、ちょっと手違いがあって2千円しか持ってこれなくて……」


「2千円!??!」


「金丸さんが根性とギターと寝袋があれば楽勝ですってメールで言ってくれたからそう思ってきたのに全然楽勝じゃないんですもん。」


「………で、でも!!路上で稼げなかったの?ギターは何年やってるの?」


「9ヶ月っす。」


「う、う、うん………それで路上演奏はどれくらい経験あるの……?」


「え?ないです。オーストラリア着いて初めてやったっす。レパートリー9曲っす。」


「………………」


「金丸さんが楽勝って言ったから。でもまったく稼げなくてご飯食べられないしベンチで寝てたら雨降ってくるし、3日目に所持金2ドルになった時マジで楽勝じゃないじゃないですかってメールしようと思いましたもん。」








ガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガク(´Д` )



こ、こいつバカだ(´Д` )


度を超えたバカだ(´Д` )





「もう2ドルになった時に、俺終わったと思ってふっきれて、なぜかそこから稼げるようになったんすよ。3日目に初めて5セント入った時、曲ストップしてギターケースの中の5セントずっと見てましたもん。」



話があまりに面白くて、大爆笑。
いやー、なかなかのクオリティのアホです。




「そ、そうか……俺そこで今から路上やるよ。」


「マジっすか!!ちょっと見てていいっすか!?俺マジで金丸さんのYouTubeの再開回数の半分自分っていう自信あるっす。」


「そ、そう、ありがとうね。あ、トイレ行きたいなぁ。」


「トイレっすか?そこの通路入って右に曲がってフードコートの中にあります。あとは向こうの通りのビルの中か、あっち側にマクドナルドがあります。」




すでに1ヶ月シドニーにいるというイクゾウ君。
この街のことを完璧に知り尽くしている。



「ところでイクゾウ君はどこのホテル泊まってるの?」


「自分野宿っす。もしよかったら僕の家行きますか?マジで完璧の場所なんで。旅のプロの金丸さんにまだ旅始めて3ヶ月の自分が言うのもあれっすけど。でもオーストラリアの野宿情報なら何でも聞いてください。あ、あととりあえずホームレスシェルターがあってそこでシャワー浴びられます。んで街のあちこちで炊き出しもあるんで時間帯で場所が違うんで全部教えますからうんたらかんたら…………」




この男、すげえ(´Д` )

捨てるものゼロってこういうことを言うんだ(´Д` )


野宿と路上演奏で最底辺を這いずって生きている。
俺とまったく同じだ。




「あ、そこのトイレって有料?」


「え、なんすか?トイレが有料ってどういうことですか?」


公衆トイレが有料というのは世界の常識。
そんなこともちろん知らないイクゾウ君。

この男のゼロ具合、半端じゃねぇ。









てなわけでキラキラした目でイクゾウ君が見ている中、昨日と同じマーチンプレイスの地下道で路上開始。

カッコいいところを見せたいんだけど、やはり人は足を止めない。
まったくもって止めない。

これまでの南米が嘘だったかのように全員素通り。
見向きもしない。

高そうな服を着た人々が足早に行き交う。



しかしお金はパラパラと入っていく。
地下道は声が響くので、向こうの方から歩いてきた人が俺の前に来た時にポトリとコインを置いて行く。

しかし足は止めない。

ありがとうと言っても、一瞬ニコリとするだけですぐに背を向ける。

んー、人との触れ合いがまったく発生しない…………




「いや、すごいっすよ金丸さん、やっぱりさすがっす。俺なんて5時間歌って30ドルいけばいいくらいです。金丸さんまだ2時間経ってないのに50ドルくらい入ってるじゃないですか。いやー、やっぱりすげえ。」



お金の入りは悪くない。
オーストラリアには2ドルコインがあるのでそれがバンバン入るし、中にはポケットの中のコインを無造作に掴んで金額を確認もせずに入れていく人もいる。
3ドル4ドルなんて当たり前に入る。

やっぱりオーストラリアの金銭感覚恐ろしいわ。








俺もいつもの場所に歌いに行ってきます!!と歩いて行ったイクゾウ君。


それからも数時間歌い、20時くらいまで頑張って人通りが少なくなってきたところでギターを置いた。


あがりは91ドル。
悪くはないが、この国だったらもっといける。
オーストラリアでの目標は1日100ドル。
20万はためてやるぞ。








photo:11




シドニーのメインストリート、ジョージストリート。

高層ビルが立ち並び、高級なブランドショップからファストフード店まであらゆるお店がどこまでも連なり、まともに歩けないくらいのたくさんの人が行き交っている。

photo:12



大きな荷物を持っていると歩きにくいことこの上ない。









そんなジョージストリートの真ん中にウールワースという大きなスーパーマーケットがある。
タウンホールと呼ばれる駅があるこの交差点が1番シドニーで賑やかなところだとイクゾウ君が言っていた。



そんな人でごった返すウルワースの入り口の横にギターを抱えて声を張り上げているイクゾウ君を見つけた。

photo:13






その歌とギターは……


お世辞にも上手いとは言えない。

ギターは始めて10ヶ月でストロークとローコードしか弾けない。歌はまだまだカラオケのレベル。

そして卒業写真とか翼をくださいなどの初心者向けの弾き語り曲を歌っていた。もちろん日本語で。


田舎の駅前にいる若い路上シンガーを思い出すその雰囲気。

バッグパックの前にギターケースを置いて、真剣に声を張り上げる姿がとても懐かしく見えた。

photo:14





初めての路上演奏が海外で、まだ3ヶ月しか経っていない。

俺は日本でもやっていたからある程度の勝算はあった。

でもイクゾウ君は何も持たずにやってきている。
これからどんどん磨かれていくはず。クソ度胸はマジで半端じゃねぇな。








「いやー、今日調子良かったっす。20ドルいってるはずです。やったー。」


路上を終えたイクゾウ君と晩ご飯に行くことに。


「どこか美味しいとこ知ってる?安くて。」


「あ、いいとこ知ってます。ラーメンでいいですか?」



えー?ラーメンかよー。ラーメンとか全然食べてないからもうどんな味だったかあんまり覚えてないっていうか、俺そんなにラーメンとか、



ラーメンだとコノヤロウ!!!!


俺をおちょくってやがるのか!!
この物価のクソ高いオーストラリアでラーメンなんか食べたら間違いなく10ドルオーバーだろうが!!

イクゾウ君も20ドルしか稼いでないのにそんなラーメンとか食えるわけねぇだろ!!








photo:15



醤油ラーメン、3.9ドル。


ぎゃあああああああああ!!!!!!
美味えええええええええええ!!!!!!!

なんの変哲もない醤油ラーメンだけど美味えええええええええ!!!!!



「安いとことかそういう情報なら任せてください!!」


うおう!!イクゾウ!!でかした!!





ちなみにこのラーメン屋さんの店員全員日本人です。

photo:16



建物の中が全て日本料理店という日本人ビルで、居酒屋さんとかがたくさん入っています。

他のお店はハイパー高いので僕らは立ち入り禁止ですけどね………


ラーメンを食べながら2人で食パンをかじった。









「それじゃあ、僕の野宿場所に行きましょう。めちゃくちゃいい所っすから。」


イクゾウ君について2人で街を歩く。
きらびやかな街の灯りが降り注ぐビルの間を縫いながら。

photo:17





野宿場所っていってもなー。
俺が昨日見つけた場所も悪くないし、まだ日本を出発して3ヶ月経ってないやつが俺に野宿ポイントを紹介するなんて10年早えっていうかすげええええええええええええええ!!!!!!!!!!!


photo:18





「ちょっ!!何これ!!半端じゃねぇ!!」


「マジヤバイっしょここ?」


ハーバー沿いの丘を上がっていったところにある公園。
その真ん中に展望小屋がイクゾウ君の野宿ポイントだった。


大きな空間、屋根、そして地面は人工芝でクッション抜群、

なによりこの夜景はどういうことだーーー!!!

photo:19




シドニーの湾にかかるハーバーブリッジとノースシドニーの高層ビル群が一望できる最高の場所だ。



「もうここに1ヶ月いますけど何も言われないし、朝も散歩のおばさんとかがグッドモーニングって起こしてくれるんすよ。マジ完璧ッスよ。」


そんな人工芝の上で裸足になって寝転がる。
出会いを祝してビールで乾杯。
オーストラリアはなんでも高いけど、ビールは350mlが200円ちょいで買える。


こんな夜景を見ながらビールなんて最高すぎるぞ?







感動しながらビールを飲んでいると、そこに1人のおじさんがやってきた。

ヘーイとイクゾウ君が挨拶する。
どうやらここの野宿仲間みたい。


おじさんはインドネシアから来てる出稼ぎの人で、たまにここに寝にくるんだそう。

話では部屋が高すぎて借りられないんだとか。


「俺の仕事は1日150ドルもらえるんだけど全然足りねーんだー。」


「え!?150ドルってすごいじゃないですか!!足りないことないでしょ?」


「全然足りないよ。部屋を借りると300ドルはするんだぜ。普通で400ドルだ。」


「いやいや、すごく安いじゃないですか。」


「月じゃないよ、週300ドルだぜ。オーストラリアはとても厳しい国だよ。」



週300ドル!!
月12万じゃねぇか!!
そりゃ足りないよ………



「金丸さん、すごいっすね、英語ペラペラじゃないですか。イナフってどういう意味っすか?何言ってるか全然わかんないんすけど。」



い、イクゾウ君……よくその英語力で3ヶ月生き抜いてきたね(´Д` )


何言われてもまったくわからないのでいつも、イエー、って空返事してるらしい。

この男面白すぎる(´Д` )

photo:20








ビールを飲み、ホームレスのおじさんと3人で人工芝の上に横になる。


いやー、気持ちいい。

きっとホテルに泊まって見るよりもこの夜景は格段に綺麗に見えてると思う。


シドニー生活、楽しくなりそうだ。









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大都会の冷たさ

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3月29日 土曜日
【オーストラリア】 シドニー






「金丸さん、おはようございますー。」


photo:01




目が覚めると隣に髪の毛ボサボサの変なやつが眠そうな顔で座っている。


そう、イクゾウ君。

久しぶりの野宿でしかも仲間が出来て嬉しいよ。



「いやー………お腹空いたなぁ……うわっ!!ゴキブリ!!あっち行けえええええ」




な、涙が(´Д` )

貧しすぎて朝から涙が(´Д` )






photo:02



ゆうべの綺麗な夜景を見せてくれたシドニーの街が朝の太陽を受けて輝いている。
まるでジオラマみたいに壮大な人工の街。

荷物をまとめ、そんな巨大な資本主義の街に突入だ。







「金丸さん、まずはどこ行きたいですか?」


「んー、とりあえず身だしなみを整えたいからどっか公衆トイレある?」


「分かりました、自分がいつも行くところがありますから。そこで顔とか洗いましょう。」


photo:03




この街の全てを知り尽くしているイクゾウ君。

まずはショッピングモールの中のトイレへ。
まだほとんどのお店が閉まっているので人が全然いなく、ゆっくりと歯を磨く。



「金丸さん、シャンプーする時ってどうやってやってます?俺蛇口の下に頭が入らないんすよ………」


「え?これくらいなら十分洗えるよ。手で後頭部を押さえて水を溜めながら洗うんだよ。」


「ま、マジっすか、やってみます。」



めちゃくちゃ綺麗なトイレの中、蛇口の下に一生懸命頭を突っ込んでいるイクゾウ君。


photo:04



ま、貧しすぎる………




「ちょ、金丸さん何写真撮ってるんすか。うわー、この姿親が見たら泣きますね。旅つれー………」



あまりの面白さに写真を撮る。
まぁ俺もこう見られてるんどけどね。人がやってるところ見ると爆笑が止まらない。



「いやいや、オーストラリアすごいよ。お湯が出てるじゃん。普通冷水だからね。冬にこれやったらなかなかキツイよ。」


「旅全然楽勝じゃないじゃないですか。話が違いますよ………」





photo:05



1ヶ月街を彷徨い続けたイクゾウ君なので、もはや完璧なるライフサイクルが出来上がっている。

身だしなみを整えたら、その足でセブンイレブンに行き、横の階段に座ってコーヒータイム。
1ドルのカプチーノが固い階段に良く合う。

photo:06





ちなみにオーストラリアではマルボロが1箱22カンガルーとかします。2200円。バカにもほどがある!!!!



「いやー、マジで無理っすよー、もうずっとこれです。」


イクゾウ君はそう言って巻きタバコをふかしている。
巻きタバコならだいたい8日くらいはもつそう。それでも17ドルだからやってられない。








2人でマズイ巻きタバコを根元まで吸って、今度はインターネットタイム。

サーキュラーキーというこれでもかってくらい美しいハーバーのフェリー乗り場の前に、博物館ですか?みたいな建物がある。

photo:07



これ図書館。




photo:08



中はまぁとんでもなく綺麗で静かで、ケータイでラテンミュージック鳴らしてるやつなんてもちろんいない。

Wi-Fi飛びまくりの充電し放題。

最高すぎる。


やるなイクゾウ君。
この街の快適な過ごし方を熟知してやがる。





さーて、そろそろヤバくなってたバッテリーの充電しようかな。



うん、できない。

コンセントの形がわけ分からん見たこともない形状に変わりやがった。

チクショウ、せっかく日本出る時に全世界対応のコンセントアダプター持ってきてたのにすぐ失くしてしまったので、毎回形状が変わるたびに買わないといけない。

photo:09



ただのアダプターが千円もした。








メールを返したり動画をアップしたり、溜まっていたことを全てやってしまう。

ちなみに俺はブログをいつも日本時間の0時にアップするよう心がけているんどけど、オーストラリアに来たことで日本との時差はプラス2時間。

今まで日本よりも遅れて過ごしていたのに、日付変更線を越えた瞬間時間がぶっ飛んで日本よりも先の時間を生きている。

なわけで0時にあげようと思ったら夜中の2時に更新しないといけない。


無理です。
しかも野宿生活となるオーストラリア。
朝起きてからの更新になるので、日本では7時か8時のアップになるな。


いつもと時間は変わるけどこれからも読んでもらえると嬉しいです。








photo:10



「ご飯何にしようかー。」


「炊き出しはどうします?普通に美味いですよ。ピザとか出る時もあります。シェルターならシャワーを浴びれるし。」


「うーん、今回はいいかな。」



カナダではだいぶお世話になったホームレスシェルター。
3食の飯がついて、交流スペースではみんなとテレビを見てゆっくり過ごすことができた。
それまでシェルターなんてものの存在を知らなかった俺にとって、とてもいい社会勉強をさせてもらった。

しかしやはりいくら万人に開かれているものではあっても、完全なホームレスではない俺がタダ飯、タダシャワー、タダベッドを利用するのは若干の抵抗があった。

あの時はアメリカ入国のために少しでもお金を節約しなければと使わせてもらっていたけど、今はこのシェルターというものがどういうものかも分かっている。

今回はナシにしよう。



「マジすか……じゃあ俺もそうしてみます。」


まだまだご飯を食べられるほど稼ぐことの出来ないイクゾウ君まで俺に付き合わせるつもりはないけど、そうしますと言ってくれる。

男気のあるやつだ。









photo:11



さて今日は土曜日。

平日の賑やかさは影をひそめ、普段サラリーマンがひしめいているビジネス街も静まり返っている。

中心部のほうはまだ人がいるけど俺が歌っているマーチンプレイスは完全なビジネスエリア。
今日はまったく人がいない。


というわけで今日はイクゾウ君オススメのセントラル駅でやることに。









シドニーのセントラル駅にある地下通路は、アメリカで別れてオーストラリアに来ていたカッピーとユージン君コンビもオススメだと言っていた場所。


やってきてみると、ちょうどいい広さの通路が300メートルほど続く、まさにギターのバスキングにピッタリすぎる場所だった。
人通りは申し分なしというか多すぎるくらいに行き交っている。

こいつはいい!!

photo:12







と言いたいところなんだけど、まぁそんなナイススポットなので同業者もいますよね。

通路のこっち側と向こう側の両端に1人ずつすでに陣取って演奏していた。
ギターの弾き語りだ。


地下通路だというのに2人ともアンプとマイクを使っており、どんなに離れても通路全体に音が響いている。





こういう時は交渉だ。
あんまりやる気のなさそうな方のオッさんに何時までここでやるのか聞いてみた。


「ああー?ダメだダメだ、俺は金が必要なんだ。どっか行ってくれ、俺はここを動かないぞ。」


ただ時間を聞いただけなのに、邪魔するなみたいに追い払われる。

くそ、大都会め…………!!







もう腹がたったので、2人のパフォーマーのちょうど真ん中でギターを取り出した。

通路のど真ん中あたりで、両方とも200メートルは離れてるというのに、両側からオッさんたちの演奏が聞こえてくる。

地下通路でアンプ使うなよな、と思いながら思いっきり声をあげた。








photo:13




悪くはない。

ちょろちょろとは入る。

しかしやっぱり両側から鳴り響いてくるオッさんたちの演奏に挟み撃ちにされて全然集中できない。

ダメだこりゃ。

おとなしく場所を変えることに。









夕日が沈み、次第に盛り上がり始める土曜日の夜。
通りをおめかしした人たちが楽しそうに歩いている。

浮ついた雰囲気が通りを埋め尽くす。


スーパーマーケットのウルワースに着くと、たくさんの人が行き交う中でイクゾウ君ががむしゃらに歌っていた。


「あ、やっぱりダメでした?じゃあここでやったらいいですよ。僕はあっちにもいい場所知ってるんで。」


場所を譲ってくれて通りの向こう側に歩いて行ったイクゾウ君。

ウルワースは安くて大きいスーパーマーケット。たくさんの人がひっきりなしにやってくる。

ここならもう少しは稼げるか。
気合いを入れて演奏開始。

photo:14









シドニーって最初に着いた時からすごく驚いたんだけど、中国人の数が凄まじく多い。

本当に、あれ?ここどこだっけ?って思うほど中国人だらけ。

公共施設の案内板には英語の下に中国語の表記がしてあったり、街の広告とかも中国人向けのものがすごく多い。



たまに信号待ちしてる時、信号を待ってる15人くらいの人全員中国人の時とかあるくらい。

もはやチャイナタウンとかそういうコミュニティレベルではない。
完全にオーストラリア人として生活しているみたい。

話ではすでに5世とか6世の世代になってるみたい。
それほど昔からオーストラリアには中国人が住んでいるんだな。




そしてそんな中国人の人たちってすごくお金を入れてくれることに驚く。

世界一周フロムJAPANと看板を出しているので、俺が日本人だということは分かっている。
その上で彼らはガンガンお金を入れて笑顔で親指を立ててくれる。


ワーホリで大人気なので日本人ももちろんたくさんいるんだけど、今のところ交流はゼロだ。








それにしても…………



白人の酔っ払いのたちの悪いこと。


イヤッフオオオオ!!!

ヒーハーーーー!!!!


とそこらじゅうで叫んでおり、俺のことを見つけるとオーストラリア英語で何か言いながら笑っている。

そして1番小さな5セントコインをポトリと置いてまたギャハハハハー!!と爆笑しながら歩いていく。



そんな奴らばっかり。

大騒ぎしながら絡んできて、ゴミをギターケースに入れるほぼ半裸みたいな服を着た女たち。

アホがなんかやってるぜー!!みたいな感じ。

ボケとビッチだらけ。




この感じ、日本の飲み屋街を思い出すなぁ。

普段本当に大人しくて、人に無関心に生きているのに、お酒を飲んだ途端大声を出して気が大きくなる感じ。

もちろん世界中どこでも少しはそうだけど、この馬鹿ノリってカナダとかアメリカみたいな歴史の浅い大国でよく感じることなんだよな。

ヨーロッパではほとんど見なかったし、南米の人もたまに喧嘩はしてるけど基本みんなお酒を飲んでもフレンドリーさは変わらない。
普段から日常を楽しんでるからなかな。


人とのコミュニケーションが希薄なストレス社会で生きていると、お酒を飲んだ時に爆発してしまうんだろうな。

photo:15










その時、ウルワースの出口からちょっとヤバそうなおばさんが出てきて警備員に体を掴まれた。

ポケットの中の物を出しなさい!!と言われている。
おばさんは離せ!!と抵抗しているが警備員がポケットに手を入れるとお菓子か何かの商品が何個か出てきた。


ふん!!返したんだからもういいだろうが!!と言った感じで警備員の腕を振り払って歩くおばさん。

そして捨て台詞。

警備員さんにファッキンドッグ!!




俺横でポカーン。



この一連の騒動。なかなかの騒ぎだったにも拘らず、足を止める人はゼロ。

みんな我関せずと会話をやめることもなく歩いている。


それがとても異様に見えた。










あまりにも酔っ払いたちに絡まれるのでもういい加減ムカついてギターを置いた。

そこにちょうどイクゾウ君も帰ってきた。


「どうだった?」


「あ、僕今日なんか調子良かったっす金丸さんはどうでした?」


「もうこの国で夜やりたくない。」



2人であがりを数える。

やべー32ドルだー、と喜んでるイクゾウ君。


「イクゾウ君、財布持ってないの?」


「ないっす、これっす。そもそも入れるお金ないっす。」


スーパーのビニール袋に嬉しそうにコインを入れている。

あまりにも貧しい(´Д` )




俺のあがりは69ドル。

目標の100ドルにはなかなかいかないなぁ。







それからいつもの安いラーメン屋さんへ。

photo:16




店員さんは全員日本人で、カウンターの中で店員さん同士で日本語で喋っている。

俺とイクゾウ君もカウンターの前で日本語で喋っている。


お互い完璧日本人だと分かっているのに英語で話しかけてくるケバい化粧の店員さん。

ありがとうございますと言っても、サンキューって言われる。
目も見ず、無表情で。



路上終わりなので小さなコインで払ったんだけど、横の先輩らしきケバい女の人がレジの子に、これもらったのー?混んでる時は受け取ったらダメだからねー、と俺の目の前であからさまに大きな声で言ってくる。
なんでこんな言い方ができるんだろう。




なんかもう、なんだろ。

居心地悪くて仕方ない。



「じゃあ今混んでないから大丈夫ですね。」


と言ったら新人ぽい女の子だけ笑った。

そりゃ酒飲んだら大暴れしたくなるか。







なんかモヤモヤしながら今夜もイクゾウハウスへ移動。

photo:17




家から見渡す夜景。

中はあんなにドロドロしてるのに、外から見るとこんなに綺麗だ。






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オーストラリア最初の友達

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3月30日 日曜日
【オーストラリア】 シドニー





ケータ君がミギーさんと会ったみたいですね。

僕はブログの中で常々言っておりますが恋するラブレターことミギーさんがとても好きです。顔知らないけど。


好きな女性のタイプは?と聞かれたらミギーさんと答えます。顔知らないけど。



す、すっごい太ってたらどうしよう………



いや、ぽっちゃりの女性も好きですけどね。




あ、ケータ君とかミギーさんってのはブログランキングの中の旅人さんです。
ランキング見てない方には申し訳ありません。






チリにいるときくらいにケータ君から自慢げにメールが送られてきてそれを知ったわけですが、もうブラジルに邪魔しに行ってくれようかというレベルで羨ましかったんですけど、そんなケータ君とのメールのやり取りはこちら。




photo:01



photo:02



photo:03





おのれケータアアアアアアアアああああああア!!!!!!!!!

やっていいことと悪いことがあっちゃられりられ!!!!!!!

日南出身のくせにいいいいああああああああああああああああ!!!!!!!!!






もう少しで背中にオーガ出るくらい怒り狂ってたわけですが、そこはデキる男、ケータ君。

ミギーさんがブラジルの後にブエノスアイレスに向かうという情報を送ってきた。





ほう?

ブエノスアイレスと?



俺が滞在する時期とかぶるではないか。


ついに恋い焦がれたミギーさんに会う時が来たわけですか。

あの下ネタ女王と下ネタキングの邂逅。

これはブエノスアイレスの街にザーメ……じゃなくて色んな何かが降るぞ?




そんなわけで一瞬うひょう!!となったんだけど、どうやらミギーさん、23日までしか滞在しないとのことだった。




あー、23日だったら無理か………

俺がブエノスアイレスに入るのは25日。

すでにミギーさんはどこかに移動している。


残念だけど、ヘロニモとの約束は外せなかったし、これが限界の日程だった。

なので時間が合わないこともわかっていたのでミギーさんに連絡を取ることもなかったし、ミギーさんからメールが来ることもなかった。



恋い焦がれた人と地球の真裏でほんの数日のすれ違い。

しょうがなかった。

まるで映画のような2人。







photo:04



あれから時は流れて今日ですね。

シドニーはとてもいい天気。

photo:05





あー、麻美ゆまちゃん元気かなぁと思いながらシドニーの図書館でWi-Fi繋いで鼻ほじりながらメールチェックしてたんですよ。








ミギーさんからメール来てた。



指が鼻貫通するかと思った。

南米ラストスパートであまりにもバタバタしていてメールのチェックができていなかった。

3通も来ている。


速攻で開いてみた。






「金丸さん、ミギーです。ブエノスアイレスに23日まで滞在するのでよろしかったら連絡ください。」



み、ミギーさん、メールありがとう。
でもあの時俺は23日までにブエノスアイレスには到着できなかったんだよ。

会うことは出来なかったんだ……

ゴメン………



2通目を開く。






「私が泊まっているホテル、空き部屋あるみたいですのでまだホテルがお決まりでなかったらどうぞ。」






よし、死のう。
カンガルーとボクシングして撲殺されよう。


あああ!!!そんなこと言われたってあの時俺はヘロニモの実家にいて感動的な時間を過ごしていたから、俺が25日にブエノスアイレスに移動した時にはもうミギーさんはいなかったんだよ!!

ダメだったんだよ!!



3通目のメールを開いた。







「ブエノスアイレスで友達が出来て面白くなってきたので26日まで滞在することにしました。路上パフォーマーがパフォーマンスしているフロリダ通りまですぐ近くのホテルにいますのでご連絡いただけると嬉しいです。」















カンガルーーーーーーーーーーーー!!!!!!!俺を殴り殺してくれえええええええええええええええ!!!!!!!!


あばばばびぱばばばばぱぺぺ




ミギーさんがすぐ近くにいたというのに、俺はフロリダ通りでアホみたいにスタンドバイミーを歌ってました。

ソウ、アホミタイニ。


そばにいてよー、僕のそばにいてよー、ってミギーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!






はい、もう2人の間にはイムジン川でも天の川でもなく世界イチでかい海が広がっていますのでこの旅の中で会えることもないでしょう………


でもお互いこれからも旅は続きます………


ミギーさん、お気をつけて。
お互いいい旅しましょう。








photo:06



いつものようにモールの公衆トイレ、セブンイレブンのコーヒー、図書館の流れ。

日曜の街は人もほとんど歩いていないが、所々の広場で何かしらのイベントをやっていて、人々はのんびりと日向ぼっこしている。

1ドルのコーヒーがくれる安らぎがホームレスの朝をとても贅沢にしてくれる。

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図書館でメールと日記書きを終え、さて仕事に行こうか。
イクゾウ君はいつものウールワースの前、俺は昨日と同じセントラル駅の地下道に行くことに。

昨日あれだけ他のミュージシャンがいたセントラル駅だけど今日は日曜日。
もしかしたらミュージシャンたちもお休みしてるかもしれない。


と願いながら重たい荷物を引きずってやってきてみると…………







よし、
他のパフォーマーゼロ。地下道貸切だ。




てなわけで響きのいい地下道にマイペースに歌を響かせる。

相変わらず人は足を止めてくれないけど、音がキチンと聞こえるのでお金の入りはまぁまぁ。







しばらくすると目の前に1人の兄ちゃんが座った。
じっと歌を聴いてくれている。

そして歌が終わると笑顔で拍手してくれる。


「いやー!マジでスゴイです!!本当に感動しました!!」


顔は完全に白人なのに、驚くほど流暢な日本語で話しかけてきた彼の名前はアーロン。

日本が好きでずっと日本語を勉強しているという大学生。

この前まで日本に行っていたんだそう。


「東京から岩手の陸前高田まで歩いたんです。津波の被害を知るために。」


「へー、そうなんだ、って歩いた!?」


「はい、野宿しながらずっと歩きました。たくさんの人が助けてくれました。本当に日本が大好きです。」


日本が好きというだけでなく頭がいいので話がとても面白く、一気に仲良くなり今夜晩ご飯行こうよ!!ということに。

21時まで歌ってると言うと、その頃に戻ってきますと用事を済ませに歩いて行った。


やった、オーストラリアでやっと初めての友達ができたぞ。









と思ったのだが20時半になってもアーロンは戻ってこない。

21時まで10分前になっても姿はない。

この時間になると人通りもほとんどなくなり、地下道はガランと静まり返っている。

ポツリと立ち尽くす俺。





そ、そうか………いつものあれですか………

すっぽかされたっていうか軽い口約束だったもんな………こんなのよくあることだよ。


この冷たいシドニーならなおさらだよな………
せっかく友達できたと思ったのに………





21時になった。

もう行こうかな。

でももう少しだけ待っとこうと思った。
アーロンは嘘つくような男ではないと思った。






そこに息を切らして走ってきたアーロン。


「ごめんなさい!!遅くなりました!!待っててくれたんですね!もういないかと思ったー。」


「当たり前だよ、約束したやん。戻ってくると思ってたよ。」


ニッコリ笑うアーロンと2人で地下道を歩いた。

今日のあがりは65ドル。












「え?ちょ、誰ですかこの人?え!日本語マジ上手いし!!ウケる!!」


「ウケるってどういう意味?」


ウールワースに行きイクゾウ君と合流。
いきなり日本語ペラペラのオーストラリア人を連れてきたので驚いているけど、イクゾウ君のコミュニケーション能力もなかなかのものですぐにアーロンと仲良くなった。




てなわけで3人でいつもの激安ラーメン屋さんへ。

photo:12




日本をバッグパックで歩いたアーロン。俺たちみたいな世界の旅をしてみたいようで興味津々で質問をしてくる。

photo:13





「フミさんはこの旅でどんなことを学んでますか?」


「んー、ひとくちでは言えないけど、人間は一緒ってことかなぁ。どこに行ってもどんな場所でも人間はみんな一緒でそれぞれの生き方や暮らしがあって、みんな同じような感情を持ってるよね。それを知ることってすごく生きていく上で価値のあることだよ。」


「貧しい地域についてはどう思いますか?僕は不平等なことがどうしても理解できない。みんなが平等に不自由のない暮らしをするべきだと思います。」


「彼らには彼らの生き方や培ってきた文化があるんだから過剰に干渉するのはよくないと思う。それでバランスが取れてる部分もある。もちろん餓死や疫病を見て見ぬ振りするのはいけないけど。」


「イクゾウはどう思いますか?」


「俺マジでクズだからわかんねっす。」




ブフォ!!



ラーメン鼻から出るかと思ったわ!!


もうイクゾウ君が面白すぎて仕方が無い。
アーロンもイクゾウ君の話に大爆笑している。



「イクゾウ、クズってどういう意味ですか?」


「クズ?クズって………えーっとね…うーん、うんことゴミを混ぜたものって感じかな。」


「それは違うやろ。」


「ちょっと待って下さい。ディクショナリーで調べます。」


真面目なアーロン。分からない言葉があるとすぐにアイパッドのアプリで調べている。



「いやいや、うんことゴミを混ぜたものとか調べても出てこないから!!そもそもうんことゴミを混ぜたものに名前をつける価値ないでしょ。」


「あー、出てこないです。このアイパッド、最近アップロードしてないからですねー。」



そんな話で大笑いしながらみんなで寝床に移動。

丘を上がり、階段をのぼり、俺たちの完璧すぎる展望小屋に到着。

目の前に広がる夜景を見て、飛び上がって喜んでるアーロン。



「すっごい!!すごいです!!パーフェクトなキャンプです!!あー!!僕はこんな旅がしたいんです!!」



photo:14



そんなアーロンと3人でビールで乾杯。
といきたいところだけどアーロンはお酒は飲まない。
お酒だけじゃなくタバコも吸わないし、さらにベジタリアンだ。



「ベジタリアンって野菜が好きな人ですよね?」


「ベジタリアンってお肉を食べない人のことだよ。」


「えええ?!!マジっすか!?酒も飲まない、タバコも吸わない、肉も食わないって、もうそれ公務員にしかなれないじゃないですか!?」


「別に公務員以外もなれるやろ。」



大笑いしながらビールを飲む。

こんな最高の野宿スポット。
いつも誰かを招きたいよねー、と話していたけど最初のお客さんがアーロンというめちゃくちゃいい奴で嬉しいよ。


「僕日本に彼女がいます。」


「え?アーロンそうなの!?」


「そうです!!あー会いたい!!本当に素晴らしい心を持った女性なんです!!」



アーロン、いい笑顔するな。


夜風が気持ちいい。

3人の笑い声が夜遅くまで公園の中に聞こえていた。








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今世界で1番危ない旅人

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3月31日 月曜日
【オーストラリア】 シドニー





photo:01



今日もいつもの展望小屋で目を覚ます。
寝起きから最高の眺めで文句のつけようがない寝床なんたけど、ここは少し蚊がいる。


テントを張りたいところだけど俺は南米南下のために荷物を減らそうとテントをグアテマラのホステルに寄付してきた。

でももしかしたら蚊に悩まされるかも、とテントの内側の蚊帳だけは持ってきていた。


これが大正解で、テントを張らずとも蚊帳さえあれば快適な野宿生活になんの支障もない。





俺が蚊帳、マット、寝袋の完璧なセットで寝てる横で薄いタオルケットみたいなやつ1枚で震えながら寝ているイクゾウ君。



「て、テント持ってこなかったの?」


「いやー、一応持ってきてたんですよ。でもこの前ゴールドコーストでベンチで寝ながら横でテント乾かしてたんです。そしたらなんかバキバキバキって音がして、見てみたらオッさんがゴミ収集車にテント放り込んでるんですよ。普通分かるっしょー……横で俺寝てるんだから。何してんだオラー!!って日本語で叫びましたよ。だからテントないです。」




気の毒すぎる………

気の毒すぎるけど爆笑。





そしてふと気がつくと2人の足元に名刺が置いてあった。

なんだ?と見てみると、どうやらシェルターかなんかの保護施設の名刺だった。

フリーホームサポートと書かれている。

本当先進国はこうした受け皿が充実してるな。





「金丸さん、飴いります?昨日歌ってたら飴もらったんですけど、この1番元気っていう飴とベルターズオリジナルどっちがいいですか?」


「特別な存在のやつちょうだい。」


「特別な存在っすね。はい。」


寝ぼけた頭で座ったまま飴をなめる。
飴をなめる2人のホームレス。


「うわ、この飴マズ………何が一番元気だよ……ひとつも元気にならないですよ……今日1日が思いやられるわぁ………」


朝から転げ回って大笑いさせてくれるイクゾウ君。

なんかこの不器用でバカで真っ直ぐな彼の存在自体が面白い。




「ところで金丸さん宮崎ですよね?俺高千穂に婆ちゃんいるんすよ。」


「へーそうなんだ。方言すごいやろ。」


「そうなんすよ。マジで婆ちゃん何言ってるかわかんないんですよ。方言すごすぎて会話できないんすよね。僕全然英語わかんないですけどまだオーストラリア人とのほうが会話できますもん。」


面白すぎる(´Д` )


「わかんなすぎてまだあんまり仲良くないんですよ。食べ物何が好きかとかも知らないです。」



爆笑しすぎて歩くのが止まるくらい笑いながら街に降り、今日もいつもの公衆トイレ、セブンイレブンコーヒー、図書館の流れ。

photo:02




月曜日の朝の出勤の人たちがせわしなく行き交う中、セブンイレブンの横で階段に座ってコーヒータイム。

そしてお湯をもらってカップラーメンと食パンで朝ごはん。

質素だけどこれでも結構いい値段してるから恐ろしい。









そんな街を眺めていると、横でコインを数えだすイクゾウ君。
ビニール袋から取り出して。



イクゾウ君は火曜日についに3ヶ月滞在したオーストラリアを脱出する。

少ない稼ぎの中でコツコツコツコツとお金を貯め、マジで死にかけながらやっとの思いで飛行機のチケットを買ったんだそう。300ドルで。

行き先はマレーシア。



「いやー、最初のころとか食パンしか食べてなかったですもん。1日5ドルとかしか稼げなかったから。食パンしか買えなかったです。で少し多く稼いだ日はソースとか買って食パンにつけて食べてました。もうオーストラリアの食パンマスターです。」


「そ、そうなんだ……大変だったね………」


「全然旅楽勝じゃないじゃん金丸さん………って思いながら食パン食べてました。5日間くらい食パンしか食べてない日とかありましたよ。きつかったなぁ………」


「じゃあ今すごい贅沢なんだね。」


「本当っすよ!!毎日ラーメンとか食べて。奇跡でしかないですよ。最初のころからしたら………あ!!すげぇ!!金丸さん、俺の全財産7千円もあります!!うわー、マジ余裕だやべぇ、こんなにあるよー。ところでアジアって稼げるんですか?」



幸せそうにビニール袋の中にコインを入れるイクゾウ君。

今世界で1番危ない旅人、小林イクゾウ。









photo:03




図書館でネットをして日記を書き、今日も路上いってみようかな。

俺もほとんど毎日歌ってるけど、たまには休みを取る時もある。

でもイクゾウ君はオーストラリアに来てから移動以外の日は必ず歌っているそう。完璧休みなし。

まぁ確かにイクゾウ君はまだまだ稼げていない。
1日良くて30ドルとか。

そりゃ毎日やらないとやっていけない。
俺も路上始めたころは本当に稼げなくてへこたれそうになってたなぁ。


そんな中で開き直って絶対にこれで食う、と決めてから少しずつ稼げるようになり、今こうして海外を回れている。

下積みゼロで出てきたイクゾウ君。

今世界で1番危ない旅人。



「夢は日本に帰ることです!!行ってきます!!」


イクゾウ君と別れて俺はマーチンプレイスの地下道へと向かった。









photo:04



オーストラリアは物価の高い国。

タバコが1箱2000円以上するというのに人々は普通にそんなタバコを吸っている。

それはもちろん給料もいいから。

普通のバイトの時給が2000円とかだし、時給2500円なんて日本のキャバ嬢が稼ぐような金額をマクドナルドの店員がもらっている。

なのでおそらく爆発的に稼げるはず!!




と踏んでオーストラリアにやってきた。

1ヶ月の滞在で20万くらい貯めて、それからニュージーランド、シンガポールでさらに貯め、稼げないであろうアジアの旅費を作って日本へラストスパートっていう完璧すぎる流れを計画していた。

いやー、ハラハラドキドキの旅を期待されてるみなさんにはもうこっから先は危険な国もないし、順風満帆でいかせてもらいます、と思っていたんだが………






シドニー、稼げねぇ…………


人が立ち止まらない…………




シドニーにはたくさんのパフォーマーがいる。

ギター弾き語り、サックス吹き、ダンサー、

もちろんホームレスまがいの下手な人も多いけど、みんなそれなりにレベルは高い。
そしてほぼ全員スピーカーとマイクを使っている。



稼げないのは激戦区だから俺の実力不足、ってのももちろんあるけど、ええ?!この人めちゃくちゃ上手くてカッコイイ!!っていうパフォーマーが誰からも見向きもされていない状況を何度も見ている。

ダンサーがウルトラCのアクロバットをキメても誰もお金を入れなかったりしてる。


イクゾウ君が言うにはシドニーに来てから本当にパッタリ稼げなくなったそう。
それまで北の町ではそれなりに紙幣も入っていたみたい。

やっぱりシドニーほどの大都会になるとみんな時間に追われて忙しく歩いていて、何かにかまっている暇はないといった雰囲気だ。

足早に通り過ぎる人たちからコインをもらいつつ、3時間やって疲れてギターを置いた。

あがりは45ドル。


これ以上シドニーに長くいる価値はない。早く北に移動してしまおう。











ウールワースに行くとイクゾウ君が頑張って声をあげていた。

足早に通り過ぎる人たちに向かって翼を下さいを歌っている。


い、イクゾウ君が翼を下さいとかリアルすぎて涙で街明かりがにじむ(´Д` )




「どうだいー?」


「全然ダメっす…………まだ10ドルくらいですよ………」


力なく笑うイクゾウ君。
今日はお互いパッとしなかったな。


「よし!!もう景気つけにラーメン食べに行こう!!」


「毎日食べてますけどね!!」


てなわけでいつもの激安ラーメン屋さんへ。
トンコツラーメン食べてしまいました。元祖長浜行きてえ!!!!!

photo:05










稼げはしなかったけどノーテンキな2人なので今日も話をしながら大笑い。
いつも大笑い。

顔の筋肉が痛くなるくらい笑わせてくれる。



「今までやった中で1番しょうもなかった仕事はシュウマイ工場ですね。俺の仕事なんだと思います?ベルトコンベアーに乗ってシュウマイが流れてくるんですけど、たまにシュウマイの上のグリーンピースが外れてるやつがあるんですよ。それはもう商品にならないから抜き取るんです。いくぞうくんー、これグリーンピースついてるじゃないのー、とか怒られるんですよ。この仕事どうやって履歴書に書けばいいかわかんないですよ。誰も金貸してくれないんですよ、信用ゼロですよ。」



爆笑。



「そもそもベルトコンベアーの勢いがすごすぎて流れて来るときにポロポロポロポログリーンピースが取れていってるんですよ。ダメでしょ。」


寝床の人工芝の上で転げ回って涙が出るほど大笑い。
あー、面白すぎる………



「なんか血迷ってる時にホストやったりパチンコ屋のサクラやったりしてる時に、もうなんかわけわかんなくなってたんです。その時金丸さんのブログ見て世界一周に行こうって決めて金丸さんにメールを送ったんです。そしたら金丸さんが根性とギターと寝袋があれば楽勝ですって返事くれたからもう行くしかねぇって感じで出てきました。」



いやー、俺の文章力ではイクゾウ君の面白さの3分の1も伝えられないなぁ。

なんか世界一周に出る前までお笑い芸人になろうとしていたらしい。

とにかくやりたいと思ったらなんでもやる、そんな人生を送ってきたという。

その行動力は半端じゃないな。



「お金ないからずっとヒッチハイクだったんですけど、高速道路の横の草の上でこうやって寝てました。車に踏まれないために。で雨が降ってきたら寝返りうって荷物を上にして濡れないようにするんです。旅全然楽勝じゃねぇ……って思いながらここまで来ました。」

photo:06




この男がこれからどんな旅をしていくのか楽しみでしょうがないわ。









笑い疲れて寝ることに。

俺は寝袋も蚊帳もマットも持っている。

でもイクゾウ君は何も持ってない。
なんかタオルケットみたいなやつを体にかけるだけ。


「イクゾウ君、それなに?」


「え?これシェルターでもらった絨毯です。絨毯の下に人がいるっておかしくないですか?ウケるわー。」


そんなこと言いながら絨毯の下に潜り込むイクゾウ君。






断言しよう。

今世界で1番翼をくださいを心を込めて歌える旅人、小林イクゾウ。






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